「竹島の日」 松江市で式典2月22日 18時37分
島根県が条例で定めた「竹島の日」の10回目となる式典が松江市で開かれ、内閣府の松本洋平政務官は「竹島を巡る問題は、わが国の主権に関わる極めて重要な問題で、冷静かつ平和的に解決するため全力で取り組む」と述べました。
島根県は明治時代に竹島を県の所管とした2月22日を、10年前に条例で「竹島の日」と定め、毎年、松江市で式典を開いています。
10回目となった22日の式典には、政府から3年連続で領土問題を担当する内閣府の政務官が出席しました。
式典で松本洋平政務官は、「竹島は歴史的事実に照らしても国際法に照らしても、わが国の領土であり、竹島を巡る問題は、わが国の主権に関わる極めて重要な問題だ。竹島が地元の皆さんの生活の一部であったことを一層重く受け止め、冷静かつ平和的に解決するため全力で取り組む」と述べ、引き続き解決に向けて取り組んでいく考えを強調しました。
また、島根県の溝口知事は、「問題解決には国民の理解と力強い支持が必要だ。政府には国際社会も含めた幅広い情報発信を強く求めたい」と述べました。
ことしは、島根県などが竹島の現状や地元の思いなどをまとめた冊子が出席したおよそ470人に配られ、初めて出席したという70代の女性は、「竹島への関心が高まるよう周りの人に伝えていきたい」と話していました。
「日本固有の領土と広く発信する」
式典に出席した領土問題を担当する内閣府の松本洋平政務官は記者団に対し、「竹島の日の条例制定から10年を迎え、島根県や県議会などの関係者がこれまで続けてきた努力に心から敬意を表したい」と述べました。
そのうえで松本政務官は「日本にとって韓国は重要な隣国であり、関係を悪化させるつもりはないが、竹島は日本固有の領土だという政府の立場を国内外に示すことは今後も行っていくべきだ」と述べ、竹島問題を巡る政府の立場を国際社会も含めて広く発信していく考えを示しました。
地元の町長「国として対策本部を」
竹島がある隠岐の島町の松田和久町長は式典の後の記者会見で、「親などから竹島のことを伝え聞いたという人たちはもう80歳を超えている。このままでは竹島が昔物語になってしまうと危機感を持っている」と述べました。
そのうえで松田町長は「国として領土問題の解決に重点的に取り組む対策本部を作ってもらいたい。竹島が日本固有の領土だと国際社会に強く訴えてほしい」と政府の取り組みを求めました。
韓国外務省が批判の声明
内閣府の政務官も出席して「竹島の日」の式典が開かれたことについて韓国外務省は、「嘆かわしく、国交正常化50年を迎えて新たな日韓関係を切り開いていくとする日本政府の誠意に疑念を抱く」とする声明を出しました。
声明では「日本政府が再び政府高官を出席させたことは実に嘆かわしい。過去の歴史を否定するものであり、国交正常化50年を迎えて新たな日韓関係を切り開いていくとする日本政府の誠意に疑念を抱かせる行為だ」と批判しました。
そのうえで、「いかなる挑発も望みがないことを、日本政府に重ねて思い起こさせたい」としています。
ただ、今回の声明は、いわゆる従軍慰安婦の問題などにも言及して、日本の対応を厳しく批判するとともに、「日本が国際社会の責任ある国家に生まれ変わるよう願う」などとした去年の声明と比べれば、穏当な表現を用いています。
一方、ソウルの日本大使館前では22日、保守系団体などによる抗議活動が散発的に行われました。
会場周辺でもみ合いも
「竹島の日」の式典会場の島根県民会館や、その周辺では、警察が、不測の事態に備えて、700人余りの態勢で警戒に当たりました。
また、近くの国道などには、臨時のフェンスや騒音を測定する装置が設置されました。
しかし、22日午前11時半すぎ、式典の開催などに抗議する韓国人とみられる男性4人と、これに反対するグループがもみ合いになり、現場は一時、騒然としました。
警戒に当たっていた警察官が止めに入り、警察車両で4人をその場から避難させました。
警察によりますと、けが人などはいないということです。