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企業は資本効率の向上で市場評価高めよ

2015/2/21付
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 日経平均株価が1万8000円を上回り、IT(情報技術)ブームにわいた2000年春の水準まで回復してきた。

 企業が不採算事業の見直しなどによって稼ぐ力を取り戻していることが、株高の背景にある。それだけでなく、資本を効率的に使う意識が企業の間で広がっていることも見逃せない。企業が市場評価を長期的に高めるには、資本効率の向上策を株主に示し実行することが欠かせない。

 資本効率を示す代表的な経営指標として、自己資本利益率(ROE)があげられる。低ROEは投資家の目に日本企業の競争力の低さと映り、株価が低迷する一因となってきた。

 14年度の上場企業のROEは9%弱と、ITブームのころに比べて4ポイント程度改善する見通しだ。こうした変化の兆しが日本企業に対する市場の評価を良い方向に変えつつある。しかし、米欧に目を転じるとROEが15%程度の企業も珍しくない。日本企業は改善の余地がまだ大きいといえる。

 ROE向上の姿勢を鮮明にした企業の一つがソニーだ。このほど発表した中期経営方針の中で17年度の数値目標として、5000億円以上の営業利益と10%以上のROEを掲げた。成長分野とみる電子部品やゲーム、映画、音楽に重点的に投資し、資本を無駄遣いしないようにする。

 ROEは自社株買いや配当で資本の増加を抑えることによっても引き上げが可能だ。株主が企業に自社株買いを求めるのもROEを意識してのことだ。それに呼応して企業も自社株買いなどの株主配分を増やしている。

 株主配分は個人消費を刺激するなど、経済を活性化させる効果もあるとされる。しかし、企業が投資に回すべきお金まで配分すると、中長期の利益成長や雇用の拡大が犠牲になりかねない。

 こうしたROE重視経営の副作用を避けるために、資本効率と利益成長の両面を追求することも必要だ。例えば富士フイルムホールディングスは昨年11月に作った経営計画でROEの数値目標を掲げるとともに、M&A(合併・買収)に4000億~5000億円を投じる戦略も示した。

 多くの企業はリストラで捻出した資金を豊富に持っている。手元資金を効率よく使って利益を増やし、ROEを向上させるという好循環が期待される。

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