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過激派組織ISの実態 リビア住民が証言
2月19日 23時04分

過激派組織IS=イスラミックステートの脅威が北アフリカのリビアにも広がるなか、ISの活動が活発なリビア北部の都市に住む住民がNHKの電話インタビューに対し、「街ではISが検問所を設けたり、大規模な軍事行進を行ったりして力を誇示している」と述べ、支配の実態を証言しました。

リビアでは、4年前のカダフィ政権崩壊後の混乱に乗じて、過激派組織ISが東部のダルナや北部のシルトなどで活動を活発化させています。
このうち、シルトに住む36歳の男性が19日、NHKの電話インタビューに対し、「ISの戦闘員の多くはチュニジアやエジプトなど外国人で、街の中に検問所を設けたり、60台以上の車で大規模な軍事行進を行ったりして力を誇示している」と述べ、ISが勢力を拡大し、街を支配している実態を明らかにしました。
そして、「ISは、『国家』や『国民』という概念を認めず、人々に自分たちの教義を押しつけて、新たな国家を作ろうとしている。治安や経済状況も悪化し、人々は憤りを感じている」と証言しました。
男性は、エジプト軍が今週、リビア国内のISの拠点を空爆したことを歓迎したうえで、「国際社会はリビア軍に武器を提供してほしい」と述べ、国際社会に対し、リビア情勢により積極的に関与するよう求めました。

ISは軍事行進をアピール

ISは、リビア北部の都市、シルトで行った軍事行進の写真をインターネット上に投稿し、アピールしています。
写真では、機関銃などが備え付けられたトラック10台以上が、市街地で列を成しています。
また、運転席や荷台に乗った戦闘員が、覆面をして迷彩服を着たうえで、ロケット砲や銃を携帯したり、旗を掲げたりしています。
こうした軍事行進は、シリアやイラクでもISが勢力を拡大した時期に行われ、今回リビアでも、ISの支配が確立し始めていることを印象づけるねらいがあるとみられます。

カダフィ政権崩壊後のリビア

リビアでは、2011年のいわゆる「アラブの春」で、独裁政権だったカダフィ政権が崩壊して以降、政治を巡る部族ごとの争いから各地で武力衝突が起きました。
暫定議会が発足して治安の安定を目指したものの、2012年9月には、カダフィ政権の崩壊後に勢力を拡大させたイスラム過激派組織が、リビアのアメリカ領事館を襲撃し、大使が死亡するなど混乱が拡大しました。
去年、暫定議会に代わる正式な議会の選挙が行われましたが、選挙で選ばれた世俗派中心の新たな議会と、その議会への権限移譲を拒否するイスラム勢力中心の暫定議会が対立し、それぞれが、独自の首相を選出する異常な事態になっています。
そして、それぞれを支持する勢力が国の東と西に拠点を置いて、武力衝突を繰り返すなど内戦状態となり、日本を含め各国が大使館を閉鎖して退避しました。
この混乱に乗じて、過激派組織IS=イスラミックステートが、北部のシルトや東部のダルナ周辺を活動拠点としていて、勢力の拡大を図っています。

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