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12:00
平均年齢40.4歳は別にいいが、0.9歳上昇は要警戒!

毎年確実に1歳ずつ老けているみなさん、体調はいかがでしょうか。去年より確実に衰え、去年より確実に死へと近づいている現実、キチンと受け止めていますでしょうか。去年より今年の給料が1000円低かったときの得も言われぬ腹立ちと脱力感以上に、去年より今年の余命が1年短くなっているという現実をしっかりと受け止め、今日もプロ野球のオープン戦観戦などに勤しんでください。「他人がボールを投げたり打ったりする遊びの練習を見るために余命の1日を費やした」という現実をしっかりと受け止めて。

さて、遅ればせながら先日発表されたJリーグ観戦者調査の件です。こちら各方面で話題ともなっており、すでにご覧になったかと思いますが、何とJリーグ観戦者の平均年齢は40.4歳であり、本格的調査を始めた2001年以降では初めて40歳を超えたとのこと。さらに、入場者数自体は横ばいで、新規ファンの獲得に苦戦している様子が浮き彫りになったのだとか。いやいや、景気の悪い話です。

↓平均年齢40.4歳!Jリーグはもはや若者の文化ではないということか!

どうりでオッサンが多いと思った!

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失礼、ちょっと先走りすぎました。この調査をもって「Jリーグはオッサン文化だな!」と決めつける前に、いくつか念頭に入れておくべき情報があります。まず、この調査が試合来場者に紙を配ってアンケートに答えてもらうという形式のものであり、その意味では「真実」にどこまで迫っているかは永遠に不明な調査です。

世の中には「面倒臭い回答しない」派もいるでしょうし、「回答したけどウソだよ」派もいるでしょう。僕はサッカー場でアンケートなど回答しません。そして、あらゆるアンケートに対して「18歳 高校生 女子」とウソを回答しています。チケット購入時の入力情報や、入場時の身分照会(※今はないが、もし導入されたら)などから吸い上げた「ウソのつけない情報」をまとめたものではないので、結果自体が真っ赤なウソかもしれません。オッサン連中からの「ウソだな!」という反論、大いに結構だと思います。

また、もうひとつ念頭に入れておくべき情報として、この調査の対象が11歳以上の男女を対象としていることがあります。極端な話、「1万人の来場者がいて、ほぼ全員が小学校低学年なのに、ひとりだけオッサンがいた」みたいな試合で調査すれば、実態と乖離した結果になります。大相撲観戦者の平均年齢なども「10万52歳のデーモン小暮閣下」が来場しているかどうかで一気に10歳単位で上下するでしょう。

僕もかつては「ミニ四駆アニメの映画をオッサンのくせに見に行って、子どもたちと本気でレース対決」などをしていた男です。オッサン連中からの「もっと子どもがいた気がする!」という反論、大いにあり得ると思います。実際に発表の中でも「同伴来場の子供2人までを含むと、34.1歳」という結果も添えられていますので。

しかし、この調査自体には難癖をつけられるとしても、「毎年同じようにやっていることなのに去年までと違っていること」があるなら、そこは大いに参照すべきでしょう。「前年より平均年齢が0.9歳上昇した」という点は、この調査が仮にザル調査であったとしても、「そうした変化の傾向がある」という意味で信頼できるポイント…無視するわけにはいかないポイントだと思います。

↓過去数年分の結果報告と比較すれば、今年の「0.9歳上昇」はどのような意味があるのかわかるはず!
●2004シーズンについての調査結果
・平均年齢34.7歳
・男性57.7%、女性42.3%

●2005シーズンについての調査結果
・平均年齢35.4歳(+0.7歳
・男性58.2%、女性41.8%

●2006シーズンについての調査結果
・平均年齢35.9歳(+0.5歳
・男性58.9%、女性41.1%

●2007シーズンについての調査結果

・平均年齢36.5歳(+0.6歳
・男性59.5%、女性40.5%

●2008シーズンについての調査結果
・平均年齢37.4歳(+0.9歳
・男性61.2%、女性38.8%

●2009シーズンについての調査結果
・平均年齢37.3歳(−0.1歳
・男性60.6%、女性39.4%

●2010シーズンについての調査結果
・平均年齢38.2歳(+0.9歳
・男性61.5%、女性38.5%

●2011シーズンについての調査結果
・平均年齢38.6歳(+0.4歳
・男性62.0%、女性38.0%

●2012シーズンについての調査結果
・平均年齢39.0歳(+0.4歳
・男性62.8%、女性37.2%

●2013シーズンについての調査結果
・平均年齢39.5歳(+0.5歳
・男性62.6%、女性37.4%

●2014シーズンについての調査結果
・平均年齢40.4歳(+0.9歳
・男性61.5%、女性38.5%

http://www.jleague.jp/aboutj/spectator-survey/

調査を本格的に開始してから11年で、平均年齢が下がったのは1回だけ!

おおよそ年0.5歳くらいのペースで上昇していて、11年で平均年齢は5歳上がった!

その中で0.9歳上昇は結構な上がり幅!


例えば、11歳から60歳までの各年齢に1万人ずつファンがいて総計50万人という集団を考えたとき、これが「誰も死なず、誰も止めずに」そのまんま持ち上がると平均年齢は1歳上がります。だから、0.9歳上昇という結果を見ても「まぁ当たり前じゃね?」と思うのかもしれません。

しかし、もしその集団に新たに10歳から11歳になったファン1万人(ほかの年齢と同じ数)が加わっていた場合を考えると、11歳から61歳までの総計51万人の平均年齢の上昇幅は0.5歳なのです。以降も、毎年既存のファンが持ち上がり、それと同じ数だけの新規年齢が加わってくれば「0.5歳平均年齢が上昇する」ことは変わらず、10年で平均年齢は5歳上昇するのです。

ちなみに、人口ピラミッドを考慮して「1つ年齢が上がるごとに人数が増え(仮に2%ずつ年寄りほど多くなるとして)、最低年齢ファン数に対して最高年齢ファン数が3倍程度いる集団」を想定しても、1年での上昇幅は0.65〜0.7歳ほどで、そのまんま1歳持ち上がったするわけではありません。

これは理想的な状況でわかりやすく計算したものですが、「1歳上がるのは当たり前じゃね?」という発想はカンチガイで、基準とすべきは「0.5〜0.7歳」なのです。それを踏まえると、0.9歳という上昇幅は「年寄りが異常に増えたか」「若年代がまったく入ってきていないか」あるいはその両方かを疑うべき異常値と言えるでしょう。最初の計算と同じ状況において、「新たに11歳となったファンが0人」もしくは「新たに最高齢になった年代だけ数が急に倍になる」という現象があれば、平均年齢は約1.0歳上がりますので。

その意味で、調査結果の発表にあたった筑波大の仲沢真准教授の「0.55歳の上昇が平均で、ことしはいつものペースより早い。高齢化が進んだように見える」というコメントは、見たまんまの正直な感想と言うべきものです。そして、高齢者の来場者数が激増したというニュアンスではなさそうなので、大きな傾向としては「若年代の新規が少ないですね」と受け止めるべきものでしょう。10年あまりの中期においては想定内の変動だけれど、2014年という短期で見るとちょっと危ういぞと。この傾向はよくないぞと。そう考えるのは自然なことだと思います。

↓なるほど、それで生命保険の会社とかが支援してくるわけだな!

人間はそのうち全員死ぬからな!

若いヤツは保険とか考えないだろうけど、オッサン連中はそろそろ死ぬからな!

Jリーグのファンも、そろそろ保険に入りたくなる頃だろう!

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平均年齢は上がるのが当たり前で、上がるのが悪いわけではありません。全世代から愛される類のコンテンツとしては、さらに平均年齢が上がっても問題ありません。「お年寄りにも愛される、安全で快適なJリーグ」は皆が目指すところでもあります。ただ、その上昇幅はもう少し緩やかであるのが自然であり、「客数変化ナシ、年齢だけドンと0.9歳上昇」という2014シーズンの調査結果は、警戒に値するものでしょう。

日本人の平均年齢は2005年の国勢調査で43.3歳、2010年の国勢調査で45.0歳と発表されており、5年で1.7歳の上昇です。生まれる数も少ないけれど、80歳とかがガツンと死ぬので、先の理想的な計算よりも上昇幅は緩やかなのです。しかし、Jリーグは同じ期間で平均年齢を2.8歳上昇させており、さらに昨年だけで0.9歳を積み増したのです。出生数に沿う割合で「若い新規」を順調に獲得できていれば、ここまでのハイペースにはならないはずです。(参照:http://www.stat.go.jp/data/kokusei/2010/sokuhou/pdf/gaiyou1.pdf

世の中には「リピーターこそ大事」「新規向けの施策で既存客を切り捨てるな」「オーオーオーオー!」という声もあるでしょう。しかし、「若い新規」を取れないコンテンツに未来はありません。既存客はいつか必ず死にます。死なないまでも余命はどんどん少なくなりますし、年を取ればすべてが億劫になります。毎年9割の客が継続するコンテンツでも10年後には今いる客は3分の1にまで客は減少し、99%の客が継続するコンテンツでも10年後には10%も減少するのです。若いヤツのいない村がどうなるか、若いヤツのいない国がどうなるか、それと同じ危機感はコンテンツにもつきまとうものです。

↓ちなみに先ほどと同じように、過去の調査結果から「リーグ全体の新規層の構成比」だけを通して見るとこうなります!
●2007シーズンについての調査結果
・新規参入層の構成比率8.0%

●2008シーズンについての調査結果
・新規参入層の構成比率7.7%
※熊本、岐阜がJ2参入

●2009シーズンについての調査結果
・新規参入層の構成比率9.9%
※栃木、富山、岡山がJ2参入

●2010シーズンについての調査結果
・新規参入層の構成比率7.5%
※北九州、鳥取がJ2参入

●2011シーズンについての調査結果

・新規参入層の構成比率8.0%

●2012シーズンについての調査結果
・新規参入層の構成比率8.1%
※町田、松本がJ2参入

●2013シーズンについての調査結果

・新規参入層の構成比率8.5%
※長崎がJ2参入

●2014シーズンについての調査結果
・新規参入層の構成比率8.0%
※讃岐がJ2参入
※J3はカウントしていない模様?/詳細不明

客数の変動があるのでこれだけ見ても何とも言えないけれど、まぁ2014年も平年並みか!

同じくらいの割合で新規は来ているのに、年齢はガツンと上がったと!

オッサンが友だちのオッサン誘ってオッサンばっかり来てるんじゃないのか!?若いヤツもっとこい!


僕自身も個人的に、オッサンがたむろする場所より若い子がキャッキャしてる場所のほうが好きです。自分がどこまで現場で踏みとどまれるかはともかく、着飾った女子大生や、初々しい高校生カップルのいる場所に居たい。その空気を吸いたい。ディズニーランドとかキラキラしてますよ。制服の女子高生が女子友5人くらいとミニーの耳つけて歩いてます。ミニーがウジャウジャですよ。僕はその風でめくれるスカートを見て、カラダの一部がエレクトリカルパレードです。

若い子に金がないなら、「春のキャンパスデーパスポート」みたいに若いヤツだけ割り引いたらいいじゃないですか。初めての人がおっかなビックリしているなら、「アナ雪のパレード登場」みたいなブームに乗った魅力的な新企画で、心の壁を乗り越えさせたらいいじゃないですか。親世代が子供を連れて行きやすくするために、ファミリーなら子どもタダくらいやってもいいじゃないですか。無数のアイディアの中で、「絶対この日に優勝が決まる」とわかっている試合を作って、一生に一回くらい見てみるかという気にさせるのもひとつの手です。

キラキラしている若者がいてこそ、ベテランも若さを保てるというもの。毎回同じヤツと顔突き合わせて、毎回同じ話をする集まりじゃ退屈は募るばかり。オッサンは気分は若いつもりですが、全然若くなんかないのです。振り返ってみてください。自分が若かった頃を。年上風吹かせる面倒臭いオッサンの寄り合いは敬遠したものでしょう。オッサン率が高まれば高まるほどキラキラした若者は別のところに新しくて気持ちいいコミュニティを求めるものなのです。

平均年齢がいくつになろうが、それは問題ではありません。ただ、「中心」がどこにあるかは常に意識していきたいもの。僕はコンテンツを殺すのは「古参」だと思っています。変化を嫌い、現状を愛する古参が、新たな風の通り道を塞いでしまうのです。変化は正義であり、ダメな変化でもその場にとどまるよりはマシ。変わっていくからこそ、毎年見届けたくもなるというものです。今の気持ちよさを守るよりも、変わっていくものを見守り、自分たちがどのように退いていくかを考えてこそ、立派な年寄りでしょう。0.9歳も実年齢の平均が上昇したぶん、それを補うだけの席を後進に譲っていきたいもの。今回の調査結果を見て、そうしたことを意識的にしていかないといけないな…僕はそんなことを思ったのです。電車の席は譲ってもらうが、人生の席は譲ってあげる。そういう年寄りになりたいですね。

まぁ、僕はまだまだ平均より下ですし、何の席を占めてるわけでもありませんが!

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「女子高生」が永遠にキラキラしているのは、3年で追い出されるから!