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大井川鉄道「SL貸与は白紙」 あおなみ線、16年度運行困難に

 名古屋市の第三セクター鉄道「あおなみ線」(名古屋−金城ふ頭、15キロ)での蒸気機関車(SL)運行構想で、大井川鉄道(静岡県島田市)は21日、名古屋市へのSL貸与が困難になったことを明らかにした。取材に「協力を検討したが、白紙に戻す」と話した。名古屋市は大井川鉄道から車両を借り、2016年度に2日間程度、あおなみ線で臨時運行をする計画だったが、難しくなった。15年度当初予算案に盛り込んだ関連経費の是非も問われそうだ。

 大井川鉄道の広報担当者は「名古屋市から協力依頼があり、社内で検討したが、役員や取引銀行から反対の声が出た」と説明した。事実上の貸与検討の打ち切りで、方針を名古屋市側にも伝えた。名古屋市の担当課長は「大井川鉄道の意向をもう1度、確認したい」と話した。

 大井川鉄道はSL運行で知られるが、11年度から3期連続で赤字。有利子負債も35億円に上る。経営が苦しいなか、あおなみ線に車両を貸すことは、自らライバル社を育てることにもなり、経営上の不利益が大きいと判断した。

 あおなみ線でのSL運行は、河村たかし市長が「人を呼び、活気を生み出すことができる」と提唱。今月9日に発表された15年度当初予算案には、関連費用2千万円が盛り込まれた。

 一部区間でのレール改修に向けた設計費と、大井川鉄道から借りる車両に、あおなみ線に対応する自動列車停止装置(ATS)を取り付けるための設計費。車両貸与が白紙化すると、予算を計上する前提も揺らぐことになる。

 名古屋市は13年2月に2日間、あおなみ線の一部区間からJRの貨物線に乗り入れる約5キロのルートで、SLの実験走行をした。当時は、車両をJR西日本から借りた。計6往復に1200人が乗り、沿線の見物客は4万3千人に上った。

 (中日新聞)

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