鈴木宗男・新党大地代表と、元外務省主任分析官で作家の佐藤優氏による対談講演会「東京大地塾」。
今回のテーマは、湯川遥菜さん、後藤健二さんを拉致、殺害したイスラム国についてだ。イスラム国の次の標的のひとつとして名指しされた日本は、今後どうすべきなのか?
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鈴木 1月7日、フランスで新聞社襲撃テロが起きた翌日に、イギリス保安局(MI5)のアンドリュー・パーカー長官が「フランスで起こったことは今後イギリス、いや西側諸国で起こるかもしれない」と警告を出しました。
めったに表に出ない保安局の人が、わざわざ出てきてコメントしたのには、テロに関するなんらかの情報を持っているからだと思うべきですね。
佐藤 先生がおっしゃるとおりで、1月7日から世界は変わったと思います。イスラム国が全世界に対して「世界暴力革命戦争」を仕掛け始めたわけです。
ただし、イスラム国との対応では、注意しなければならないことがある。
まず今回、後藤さんと湯川さんが拉致されて身代金が要求されました。私のところにもマスコミから、身代金は払うべきか払わないべきか、という電話がかかってきましたが、こういう問題には振り回されないよう注意しなくてはならない。というのも、これは「疑似命題」だからです。
疑似命題とは、例えば「ウサギの角の先は尖っているか、それとも丸いか? 議論してください」みたいなものです。しかし、これは回答できないんですよ。ウサギに角はないですから。
これと同じで、身代金は口では要求していても、実際に要求しているかは別なんです。1月20日に動画が出た時、イスラム国は2億ドルの身代金を要求しました。先生、デパートの一般的な紙袋に1万円札を詰めると、いくら入りますかね?