ダンゴウオ:別種80年以上…実は同一種 北大研究チーム

毎日新聞 2015年02月22日 09時25分(最終更新 02月22日 09時39分)

「コンペイトウ」と分類されていたダンゴウオ科の一種。全身がコブに覆われ、背びれが埋没している=阿部拓三・北海道大助教提供
「コンペイトウ」と分類されていたダンゴウオ科の一種。全身がコブに覆われ、背びれが埋没している=阿部拓三・北海道大助教提供
「コブフウセンウオ」と分類されていたダンゴウオ科の一種。頭部にはコブがない=阿部拓三・北海道大助教提供
「コブフウセンウオ」と分類されていたダンゴウオ科の一種。頭部にはコブがない=阿部拓三・北海道大助教提供
「ナメフウセンウオ」と分類されてたダンゴウオ科の一種。硬いコブはなく、全身の皮膚はなめらかだという=阿部拓三・北海道大助教提供
「ナメフウセンウオ」と分類されてたダンゴウオ科の一種。硬いコブはなく、全身の皮膚はなめらかだという=阿部拓三・北海道大助教提供

 ユーモラスな丸い体を持つ「ダンゴウオ科」の魚のうち、80年以上別々の種として分類されてきた3種が同一種だったと、北海道大と兵庫県立大の研究チームが発表した。長期飼育の結果、体の特徴の違いは、雌雄の別や成長に伴う変化によることが分かった。今後、学名変更に向けた研究と手続きを進めるという。英水産学会誌電子版に発表した。

 ダンゴウオ科の魚は28種が知られ、体の表面のコブの数や配置、骨の形などの形態に基づいて分類される。日本近海では北海道や東北を中心に10種程度が生息している。

 阿部拓三・北大助教(魚類生態学)らは、兵庫県沖で採取されたダンゴウオ科のうち、全身コブだらけの「コンペイトウ」は雌ばかりで、頭部にはコブがない「コブフウセンウオ」と、硬いコブがない「ナメフウセンウオ」は雄だけであることに気づいた。

 同県沖で見つかった卵を北大の実験所でふ化させ、成長過程を調べたところ、コブがどんどん成長して体長も約12センチまで大きくなるグループと、ふ化後13カ月以降からコブが減り、体長7センチほどで成長が止まるグループに分かれた。生殖腺を調べたところ、前者は雌、後者は雄だった。

 DNA配列も調べ、いずれも同じ種と確認した。雌はコンペイトウ▽コブが残っている若い雄はコブフウセンウオ▽コブが消失した雄はナメフウセンウオ−−と分類されていたと考えられる。学名が統一される場合、最も早く学名がついたコンペイトウのものが採用される見通しだという。【大場あい】

最新写真特集