[PR]

 宮内庁が天智天皇(626~671)陵に指定している御廟野(ごびょうの)古墳(京都市山科〈やましな〉区、7世紀後半)に20日、日本考古学協会など歴史・考古学系16学会の代表らが立ち入り調査した。学会の要請で同古墳に立ち入りが認められたのは初めてで、飛鳥時代の天皇陵に特徴的な八角形墳の形が肉眼で確認できたという。

 学会の陵墓・陵墓参考地への立ち入り調査は2008年以降、11カ所目。御廟野古墳は下部が一辺約70メートルの方形、上部が対角長約42メートルの八角形。同古墳が近江大津宮(現・大津市)で没した天智天皇の墓であることは、文献資料などからも確実視されている。

 学会代表らは約1時間半にわたり、古墳最下段などを歩いて墳丘を観察。参加者によると、八角形部分の斜面は河原石で覆われ、八角形になっていることが確認できた。下部は2段または3段で、上段の角には兵庫県高砂市周辺に特有の凝灰岩「竜山石(たつやまいし)」が置かれていたという。

 日本考古学協会理事の新納(にいろ)泉・岡山大教授は「八角形墳の中では上部、下部とも保存状態が良好で、全体像がつかめる貴重な古墳。八角形墳の被葬者を議論する上で大いに参考になる」と話した。(編集委員・今井邦彦)