2015年2月22日、NHKスペシャルで「腸内フローラ」が放送される。Medエッジの記事からも見直してみよう。
腸内フローラと腸内細菌の違いとは?
腸内フローラとは、日本語で言えば、腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)となる。叢とは「くさむら」の意味で、腸内細菌が多数集まっている状態のことを言う。腸内細菌には、善玉も悪玉もあり、機能が確かでないものもあり、集まりとして機能を検証する動きが進んでいる。
単に腸内細菌と腸内細菌科とも異なっている。腸内細菌科には、大腸菌、サルモネラ菌、ペスト菌、赤痢菌などが入ってくる。腸内細菌を構成する細菌には腸内細菌科の細菌も入っているが、一部に過ぎない。
見えてきた「デブ菌」
このところ研究報告で注目度の高いのは、Medエッジで呼び方は悪いが「デブ菌」と言われているものだ。感染症の治療のために糞便を移植する治療が検証されており、その中で、肥満の人から糞便移植を受けると、やせている人が肥満傾向になったという報告が出てきた。動物実験でも同様な現象が確認された(どうやら「デブ菌」が現実に存在するらしい、肥満者の糞便移植で受けた人が急速に肥満にを参照)。
1日中、食べ続けると腸内細菌の偏りが起こるという研究報告が出ている(1日中食べると「デブ菌」が腸を支配する、米大学が報告を参照)。肥満と腸内細菌との関係がこの辺りから見えているかもしれない。
腸内細菌の集まりは、食べるもので変えられるという報告も出ている(腸内細菌は食べるモノで変えられる、遺伝子よりも食事、米国ハーバード大学の報告を参照)。普段の食生活が腸内細菌の観点からも大切になりそうだ。
食物繊維が体に良いというのも腸内細菌の状態を整えるという観点から見直されている(なぜ食物繊維は健康にいいのか、秘密は腸内にを参照)。こうした研究方向も関心を呼びそうだ。
やせる「クリステンセネラセエ」
クリステンセネラセエという奇妙な名前の細菌はやせる腸内細菌として注目されている。遺伝との関係があると判明した細菌だ。この細菌を持っている人はやせている傾向があると判明した。うまく利用して、たべると痩せる腸内細菌になる可能性もあるのかもしれない(食べるとやせる腸内細菌、驚異の「クリステンセネラセエ」を参照)。
さらに腸内細菌の利用と直接関係あるかは明確ではないものの、大腸菌を遺伝子操作して食べさせると食欲を抑制する効果を出せるという研究結果が出ている(嘘のようで本当の「細菌ダイエット」)。
人工甘味料はなぜ良くないか
人工甘味料が糖尿病をむしろ招くという報告も衝撃的だった(人工甘味料は「糖尿病予備軍」の原因に、血糖値が下がりにくくなるを参照)。この背景にあるのも腸内細菌だ。人工甘味料を取っていると、腸内細菌の集まりである腸内フローラが変化する。結果として、血糖値を下げる能力が低下する。糖尿病を避けるために人工甘味料を取っていたとしたら、皮肉な結果となる。
抗菌薬の位置づけも変化せざるを得なくなりそうだ。腸内細菌も一緒に殺菌してしまうためだ。腸内細菌の変化に加えて複数の弊害があるとこのたび報告されたばかりだ(抗生物質には未知の悪影響、「デブ菌」「ミトコンドリア」「スーパーバグ」など関係?!を参照)。
Medエッジでは継続的に腸内細菌、あるいは腸内フローラ、腸内細菌叢について伝えていく。関連する記事はほかにもあるので、参考となるかもしれない。
文献情報
Medエッジ、腸内細菌のタグが付いた記事一覧
http://www.mededge.jp/tag/enteric-bacteria
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