脳の構造を変えることで
環境や社会まで変わる?
元・分子生物学者で現在は、チベットの仏教僧のマチュー・リシャールさんがTEDでスピーチしたのは、人類が共存して行く為に必要なことだった。宗教と言う観点より、科学的なデータや実験を元にしたスピーチの興味深い内容が話題になっている。
1.このままでは2050年までに30%の生物が死滅する。 2.マインドフルネスで、脳の構造を変化させ"思いやり"を持つことができる。 3."思いやり"を生きとし生けるもの全てに共有して行くコトで、世界の環境全体を変えることができる。
2050年までに生物の30%が死滅
動画内のグラフでは、1950年以降の消費増加が今の地球資源にどんな影響を及ぼしているかが表示されている。気候変動や、生物の絶滅数の数値は、もはや地球の限界を超えているのだという。それに対してできる一つの解決策として、彼が語ったのは、訓練することによって”思いやり”を共有し、「個人と社会の変化」を促すこと。
マインドフルネス・瞑想の訓練で、脳の構造が変わった
彼が実際にMRIに120時間入って行った調査結果は、多くの学術誌に掲載された。瞑想を行う訓練を行っているものと、そうでない人では脳の構造的・機能的な差異が見られた。そしてその変化は、4週間1日20分、”思いやり”の心を持ち、マインドフルネスを行うことで可能になるのだそう。
ある子供に8週間、感謝や慈しみ、共同、マインドフルネス呼吸法などについて訓練を行ったところ、実際に社会行動にも変化が見られたようだ。
訓練後に、差別行動をしなくなった
子供に行ったのはステッカーを配るテストだ。まず、好きな子とそうでない子を分け、知名度の低い子、病気の子を予め調べておく。最初はステッカーの大半を好きな子にあげてしまっていたが、週に3回20分の訓練を行った所、差別行動がなくなったという。
“思いやり”が世界を幸福にする
彼が重要だと語るのは、誰かの為に何かできる心を、人間だけに関わらず全ての生きとし生けるものに対して持つこと。その調和を、グローバルに共有して行くことが大切だと語っている。
実際にチベットの寺院で1年に10万人もの人々を治療し、学校で2万5000人の人々に教えているという彼の行動には、ダライ・ラマ氏も強い共感を示しているようだ。
「諦めないでください、専門家の調査では、文化の変化は遺伝子より早く変化します。戦争への態度は年月をかけて劇的に変化しました。学校では競争的学習ではなく、協同学習を、職場では見返りを求めず協働すること。持続可能な調和をもたらし、不平等を減らして行くことが大切です。Viva la revolución de altruismo.(愛他性革命万歳)!」 Reference:TED
人間は元々、目の前にいる困ってる人を放っておくことができないという調査結果もあるようだ。その思いやりの心を育み、文化共有を続けて行くことが、環境や社会をより良く変えて行く為にできる、一番確かな方法なのかも知れない。
Reference:YouTube