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海外でも自分たちらしさを失わない DIR EN GREY
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DIR EN GREY(ディル・アン・グレイ)は、最も世界で活躍する日本のバンドである。2005年に、ベルリンで初の欧州単独公演を行い3500人の会場を完売、以来欧米でツアーを定期的に行い、大きな反響を受け続ける。世界的な活動が10年を迎える今年、3月には3回目の武道館2デイズを控える。リーダーでギターの薫に、貴重なインタビューを敢行した。
――1997年に結成、99年のメジャーデビュー前の98年に日本武道館公演を実現したそうですが、その頃に海外進出は考えていた?
「全く想像もしていなかったですね。メジャーデビュー時は、X JAPANのYOSHIKIさんのプロデュースでLA録音を行うわけですが、そもそも本格的なスタジオ録音もそれが初めてだったわけです」
――X JAPANをはじめとする日本のバンドに影響を受けたということですが、本格的に海外に進出するにあたって、その音楽性を再検討されたのでしょうか?
「日本のビジュアル系バンドの良さというものを自分たちの根本に置いてます。洋楽も聴きましたが、海外のロックを聴いて『こんなふうにやってみよう』みたいな感じはあまりなかったですね。しかし、海外ツアーなどで向こうのバンドの良さに触れているうちに、自分の体を通過した表現として、徐々に音が変わってきたことはあるかもしれません」
――DIR EN GREYの面白さは、楽曲のエキセントリックさには、洋楽と競っても負けないインターナショナル性を感じるところにあるんです。KoЯnのようなバンドとともに、長期ツアーもされたそうですが、なるほど、と思うこともあるでしょう?
「ああいうすごいバンドと接して、結局『自分たちらしくいることが一番パワーになる』ということがわかったんですよ。『俺にはこれしかできへん』というものが一番大事だと。結局は自分の中にあるものが勝負になっていくんですね」
――自分たちの内的必然性を大事にされているということですね? その結果生まれてきた音楽性のどういうところが外国で受けるんでしょう? 和風なメロディーは訴求しているんでしょうか?
「正直、例えばメロディーのどの部分が受けているとか、よくわからない。しかし、僕らの歌を会場中の外国人のファンたちが日本語で大合唱してくれるんですよ。そんな時には、感動してもらえてるな、と実感します」
――そうした現象はクールジャパン的といえると思いますが、やはりアニメの影響とかもあるのでしょうか?
「あると思います。僕らが海外で反応が出始めた時、アニメの勢いもすごかったです。僕らの音楽もYouTubeなどネットを通じて、知らない間に受け入れられていました」
――英語で歌ってくれというオファーは来ないのですか?
「いわれますよ。海外進出すると英語で歌わないとダメだ、とまずいわれるんですね。まず、英語でないと向こうのラジオでかからないんですよ」
――英語でのレコーディングもしましたか?
「数曲しましたね。でも反響は特にないんですよ。ライブでは結局日本語で歌ってしまうので、やめてしまいました」
――アメリカのように大陸のツアーの場合、体力的にキツいという話を聞きます
「キツいですよ。バスでひたすら回らなければならないツアーには逃げ場がないんですね。それから、なんらか大事件も必ず起きますからね。大変です」
――世界に出ていきたいバンドは、これからも出てくると思います。アドバイスは?
「中途半端は海外の客に受け入れられません。ひたすら『自分らしさ』を増幅することですね」(アーティスト・作詞家 サエキけんぞう/SANKEI EXPRESS)