(2015年2月20日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
西側がウラジーミル・プーチン大統領の野心と対抗するためには、その世界観を知ることから始めなければならない〔AFPBB News〕
戦争であれ停戦であれ、ウクライナでのロシアの侵略行為はついに西側諸国の慢心を覆しつつある。
米国政府は、これが個別の地域紛争以上のものであることに気づいた。
欧州諸国――いずれにせよ、その多く――は今、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が、大陸の平和を維持してきたルールに基づく秩序に挑戦しようとしていることを理解している。
次に必要になるのは、プーチン氏の野心に対抗する広範な戦略だ。
プーチン大統領の世界観を理解する
それには、ロシア政府の思考、動機、意図の評価が求められる。つまり、かつて海外の大使館から本国に送られた外交公電に見られたような分析である。ウクライナでの軍事的機会主義やロシアのガス供給、ロシア政府が指導する転覆工作や腐敗、核の威嚇は、プーチン氏の世界観のどこに当てはまるのだろうか?
ウクライナ東部のドンバス地方で何が起きようと、西側諸国はまだ当面、ロシアの失地回復主義に対処し続けることになる。
良い出発点は、「包囲」に対するロシア政府の強迫観念だ。ロシアが脅威を感じることについては、目新しいことは何もないし、歴史の記録を見れば驚くこともない。この意識はソ連を結びつける糸の1つだった。このような神経症の中心にあるのは、ロシアの歴史を大きくさかのぼる直感的な不安だ。
好都合なことに、絶えず存在する危険は、支配層のエリートのために愛国的な基盤を提供してくれる。「邪悪で非友好的で脅威を与える」世界と向かい合うと、国の安全と体制の安全は同義になる。
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