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SF作家、荒巻義雄さん 作品に登場する札幌南高の同級女性は渡辺淳一さんも題材に
81歳で現役として書き続けているSF作家、荒巻義雄さんの全集の出版が始まった。これまで入手が困難だった初期の作品を中心に全7巻。毎月出版されるので、連日、ゲラに手を入れる作業に追われている。
「札幌では本はあまり売れないけれど、東京で先日トークショーをしましたが売れますね」と、自らの根強い人気に満足げだ。
荒巻さんは1933年、小樽市の生まれ。今回の全集第3巻の『白き日旅立てば不死』では、札幌南高で同級生だった同級生の女性のことが出てくる。この女性、同じく作家の渡辺淳一さんも『阿寒に果つ』で書いている。同じ人物について異なる分野の作家2人が書いているのはとても興味深い。
荒巻さんによると「SF小説は5%の事実と95%の虚構で構成される」。2冊を読み比べるのも面白い。
この作品のなかでは、カジノでのギャンブルのことが詳しく出てきてとても興味深い。
「これを書くためにヨーロッパを旅行してきた。カジノでは、ギャンブルを体験しながらも旅費を減らさないように苦労した。そうした経験が入っている。賭け事はロマンなんだよね」
さらには、「ルーレットを買って、何千回も回して確率を研究した」という。「賭け事はすぐに飽きるほう」というが、書くための研究ぶりは徹底しており、その面でも読み応えがある。
これまで180冊を出版。幅広い作品は多くの人に支持されたが、賞には全く縁がなかった。泉鏡花賞では最終選考まで残ったが惜しくも受賞を逃した。しかし、その後に書いた、代表作ともなっている架空戦記物の「艦隊シリーズ」は合計819万1000部を売る大ヒットとなった。
出版業界も東京に一極集中しているが、札幌にこだわり続ける。
「札幌は付き合いもほどほどにできて、作家にとっては自分のペースで仕事ができるのがいい。今の時代は、原稿をメールで送って、どこに居ても仕事ができるから」