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対談 「劇場版 テレクラキャノンボール2013」が教えてくれる男と女とその時代

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2015.02.22

最終回

AVを楽しむのもいい。でも最後は生身の女を相手にしてほしい

カンパニー 松尾/湯山 玲子

AVを楽しむのもいい。でも最後は生身の女を相手にしてほしい

『劇場版テレクラキャノンボール2013』への湯山さんの怒りの感想から始まった本対談も最終回。見えてくるのは、「テレキャノ」がいかに時代を映す作品だったかということです。(構成:須永貴子)

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女はチームで一体になれない

湯山 女の人にとっては、『テレキャノ』の出演者は男の子たちが一番かっこ良く見える集団として映っていたと思います。子供の頃、男の子たちが集団で遊んでいると、ルールがどんどん過激になっていく、というあの感じがありました。梅佳代の写真集『男子』に象徴される、男が遊びにかまけるあの自由さとバカらしさの輝きね。

松尾 「男子の部室を覗き見した感じ」とはよく言われます。無駄にイケメンがいるのも、ヒロイズムがあるところも、狙ってないんですけどね。

湯山 本当にそこは、見事に描かれていましたね。バクシーシ山下さんは年長者側ですが、ニコニコ笑って、でもこんなゲームに付き合って、もう長老の存在感。彼がもう『スターウォーズ』のフォースみたいな力で女の子を口説き落として点数を上げていき、それに若者が対抗して奮起する、というのも、理想の男チームの鋳型です。残念ながら、女の集団におけるボスは、ああ見事に盛り立ててはくれない。集団論が違う。女性ももちろん団結しますけれど、どこか醒めたところありますからね。

松尾 そうなんですか?

湯山 例えば、仙台から北海道を目指して女の人がテレクラキャノンボールをやったとしたらどうなるかを考えると、まず、ああいうチーム感、一体感は出ないんですよね。

松尾 ああ、それはそうだと思います。

湯山 簡単なことですよ。「こんなヒドイ女とよくオマエ、やったな」が、男では武勇伝ですが、「こんなヒドイ男とよくアンタはやったわね」ということが女の場合は武勇伝にならない。「アナタに勃起しない男が私では勃った」という話も、ただの自慢話で嫌みになってしまう。なぜならば、これも何度も言うのですが、「女は男に認められてはじめて女になる」という呪いが効いてしまうからです。まあ、あとひとつ私が反発した理由の一つに、こういう一体感から女の人は常に疎外されてきたなあ、ということ。私自身、これまでことごとく、楽しそうで結束が強そうな男性だけの集団に入れてもらえなかったという経験があるし。結局、女がそのチームに入れるのには、「お母さん」か「マネージャー」、「お酌要員」しかない。そう考えると、ラストで男たちから「仲間だ」と言われて、フェリーに乗り込んできちゃう女性が一番おいしいポジションなんです。他の女よりも立場が上で。

松尾 最後に出てきて、りんちゃんだけは裸にもなってないし、セックスもしてないですからね。僕にとっては、あのタイミングで東京まで一緒に行ってくれるし、ポイントもつくしで、救世主でしかない。でも、日芸の学生たちが自主上映したときも、女性の観客がが「りんちゃんは卑怯だ」って反発しててびっくりしました。

湯山 説明しましょうか? りんちゃんは女策士の典型的なタイプだと女性には感じられるのです。AVクリエイター集団の男たちを理解できるマスコットとして、選ばれて東京に行けるという輝きを手に入れた、という。単純に言えば、男性の集団につきもののマネージャー的ポジション。「私って、男に女扱いされないし、オトコだから」という自称サバサバ系の女性は絶対に信用するな、という話がモノのわかった女性の中ではあるのですが、まあ、そんな雰囲気も感じますね。彼女の出で立ちはそんな風ではないですが。

松尾 フェリーのシーンは感動ポイントのはずなんだけどなあ(苦笑)。

湯山 女を分断する女は女をバカだと思っているという根深さが、作り手の意図を超えてこの映画には映り込んじゃっている。批評すると面白い映画ですよね。

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