夫婦別姓を認めないことと、女性の再婚禁止期間を定めた民法の規定が、憲法に違反するかが争われた2件の訴訟について、最高裁第3小法廷は18日、審理を大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)に回付した。いずれの訴訟も過去に最高裁が合憲か違憲かを判断したことはなく、初めての憲法判断が示される見通し。
最高裁は新たな憲法判断や判例変更をするときは、大法廷に回付し15人の裁判官全員で審理する。2件の訴訟とも一、二審で敗訴した原告側が上告していた。
夫婦別姓をめぐる訴訟は、これを認めない民法750条が「個人の尊重」を保障した憲法に違反するとして、東京などの男女5人が計600万円の国家賠償を求めて提訴し、一審・東京地裁は請求を棄却。「夫婦別姓は憲法で保障された権利とは言えない」と判断し、二審・東京高裁も維持した。
再婚禁止期間をめぐる訴訟は、離婚後に女性の再婚を6カ月間認めない民法733条が「法の下の平等」を保障した憲法に違反するとして、岡山県の女性が国に165万円の損害賠償を求めて提訴、一審・岡山地裁は請求を棄却した。再婚後に生まれた子供の父親が離婚前の夫か、再婚した夫かが分からなくなるのを防ぐための規定とされ、同地裁は「父子関係を巡る紛争を未然に防ぐという立法趣旨に合理性が認められる」と指摘、二審・広島高裁岡山支部も支持した。
夫婦別姓訴訟が最高裁で審理されるのは初めて。再婚禁止期間をめぐっては同種の別件訴訟で最高裁が1995年に請求を棄却した判決があるが、合憲か違憲かは判断されなかった。
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