新韓金融グループの韓東禹会長(66)が第2期体制をスタートさせた。再任は3月26日の第13期定時株主総会および理事会で確定した。2011年に就任して3年、昨年12月に会長推薦委員会で候補として決定して3カ月のことだ。再任された韓会長は「新韓が再び飛躍する重要な時期に重責を担うことになり肩が重いが、信じて選んでくださった株主に感謝する」とあいさつ。「本業である金融での差別化と圧倒的な競争力を確立し、新韓をさらに発展させるという使命を果たして(任期を)終えたい」と抱負を述べた。また、第1期から強調してきた「温かい金融」に「顧客と未来をともにする」というコンセプトを含めることにした。韓会長は退職者向けの商品開発に代表される、退職者のビジネスモデル作りといった「創造的金融」を構築する考えも明らかにした。
(ソウル=李民晧)
| 株主総会の様子 | ◆第1期の最大の成果は 「信頼の回復」
韓東禹第1期体制の成果は、数字が証明している。新韓金融の昨年の純利益は1兆9028億ウォン。前年比18%減と、低成長・低金利の影響を免れることはできなかった。
しかし、08年から6年連続で純利益国内1位の座は守った。資産の健全性の指標である固定以下与信比率は1・26%で、前年比0・08ポイント改善し、2位の金融機関の1・79%より優れたリスク管理が行われていることを示した。韓東禹第1期最大の成果は、経営陣の内紛によって失われた顧客や株主の信頼を回復し、組織の安定と結束を取り戻したことだ。
今年2月には金融専門誌「ザ・バンカー」が新韓金融を韓国1位、世界43位に選んだ。1月のダボスフォーラムでは、「持続可能なグローバル企業100社」の30位に入り、サムスン電子を抜いて韓国企業のトップに名を連ねた。
◆2014年の経営スローガンは「異なる考え、新たなスタート」
新韓金融は、2014年の経営スローガンを「異なる考え、新たなスタート」、目標を「顧客のための創造的総合金融の実現」と定めた。このための6つの戦略課題として現場の従業員の日常業務にまで「温かい金融」の意識づけや、収益向上のための創造的金融、引退後のビジネスプラン設計の推進と差別化、世界各地での地域化と新市場の開拓、取引先の多角化と技術革新、戦略的なコスト削減を進める方針だ。
これらの実践指針には、韓会長の「金融の本業で勝負をかける」、「結果だけでなく、プロセスも重視する」という「登路主義」の経営理念が反映された。韓会長は顧客や社会とともに成長することこそ、新韓金融の将来の原動力になると強調している。
◆役員報酬を自主的に大幅減 新たな在日の社外理事も
26日の株主総会では、普通株式1株あたり650ウォンの配当も決議された。前年比50ウォンの減少だ。
| 韓東禹会長 | 新韓側は純利息マージンの減少などにともなう利益の減少に加え、今後米国の量的緩和の出口戦略の実施や、円安といった内外の不確実性を考慮し、資本の適正性強化のための措置だと説明した。韓会長は「韓国の金融機関の配当が低いことを心配する声がある」と認めながらも、「金融業界の景気回復などの条件が満たされ次第、配当率を上方修正するよう努力する」と述べた。
社外理事の選任では、前民団中央団長の鄭進・ジンコーポレーション会長と高麗大学経済学部の李晩雨教授が新たに選ばれた。在日同胞の社外理事は10人中4人だ。そのうちの一人である権泰殷・名古屋外国語大学名誉教授は、会計の専門家として、監査委員長も引き受けることになった。
26日の株主総会では、理事報酬の限度額を前年の60億ウォンから30億ウォンに引き下げる決議も出された。金融機関の高額年俸に対する世論の指摘を受けた結果として、新韓金融役員の年俸も自主的に削減することを決めたという報告もなされた。
これにより、韓会長が前年比40%、銀行をはじめとする系列会社の社長は20%、副行長などの役員は、10%ずつ年俸がダウンとなった。
温かい金融と創造的金融を通じて新韓金融を持続可能な企業に発展させていくという抱負を持つ韓東禹会長。第2期体制を出発する彼が「カッコよく仕上げて去っていく」という決意をどのように実践していくのか、その前途が注目される。 |