最高裁:男児のボール避けて転倒死…親の監督責任見直しか
毎日新聞 2015年02月05日 20時28分(最終更新 02月05日 20時36分)
バイクを運転中に小学生男児(当時11歳)が蹴ったボールを避けて転んだ後、死亡した男性の遺族が、男児の両親に賠償を求めた訴訟の上告審で、最高裁第1小法廷(山浦善樹裁判長)は5日、遺族側、両親側双方の意見を聞く弁論を3月19日に開くと決めた。最高裁が2審判決を見直す際に必要な弁論を開くことで、親の監督責任を認めて賠償を命じた1、2審判決が見直される可能性が出てきた。
民法は、賠償責任を負えない児童らが第三者に不法行為で損害を与えた場合、監督者が監督義務を怠っていれば責任を負うと定めている。上告審では男児に過失があったことは認めた上で、過失を両親が負う必要があるかに争点が絞られており、最高裁の判断は同種訴訟にも影響を与えそうだ。
愛媛県今治市で2004年、バイクに乗った80代の男性が、小学校の校庭から飛び出たサッカーボールを避けて転んで足を骨折。その後に肺炎で死亡し、遺族が約5000万円の賠償を求めた。1審・大阪地裁は男児の過失を認め、死亡との因果関係も認めたうえで、監督者の両親に責任があるとして約1500万円の賠償を命じた。2審・大阪高裁も約300万円減額したものの責任を認めた。
過去の裁判例では、不法行為が認められたケースの大半で監督者にも賠償責任が及んでいる。監督責任はないとの立証には「一般的に日常の監督を怠らなかったこと」の証明が求められ、ハードルが極めて高いとされてきた。【川名壮志】