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 2月末に期限を迎える欧州連合(EU)などのギリシャ支援をめぐる交渉は、4カ月間延長することで決着した。お金の「蛇口」を絞られたギリシャのチプラス政権は、ドイツなどが主張する財政緊縮策を伴う現行の支援の枠組みを受け入れざるをえなく、「反緊縮」は風前のともしびだ。

 20日のユーロ圏財務相会合は、当初の予定より1時間半以上遅れて始まった。事前のすりあわせに時間がかかったからだ。

 英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)などによると、デイセルブルーム議長とドイツのショイブレ財務相、ギリシャのバルファキス財務相、国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事が会合前、5時間にわたって協議。ギリシャにいるチプラス首相とも電話で連絡をとりながら進めた。

 1月の総選挙で緊縮策の終結と債務の減免を掲げて大勝したチプラス政権。強い姿勢で交渉に臨んだが、最大の支援国ドイツが立ちはだかった。背景には、ギリシャの「特別扱い」を許せば、緊縮策に取り組んでいる他の国に波及しかねないという危機感がある。今年総選挙があるスペインでも反緊縮の政党が支持を伸ばすほか、イタリア政府も緊縮緩和を求める姿勢が強い。

 ギリシャにも弱みがあった。国内の銀行では、先行き不安から預金を引き出す動きが強まっている。欧州中央銀行(ECB)に資金繰りを頼っているだけに、支援継続は不可欠だった。

 チプラス首相は21日のテレビ演説で、「基本目標は達成した」と評価しつつ、「戦いには勝ったが、戦争には勝っていない。難局はこれからだ」と述べた。ドイツのショイブレ財務相は会合後の記者会見で、「EUと合意した改革が実行されない限り、(支援の)支払いもない。ギリシャは有権者に合意を説明するために厳しい時間を過ごすことになるだろう」と牽制(けんせい)した。