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 ドイツの複数のメディアは20日、ナチスの独裁者ヒトラーが自身の半生や反ユダヤ思想をつづった著書「わが闘争」について、ドイツで来年1月に再出版される見通しになったと報じた。ナチス称賛につながる恐れがあるなどとして、これまで同国では出版が認められてこなかったが、是非を巡り議論を呼びそうだ。

 再出版を計画しているのは、独南部バイエルン州ミュンヘンの研究機関「現代史研究所」。原書は約780ページだが、学術的な注釈をつけるため、2巻で計約2千ページになるという。

 同書の著作権は、第2次世界大戦後にバイエルン州に移ったが、ナチスによる大虐殺(ホロコースト)の犠牲者への配慮や極右勢力への影響などから、国内では事実上の禁書扱いに。その後、ヒトラーの死後70年の2015年末で著作権が切れるのに備え、同州が原書に学術的な解説をつけた形での再出版を検討したが、結局、13年末に禁書扱いの継続を決めた。これを受け、現代史研究所は独自の出版を検討していたという。

 同書を巡っては、「学問の自由」を主張して出版を求める歴史研究者らと、同州との間で何度となく論争が繰り返されてきた。禁書扱いがかえって神秘化を招くとの意見も根強い。(ベルリン=玉川透)