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印南敦史印南敦史  - ,,  07:30 AM

ドイツ育ちのハーフだからわかる、日本人のステキなところ/ヘンなところ

ドイツ育ちのハーフだからわかる、日本人のステキなところ/ヘンなところ

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ドイツ育ちの"ハーフ"は知っている! 日本人、ここがステキで、ここがちょっとヘン。』(サンドラ・ヘフェリン原作、片桐了漫画、大和出版)は、ドイツ人の父と日本人の母を持ち、ハーフに関する多くの著書を持つ原作者の最新刊。「日本のおもしろいところ、ちょっとヘンなところ」を欧州の文化とくらべて紹介した本書にも、強烈なオリジナリティーが反映されています。

基本的には原作を漫画化した構成になっていますが、今日は同じように楽しみがいのあるコラム「日本在住外国人がビックリすること」から、いくつかを引き出してみたいと思います。


「先輩」「後輩」の上下関係


欧州圏の人が日本にきてビックリすることのひとつが、「先輩」「後輩」という上下関係。もちろん、学校だったら「学年が上の人」、ふだん会う人だったら「年齢が上の人」、会社では「先に入社した人」あるいは「役職が上の人」のことを「先輩」だと説明することは可能です。しかし、ヨーロッパ人には、これがあまりピンとこないのだというのです。

なお著者自身は、一部の日本の中学校にあるような「テニス部に入ったのに、1年生は玉拾いしかさせてもらえない」というような極端な上下関係でない限り、「先輩」「後輩」も悪くないと思っているのだとか。しかし、そもそもドイツには「先輩」「後輩」のシステムがなく、「とりあえず気が強い方」「声が大きい方」「体格がいい方」の意見が通りやすいという現実があるというのですから驚きです。

なおドイツでは会社で「部下」という言葉も使われず、多くの場合は「Mitarbeiter」(同僚、協力者)と呼ぶとか。だからドイツの会社に入社する人は、フラットな人間関係に驚くのだそうです。(12ページより)


「叱咤激励」気質


著者によれば、日本と外国(特に欧州文化圏)のいちばんの違いは「叱咤激励」。それは欧州にはない、激励のスタイルなのだといいます。以前、学校でスポーツをやっているハーフの子が「学校でガイジンといわれて悩んでいる」という話をしたら、それを聞いた女性が「『ガイジン』といわれたくないなら、みんなに認められる人になってみてください」といったので驚いたとか。

欧州は「成功しない者やからだに障害のある人などに対して周囲が理解を示し、サポートしていくべき」という共通認識があるため、「悩んでいないで成功しろ」というようなハッパのかけ方や励まし方をすることは受け入れられていないのだそうです。

欧州の国々は福祉国家的な考えかたが一般に根付いているため、「どんなに小さなことでも、他人の悩みには耳を傾ける」というスタンスが基本。しかし叱咤激励はその逆を行くものだから、合わないのかもしれないと原作者は分析しています。(22ページより)


有給のとりかた


ヨーロッパの人が日本の会社で働くとビックリするのは、「有給」の使い方だそうです。制度があるのに使わない人がいたり、使わないまま退職してしまったり、退職の直前になって5カ月の有給を使ってから退職したりする人がいることに驚くということです。「有給って、休んだあとにまた同じ仕事場に戻れるからこそ、会社にとっても本人にとっても意味があると思うのですが...」という原作者の言葉に対しては、「そのとおり」というしかありません。

事実、欧州人は「何週間か遊び、長い時間をかけてリフレッシュするからこそ、また心身ともに健康な状態で仕事に取り組める」という考え方。そしてドイツ育ちの著者も、もちろん長期有給取得肯定派。なので、日本での「有給の取得が義務化されつつある企業の動き」はとてもいいことだと考えているそうです。

有給の取得、そして有給の長期取得をしにくいと、「ケガをしてはだめ」「病気になってはだめ」「プライベートでパートナーや結婚相手と長期旅行はだめ」「子どもを産むのもむずかしい」という雰囲気になってしまって当然。まさにこれが、日本の晩婚化、少子化の原因ではないかと著者は問題提起しています。(62ページより)


好き嫌いをしない


ドイツ人とくらべ、日本人には「初対面や、イメージで好き嫌いをしない」という印象があるのだそうです。というのもドイツ人は初めて会う人に対し、「好き」はもちろん、「嫌い」を相手に伝わるかたちで露骨に出してしまう人が少なくないからだとか。そして「嫌い」の判断基準がなにかというと、「あの人の服装は私の好みではない。あの人は嫌い」「あの人のしぐさは自信がない人の仕草。だからあの人は嫌い」など、「表面的な事で判断して相手を勝手にきらっている」感が否めないのだといいます。だから、そんな雰囲気のなかで育ち、大人になって日本にきた著者は、初対面で日本人と会うときにかなり緊張したそうです。

ところが、しばらく日本で暮らしてみて気づいたのは、日本人は初対面で「嫌い」とはあまり決めつけないということ。そしてこれは、人間関係の重要なファクターであり、ヨーロッパの多くの差別の原因になっている気がしてならないともいいます。

また、そういう意味で「日本は差別のない国」だといえるとも記しています。日本人からすれば必ずしもそうとは言い切れないでしょうが、ドイツ人的な感覚からすれば、たしかにそういう印象があるのかもしれません。(94ページより)


祝日の数


日本にいる外国人が驚くこと、そのもうひとつが「祝日の数」。6月や8月を除き(とはいっても8月にはお盆休みがあるわけですが)、日本には毎月、最低でも1日は祝日があるもの。つまり考え方としては「全員が同じ日に休む」ということになります。上の「有給のとりかた」と照らし合わせてみても、日本人は「ひとりで休む(有給休暇)よりも、みんなで一緒に休む(祝日)の方が好き」なのかもしれないと著者。

ヨーロッパの人は「休みたければ、自分が好きなときに日にちを選んで休めばいい」という考え方が主流。「しかし日本の場合は会社などでなかなかこれが実行できないことから、祝日に救われている人も多いのではないか」と感じているそうです。このあたり、有給休暇とは縁遠く、祝日が楽しみな日本人の感覚とは少し違っているかもしれません。

ちなみにドイツでは週ごとに祝日が違っていますが、日本よりも少ないそうです。(120ページより)


ブラック企業


「1ヶ月の残業時間が何百時間を越えた」「会社に10日間泊まり込んで一度も家に帰れなかった」など、いわゆる「ブラック企業」による弊害は日本の新聞のみならず、英字新聞でも話題。ところがこの手の話は、ドイツを含むヨーロッパの先進国では聞かない話なのだそうです。

というのは視点が違うからで、つまりヨーロッパ人が日本のブラック企業に驚くのは単純に、「なんで逃げ出さないのか」という点に尽きるからだということ。お金はもらえない(または少ない)、睡眠はとれない、怒鳴られる、殴られるとあっては、勤める意味がないではないかという考え方です。(121ページより)

これら以外にも、日本人が「あ、気づかなかったけど、いわれてみればそうかも」と思えるネタ満載。しかも笑えるものばかりなので、気楽に読み進めることができるはずです。


(印南敦史)

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