報道特集【人質事件の裏側▽北の工作員】 2015.02.21


イスラム国による日本人人質事件で1カ月が過ぎました。
この間、実際に何があったのかの検証作業に私たちはこだわって取材を続けています。
特集でもお伝えしますが、その前に今日のニュースです。
川崎市の河川敷で殺害された男性の遺体が見つかった事件。
亡くなったのは中学1年の男子生徒でした。
現場周辺の防犯カメラには、少年と見られる3人が現場方向に向かう様子が映っていて警察が分析を進めています。
この事件は昨日、川崎市の多摩川河川敷で市内の中学1年、上村遼太君が首を切られるなどして殺害された上、遺体で見つかったもの。
学校によると、上村君は先月から学校に来ていなかったとのこと。
遺体で発見されたとき、上村君は衣服を身につけていない状態だったが、その後、現場近くの公園の女子トイレで衣服や靴が燃やされた跡が見つかった。
また、現場周辺の防犯カメラの映像を分析したところ、少年と見られる3人が現場方向に向かい、戻ってくる際には1人減っている様子が映っていたとのこと。
警察は、殺人死体遺棄事件として捜査本部を設置し、上村君の交友関係を中心に捜査を進めている。
明日、東京マラソンが開催されるのを前に、コースを走りながら警備に当たる警視庁の警察官、ランニングポリスの結団式が行われた。
また、スタート地点周辺ではテロを警戒し、不審物がないか点検作業が行われた。
警視庁の幹部らを前に決意表明をしたのは、マラソンコースを走りながら警備に当たる警察官、ランニングポリスで、今回初めて出動する。
ランニングポリスは箱根駅伝など、駅伝の経験者を中心に64人が選ばれ、本部にリアルタイムで映像を送れる小型ビデオカメラを装着し、ランナーの目線で不審者がいないか警戒しながら10kmずつ交代で走るとのこと。
今、東京マラソンのスタート地点の近くにあるスタンドで、警備犬が不審物がないかを調べています。
また、結団式の後はスタート地点となる東京都庁の周辺で、テロを警戒し、機動隊員や警備犬が沿道に不審物がないか点検作業を行った。
明日はおよそ3万6000人のランナーが参加するとのことで、警視庁の警察官が4500人、民間の警備員を加えると合わせて1万人以上の厳戒態勢で警備に当たる。
EUは20日、ユーロ圏財務相会合を開き、今月末で期限が切れるギリシャへの金融支援を4カ月間延長することで合意した。
巨額の債務を抱えるギリシャでは、EUからの金融支援がなくなると来月にも財政が破たんするおそれが浮上し、ギリシャが支援の延長を求めていた。
ただ、支援の条件をめぐり、増税や年金カットなどの緊縮策の継続を主張するEUに対し、ギリシャで先月末に反緊縮を掲げて誕生したチプラス政権は条件の緩和を求めてせめぎ合いが続いていた。
20日に行われたユーロ圏財務相会合の結果、EUはギリシャへの金融支援を4カ月間延長することで合意、ギリシャはEUが求める支援条件を確実に実行するための計画案を週明け23日までに提出することになった。
最終的にギリシャがEU側に歩み寄ったとも言える今回の合意で一時、可能性が指摘されていた財政破たんやEU離脱はひとまず回避された。
今日午前、沖縄県の浦添市でバイクに乗り信号待ちをしていた男性が男に刃物で首を刺され、死亡した。
黄色の服を着た容疑者の男が警察官に身柄を確保される瞬間。
警察によると、今日午前10時10分頃、沖縄県の浦添市で原付バイクに乗って信号待ちをしていた堀和生さん63歳が、突然、歩道を歩いていた男に刃物で左首付近を複数回刺され病院に運ばれたが、死亡した。
事件発生からおよそ10分後、警察は現場から300mほど離れた路上で男を見つけ、殺人未遂の疑いで現行犯逮捕した。
逮捕されたのは自称21歳の大学生で調べに対し黙秘しているとのことで、警察は容疑を殺人に切り替え、詳しく調べる方針。
過激派組織イスラム国が殺害したとされる後藤健二さんの事件で、後藤さんの妻が解放交渉を依頼していたイギリスのコンサルタント会社は、かつて後藤さん自身がジャーナリスト向けの戦場訓練を受けた会社だったことがわかった。
セキュリティー情報会社を経営し、各国の情報機関に幅広いパイプを持つというニルス・ビルト氏。
そのビルト氏によると、後藤さんが行方不明になったことを確認するとすぐに、イギリスの危機管理コンサルタント会社に解放交渉を依頼した。
この会社は、かつて後藤さんがジャーナリスト向けの戦場訓練を受けた会社だったとのこと。
この会社による水面下の交渉についてビルト氏は安倍総理が中東訪問で2億ドルの人道支援を表明し、イスラム国が脅迫ビデオを公開した後に事実上、終わったと見ている。
男性が語った交渉の裏側については、この後の特集で詳しくお伝えします。
中東ドバイにある超高層マンションで火事があり、地元メディアによると、数千人が一時避難した。
炎に包まれているのは、ドバイのマリーナ地区にある79階建ての超高層マンション。
建物の一部が焼けたまま落下していく様子が確認できる。
地元メディアによると、マンションの50階付近から出火。
当時、風が強かったため、別の階にも次々に燃え移った。
周辺のマンションも含めて数千人が避難し、付近の道路は閉鎖された。
地元当局によると、ケガ人はいないとのこと。
出火の原因はわかっていない。
このマンションは4年前にオープンした世界で最も高いマンションの1つで、名前は皮肉にもたいまつだとのこと。
日本の最も西に位置する沖縄県与那国島で国が計画する自衛隊の配備の是非をめぐり明日、住民投票が行われる。
島で今、何が起きているのか取材した。
那覇市から南西に500kmあまり。
人口およそ1500人の小さな島が揺れている。
去年、防衛大臣が足を運んだのは、自衛隊の拠点を建設するための起工式。
中国を念頭に防衛力の強化を訴える安倍政権の方針のもと、国は沿岸監視部隊を配備する計画。
こちらが自衛隊の駐屯地を建設している現場です。
自衛隊誘致の賛否を問う住民投票を前に工事は淡々と進んでいます。
中国の脅威を強調し、過疎化が進む島で経済の活性化に期待する賛成派。
対する反対派は、自衛隊の存在そのものが有事の際の標的となるとして、自然を生かした島づくりを訴える。
前回の町長選挙ではわずか47票差で自衛隊誘致賛成派の外間氏が勝利。
しかし、今回の住民投票はこれまでの選挙とは異なる。
中学生以上の住民が投票できる。
町長選挙では投票できなかった20歳未満の97人も結果を左右し得る存在。
住民投票の結果に法的拘束力はない。
しかし、反対派が勝利した場合、工事が続行されれば、名護市辺野古へのアメリカ軍普天間基地移設のような反発も招きかねず、政府は難しい対応を迫られる。
無免許運転で高校生5人が死傷しました。
今日未明、神奈川県茅ヶ崎市の交差点で乗用車が街路灯に衝突し、大破した事故当時、この車には16歳の高校1年の男子生徒6人が乗っていて、茅ヶ崎市の前下拓海さんが死亡、4人が重軽傷を負った。
6人は無免許だった。
警察は事故の後、現場から立ち去った2人から事情を聞いていて、飲酒運転の可能性があると見て調べている。
与党内で協議が続く安保法制の整備をめぐり、自民党の高村副総裁は自衛隊の海外での武器使用権限の拡大について、PKOだけでなく、新たに制定を目指す恒久法でも基準をつくる方針を明らかにした。
停戦合意前の後方支援の武器使用は憲法9条が禁じる海外でのイスラム国による日本人人質事件。
最悪の結末を迎えてしまった後の事実経過の検証が国会でも始まっていますが、事件から教訓をくみ取るような有益な論議が行われているとはまだ言えません。
こうした中、人質をめぐる水面下の交渉の経緯の一部を知る人物が「報道特集」のインタビューに応じました。
崩れ落ちた橋桁。
粉々になった建物。
過激派組織イスラム国が支配するシリア北部の街ジャラーブルス。
これは住民が1週間ほど前に極秘で撮影した映像。
トルコとの国境付近に位置するこの街は、アメリカやヨルダンなど、有志連合の空爆を受けていた。
塀や建物には、イスラム教の預言者ムハンマドの言行録や、イスラム国が掲げるスローガンがあちこちに書かれている。
街の中には市場もある。
野菜や果物、香辛料のほかに、この地域では栽培できないバナナなども並んでいる。
洋服や靴なども売られている。
街の中には、こんな貼り紙があった貼り紙には、イスラム国・農業省と書かれたスタンプが押されている。
イスラム国の統治下に置かれたこの街の住民たちは、イスラム国に奪われた農地の使用料を無理やり払わされているよう。
中東情勢に詳しい保坂修司氏にこの映像を見てもらった。
保坂さん、農業省というのは聞いたことがありますか?彼らが普通の政府みたいなものを一応持っていることは持っているんですね。
基本的には従来ある行政機構の上に乗っかった形だとは思いますので、必ずしも全く新しい形で彼らが統治を行っているようには見えないですね。
この街でのイスラム国の影響力は、それほど強く感じないと保坂氏は言う。
イスラム国側が出してくるビデオや何かでは、よくイスラム国の兵士らしき人たちがあちこちいろいろ映っていることが多いんですけど、少なくともここではほとんどそれが映っていないですね。
空爆があったんで、逃げたという可能性ももちろんあるんだと思いますけれども。
これはある意味、暫定的に統治を進めようとしているのか、それとも逆に言うと、暫定的に進めざるを得ないのか?今月15日、イスラム国はリビアでエジプト人労働者21人を殺害したとする映像を公開した。
彼らはキリスト教の一派、コプト教徒だった。
イスラム国はなぜ、リビアでエジプト人のキリスト教徒を標的にしたのか。
元外交官で大使としてリビアに駐在した中東調査会参与の塩尻宏氏に背景を聞いた。
カダフィ政権下でリビア大使を務めた塩尻氏、政権崩壊後の混乱がイスラム国による浸食を招いたと指摘する。
塩尻氏のもとに今週、リビアの友人から家族で日本に逃れたいと助けを求めるメールが届いた。
リビア国内での治安情勢の悪化を受けて、地中海を渡ってヨーロッパを目指す移民や難民がイタリアに続々と流入している。
一方、国会では今週もイスラム国による日本人人質事件をめぐって論戦が繰り広げられた。
外交官として長年、中東地域に駐在した塩尻氏は2人が殺害された今回の事件について政府の対応を、こう批判している。
考え方が基本的に変わったということですね。
過激派組織イスラム国による日本人人質事件が表面化して1カ月。
なぜ事件は最悪の結末に終わったのか。
その裏側が徐々に明らかになってきた。
後藤さんが消息を絶ったのは去年10月下旬のことだった。
11月に入ると取材仲間の間で後藤さんの身に何か起きたのではないかという噂が広がった。
ジャーナリストの安田純平氏がこう振り返る。
後藤さんの妻は、後に公開した音声メッセージの中で、後藤さんが拘束されていると知ったのは去年12月2日、犯行グループから届いたメールがきっかけだとしている。
後藤さんの身を案じた安田さんは、これと同じ頃、後藤さんの自宅を訪れたと言う。
安田さんとともに後藤さんの自宅を訪ねた常岡浩介氏は、その後、後藤さんと親しいシリア人のガイドにメールで連絡をとった。
水面下で何が進行していたのか。
おとといの国会でその一端が明らかになった。
それに対して政府は後藤夫人を警察、外務省でサポートしてずっと支援してきたんです。
後藤さんの妻が相談したという民間の専門家とは何なのか。
安田氏はかつて後藤さん本人から聞いた話として、こう証言する。
もしもの事態に備えて後藤さんが登録していたというイギリスの会社。
「報道特集」はその内情を知るという人物に話を聞くことができた。
もし自分に何かあったらここに連絡しろと妻に話していたはずです。
紛争地や危険地帯を専門とするセキュリティー情報会社を経営するニルス・ビルト氏。
アメリカやイギリス、さらにはヨルダンやトルコの情報機関にも幅広くパイプを持つというビルト氏が複数の情報源から聞いたところでは後藤さんの妻は、後藤さんの行方がわからなくなるとすぐに契約していたイギリスの危機管理コンサルタント会社に連絡。
この会社は拘束している相手がイスラム国だと確認すると、主にトルコのルートを使って解放に向けた交渉を始めたと言う。
これは交渉が失敗している兆候に見えるかもしれませんが、そうとも言えません。
年が明けても危機管理コンサルタント会社とイスラム国側との水面下の交渉は続けられていたと言う。
安倍総理による中東訪問があったのは、そんな最中だった。
ISILと戦う周辺各国に総額で2億ドル程度支援をお約束します。
その3日後、イスラム国による最初の脅迫ビデオが確認された。
その瞬間、後藤さんと湯川さんがイスラム国によって拘束されているという事実が世界中に知れ渡った。
仮に私が交渉を任されたとして、そこへ政治家がイスラム国との戦いに貢献しますなどと言ったりしたら私の立場は極めて厳しくなりますよね。
なぜなら私はもう一度相手に、私は本当に交渉しているんですと信じさせなければいけなくなりますから。
その後、危機管理コンサルタント会社とイスラム国側の交渉は事実上、打ち切られたとビルト氏は見ている。
警察と外務省は後藤さんの妻に対してその危機管理コンサルタント会社をもう使わないよう求めたようです。
彼女はそれに従い、会社に連絡して交渉をやめるよう告げたのでしょう。
そして、その時点で交渉は日本の警察と外務省に引き継がれたのだと思います。
一方、外務省は、「報道特集」の取材に対し、民間会社を介した交渉をやめるよう妻に申し入れたとの事実はないとしている。
警察幹部もまた、これを否定している。
後藤さんの解放をめぐって1月下旬まで行われたとされるイスラム国側とイギリスの危機管理コンサルタント会社との水面下での交渉。
その内容は、外務省にも報告されていたというが、安倍総理は衆議院選挙の期間にもまたがることになったこの間の対応についてこう答弁した。
しかし、接触等については今、その段階ではISILということが明らかになっていないわけでありますから明らかになっていないのに、そこに接触して聞くというのはこんなばかげたことはもちろんしないわけでありますが、そこで部族長等々から我々は様々な情報収集を展開していたわけでありました。
その中でまだ残念ながらなかなか収穫がないという状況が続いていたということであります。
トルコだって何十人も人質の解放に成功しました。
だからチャンスは常にあります。
特集の冒頭で、イスラム国支配地域の最新の映像をご覧いただいたわけなんですけれども、隠し撮りをしただけにイスラム国の統治の実態がかいま見えると思うんですね。
例えばこちらの映像なんですけれども、これは映像の中にもあった落書きですけれども、一緒に見た専門家の保坂さんによると、これはスーフィーというイスラム神秘主義のダンスの絵なんですけれども、ご存じのようにイスラム国というのは歌舞音曲を厳しく禁じているわけですね。
ですから、このような落書きがいまだ残っている、ちょっと×みたいなのをよく見ると描いてあるんですけど、こういう落書きが残っていることこそ、イスラム国の統治がどこか徹底していない部分を感じさせますね。
そして、後藤さんの奥さまですけれども、当初、民間の専門家に相談をしていたという話がありましたよね。
ほかの国で人質が解放されたという例がありましたが、そういったケースに民間の会社というのは介在しているんでしょうか?そういうケースはあります。
民間のコンサルタント会社とか、いろんなチャネルを使って、結果的に人質が帰ってきたケースはあるんですね。
フランスとかスペインとか表面的には政府はテロには屈しないとか何か言いながら、別なチャンネルをちゃんと生かしておいて、すこしでも助かる可能性があるというのを最大限にしておこうという、そういう努力というのは最後の最後まで放棄しないんですね。
今回インタビューに応じたニルス・ビルトさんですけれども、この人はリスクマネジメントの専門家なんですけど、日本の参議院の外交・防衛委員長のシニアアドバイザーも務めたことがある人物なんですね。
このビルトさんが今後の検証作業がちゃんと行われないんじゃないかという懸念を持っていて今回あえて私たちの集材に応じたという背景があるんですね。
今週、北朝鮮では故キム・ジョンイル総書記の誕生日の盛大な行事が行われました。
しかし、拉致被害者などに関する調査報告書はまだ出されず、日朝協議は進展を見せていません。
JNNは拉致問題の進展を見据え、全国の失踪者の家族の取材を進めてきました。
失踪者の数が最も多い北海道での取材を進めると、かつて暗躍していた工作員たちの姿が浮かび上がってきました。
原子力発電所があり、再稼働の可否が注目されている北海道泊村。
そこに名勝・弁天島がある。
アイヌの美しい娘が叶わぬ恋を岩に祈り、実らせたという伝説の地だが…ここは同時に、北朝鮮の工作員が上陸していたと場所だとされている。
朝鮮総連の元幹部の証言をもとに2002年に出版された本。
そこには元幹部が1人で構築したという工作員の上陸ポイントが全国で38カ所記されている。
証言を聞き取り、本にまとめたジャーナリストの野村旗守氏はこう話す。
北海道には3カ所の工作員上陸ポイントが記載されているが、泊村はそのうちの1つ。
身を潜められそうな岩場が広がり海から見て目印となる弁天島もある。
上陸ポイントとしての条件を満たしている。
そして、この近くの町では20歳の女性が不可解な失踪をしていた。
泊村の南、共和町に住む家事手伝い城崎瑛子さんが姿を消したのは48年前の春のことだった。
午前8時過ぎ、裁縫を習っていた城崎さんは親に布地を買いに行くと告げ、バスで隣の町に向かった。
しかし…昼過ぎに城崎さんのカバンや靴、購入したと思われる布地やケーキなどが港にある防波堤の先端で発見されたが、本人の姿はなかった。
普段は行かない場所だった。
姉夫婦は当時、警察官からきいた言葉をはっきりと覚えていた。
失踪者の取材をするとたびたび出てくる不審な船の情報。
泊村から車で2時間半ほど行った別の工作員上陸ポイントを取材すると北海道の日本海側南部、沖には奥尻島も見えるせたな町。
ここにも北朝鮮工作員の上陸ポイントがあったとされている。
工作員の上陸ポイントの1つだったとされている海岸に到着しました。
非常に大きな岩場が目立つんですが、その一方で、入り江になっているため周りからは発見されにくい場所と言えそうです。
この町で44年前、19歳の女性が姿を消していた。
名取志津子さん、札幌の会社に就職が決まり成人式を翌月に控えた1971年12月に失踪した。
振り袖姿で撮った記念写真が家族に残された最後の1枚となった。
失踪した日、名取さんは姉が働く隣町の金物店の手伝いをしていた。
列車で実家へ帰ろうと、400mほど離れた駅に向かったまま姿を消した。
駅で名取さんを目撃した人はいなかったと言う。
なぜ姿を消したのか。
当時、漁師たちがこんな会話をしていたことを姉のタミさんは覚えている。
せたな町のシンボル、蝋燭岩。
黒い船はまるで隠れるかのように蝋燭岩の近くに停泊していたと言う。
さらに…名取志津子さんが失踪する半年ほど前には同じ日本海側、江差町の沖合に現れた黒い船を海上保安庁が撮影していた。
逃走する黒い船。
海上保安庁は、北朝鮮の工作船と見ている。
そして…黒い船が撮影された江差町も工作員上陸ポイントとされている。
江差町では名取さん失踪の5年後、1976年に34歳の主婦が失踪している。
名取志津子さんの失踪から44年。
家族は北朝鮮に拉致されたのではないかという思いを強めている。
北海道の日本海側南部には北朝鮮工作員の上陸ポイントが3カ所あった。
そして、周辺の町には拉致の可能性が排除できない失踪者が多く存在している。
さらに、せたな町と江差町、2つの上陸ポイントの中間にある乙部町では、上陸した北朝鮮工作員が逮捕される事件も起きていた。
1957年、紙幣や銀塊、無線機などを所持していた北朝鮮工作員らの集団が捕まった。
当時、乙部町の漁業協同組合に勤務していた男性は3人の工作員と会話をしたと言う。
男たちは国道に向かい、100mほど歩いた路上で待ち構えていた警察官に逮捕された。
日本国内に工作組織を構築するため、何人もの工作員が送り込まれていたとされるこの事件。
実際に北朝鮮との間を行き来した船の名前をとって弘昇丸事件と呼ばれている。
工作員らが次々と逮捕され、出入国管理令違反で1人は懲役1年、もう1人は罰金3万円の判決を受けた。
工作員が暗躍していた乙部町だが、取材を進めていくと、さらに深い闇が見えてきた。
工作員が逮捕された弘昇丸事件の数年前、浜辺で子どもたちがさらわれそうになったことがあり、町民は警戒していたと言う。
取材の末、実際に拉致されかけたという男性に会うことができた。
当時小学4年生。
弟と一緒に沈む夕日を浜辺で眺めていたときのことだった。
沖合から近づいてきた船は、大型のレーダーや複数のアンテナを備え、明らかに漁船とは違って見えた。
船からゴムボートが降ろされ、3人の男たちが近くの浜辺に上陸した。
兄弟はさして気にせず、そのまま夕日を眺めていたが、突然、背後に人けを感じた。
わずかに指先が動き、ガムテープを外すことができた。
救助を求め、弟が駆け出すと男たちはゴムボートで逃げ去ったと言う。
公安関係の資料によると、1950年以降、日本国内で検挙された北朝鮮工作員による事件は50件以上ある。
しかし、拉致にかかわる事件は、ほとんど検挙されていない。
特定失踪者問題調査会は同様の拉致未遂の情報を多く得ている。
また、検挙された工作員事件についても氷山の一角だと考えている。
北海道は、拉致の可能性が排除できない失踪者が81人と全国で最も多い。
警察のホームページに記載されているのは、北海道内で姿を消したと見られる人たちだが…北海道出身者がほかの都府県で北朝鮮の工作事件に巻き込まれ拉致が強く疑われているケースもある。
北朝鮮の工作員が函館出身の男性に成り済ましていた西新井事件。
小住健蔵さん、終戦から3年後の1948年、一家7人で樺太から函館へ引き揚げてきた。
当時15歳、両親と4人の妹とともに引き揚げ者用の住宅で暮らした。
家族思いの兄だった。
東京へ向かったのは、1961年3月、28歳のときだった。
東京の会社へ就職が決まり、小雪が舞う中、青函連絡船で旅だった。
その後連絡が途絶え、家族は長い間、安否を知ることがなかったが…1980年4月、小住健蔵さんの戸籍が函館から東京・足立区へと移されていたことを家族は初めて知った。
妹の紀代子さんは不審に思いながら電話番号を調べて連絡を入れた。
すると…同居人を名乗った男は、小住健蔵さんが独身で日雇いの土木作業員の仕事をしているなどと告げた。
函館を離れ、兄は東京でどんな暮らしを送っているのか。
気にかけている中、1985年に事件は発覚した。
警視庁公安部は、北朝鮮のスパイ組織を摘発。
押収品の中に小住健蔵さん名義のパスポートがあった。
しかし、写真は小住さんとは全く別のメガネをかけた男だった。
北朝鮮の大物工作員が小住健蔵さんに成り済まし、小住さん本人は行方不明となっていた。
別人に成り済ます行為を警察用語で背乗りと言うが、西新井事件はその背乗りが明らかになった最初の事件だとされる。
当時、捜査に当たった元外事警察官に私たちは接触することができた。
テレビの取材に応じるのは初めてだと言う。
捜査の端緒は小住健蔵なる日本人は北朝鮮スパイだという信頼できる筋からの情報だった調べてみると、1980年からの1年間でその人物の暮らしぶりが変わったことがわかった。
警察は、小住健蔵を名乗る人物の行動確認を行ったが尾行は困難を極めたと言う。
尾行していた捜査員たちの後ろには、時には韓国の情報当局やそれを警戒する朝鮮総連、また時にはアメリカのCIAが雇った日本人の探偵たちがいたと言う。
当時、小住健蔵を名乗る人物に部屋を貸していた家主は火災報知機の点検で入ったとき、異様な光景だったと証言している。
身の危険を感じたのか、1983年2月、小住健蔵を名乗る人物は海外に出国、東南アジアにある北朝鮮の大使館に入った後、足どりが途絶えてしまった。
しかし、北朝鮮の工作組織を摘発するため、その後も捜査は続いた。
小住健蔵の名前が役員として登録されている会社があり、経営者は在日朝鮮人だった。
捜査員たちはこの経営者が日本国内の協力者だと見て行動を確認した。
すると、深夜に特殊なラジオ放送を聞いていることがわかった。
確信を得た捜査員たち。
会社の登記簿に虚偽の内容があったという公正証書原本不実記載の容疑で、1985年3月、強制捜査に踏み切った。
協力者たちは逮捕された。
そして、小住健蔵に成り済ましていた男について海外の情報機関に照会したところ、正体がわかった。
チェ・スンチョル容疑者、朝鮮労働党海外情報調査部に所属し、パク、あるいは松田忠雄といった偽名を使っていたが、その後、実在する日本人に次々と成り済まし、多くの工作活動を行っていた。
その中には、1978年に蓮池さん夫妻を拉致した事件も含まれていて日本政府はチェ・スンチョル容疑者を国際手配している。
一方、本物の小住健蔵さんの行方はわからないまま。
元捜査員は、こう語る。
取材に当たりましたHBC北海道放送の三國谷記者です。
拉致の可能性が排除できない失踪者の数、北海道が一番多いという事実が紹介されていましたが、私は北海道出身なんですが、それを知らなかったんですね。
なぜ北海道がそれだけ多いのでしょうか?まず最初に地形の特徴があると思うんですね。
北海道は本州のほかの都府県に比べて海岸線が非常に長く、当時人口も少なかったことから、沿岸の警備が大変だったと警察OBの方は話をしていました。
また元工作員から聞いた話なんですけれども、同じ日本海が私の北陸地方などと比べても北海道は警備が薄く、密入国しやすかったために距離が遠くても北海道に上陸していたという話があります。
西新井事件で日本人に成り済ましていたチェ・スンチョルという男ですけれども、蓮池さんなどの拉致事件についても何らかの形で関わっていた可能性があるということですね?そうなんです、チェ容疑者は朝鮮労働党の対外情報調査部という工作機関にいて、当時の幹部から日本人拉致の指示を受け、蓮池さん夫妻を拉致したと言われています。
また、チェ容疑者は1930年代の初めに日本に生まれて、日本語も堪能だったという情報もあり、蓮池さん夫妻が拉致された後も一家の監視役をしていたとも伝えられているんです。
今、日本政府はチェ容疑者を国際指名手配して北朝鮮に身柄の引き渡しを求めているんですが、北からの回答はないままなんですね。
それにしても拉致問題というのは現状では全くこう着状態ですよね。
被害に遭われたご家族の状態ですね、これはどうなんでしょう?北朝鮮が調査を約束した去年5月以降、家族たちの期待感は非常に高まっていました。
しかし、北朝鮮がいまだに調査報告を出さないということに、家族の怒りは大きくなってきています。
この間に亡くなった方もいますし、身内が失踪した何十年も前の状況をもう思い出せなくなってきている方もいます。
このため、私たちの取材も年々困難になってきているというのが現状です。
この後はスポーツ、林さんです。
3月10日の侍ジャパン強化試合へ向けて代表選手はオープン戦で猛アピールしました。
侍ジャパン・小久保監督が見つめる先には阪神・藤浪。
今シーズン初のオープン戦で立ち上がりから変化球のコントロールに苦しむ。
3回を投げ4失点。
3月の強化試合に向け課題の残る内容となった。
こちらは侍ジャパン最年少の19歳、楽天・松井裕樹。
7回から登板するとツーアウトから2つのフォアボールを与えるが、力強いストレートでピンチを切り抜ける。
続く8回は1人もランナーを許さず三者凡退に抑える。
2回無失点、3奪三振。
順調な調整ぶりを見せた。
ソフトバンクは侍ジャパンコンビが大活躍。
4番・柳田がヒットで出塁すると…6番、松田。
決勝点となるタイムリーヒット。
侍ジャパンでもこの2人の活躍に注目。
侍ジャパン初選出の広島・會澤もバットで見せる。
去年のMVP・菅野から特大ホームラン。
メジャーリーグ、ヤンキース田中将大はいよいよ明日からキャンプが始まる。
昨シーズン痛めたひじもオフの間重点的にトレーニングし、順調に回復。
前日には投球練習も行い、去年のこの時期よりも体の状態は良好と話すなど2年目のキャンプインに向け準備は整ったよう。
メジャー挑戦4年目、カブスの和田毅はキャンプ初日を迎えた。
ブルペンでは36球を投げ込んだが、左臀部付近の張りを覚え、大事をとり練習を途中で切り上げている。
続いては、実業団や箱根駅伝のトップランナーが出場した福岡国際クロスカントリー。
青山学院の久保田、駒沢の村山、そして東洋からホンダに進んだ設楽など、箱根を沸かせたトップランナーが激突。
福岡国際クロスカントリーは序盤、村山がケニアのジョナサン・ディクとともにレースを引っ張る。
その後、ペースを落とした村山は設楽と2位争いを繰り広げるが…設楽の追い上げを振り切り、日本人トップの2位でフィニッシュした。
Jリーグ、プレシーズンマッチ。
4年前に亡くなった松田直樹選手が所属したチーム同士、横浜F・マリノスとJ1昇格を果たした松本山雅の対戦。
11年ぶりの優勝を目指すマリノスは和田、中島など若い選手が積極的に松本ゴールを狙うが、ネットを揺らすことができない。
両者得点がないまま迎えた後半アディショナルタイム。
最後のチャンスをつかんだ松本は途中出場の鐵戸が決勝ゴール。
J1昇格組の松本がマリノスを相手に勝利した。
今中国は春節、旧正月ということで多くの観光客が日本に来ていますよね。
円安の影響もあるそうですが、かなりの数です。
たっくさんいますよね、デパートとかね。
ただ、メディアが爆買い、爆買いって中国人みんな成金みたいに伝えているけど、結構何回も何回も来てね、日本の文化とか自然を堪能している中国人はいっぱいいて非常に多様化しているんですよね。
日本に来て大体中国の人はいい印象を持って帰っているんです。
いいですよね、そのことは。
2015/02/21(土) 17:30〜18:50
MBS毎日放送
報道特集[字]【人質事件の裏側▽北の工作員】

イスラム国人質事件。水面下のやり取りを知る人物が初めて語った。▽北海道で起きた失踪事件や拉致未遂。北朝鮮との接点を探る。

詳細情報
番組内容
【イスラム国 人質事件の裏側】 
イスラム国に殺された後藤健二さんが行方不明になってから事件が表面化するまでの3ヶ月間に、水面下でどんなやり取りがあったのか?舞台裏を知る人物が口を開いた。

【北海道でうごめく工作員の影】
北海道に3箇所あったとされる北朝鮮工作員の上陸ポイント。その近くで不可解な失踪や拉致未遂が発生していた。函館出身の男性が巻き込まれた工作事件では元捜査員が証言。
出演者
【キャスター】
金平茂紀(TBSテレビ報道局)
日下部正樹(TBSテレビ報道局)
小林悠(TBSテレビアナウンサー)
林みなほ(TBSテレビアナウンサー)
制作
▽番組HP
http://www.tbs.co.jp/houtoku/
▽twitterのアカウントはこちら!
http://twitter.com/tbs_houtoku
▽facebookのアカウントはこちら!
http://www.facebook.com/tbs.houtoku

ジャンル :
ニュース/報道 – 特集・ドキュメント
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
福祉 – 文字(字幕)

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

OriginalNetworkID:32722(0x7FD2)
TransportStreamID:32722(0x7FD2)
ServiceID:2064(0x0810)
EventID:1357(0x054D)

カテゴリー: 未分類 | 投稿日: | 投稿者: