東証:緩和マネー・円安が作用 景気回復実感は限定的

毎日新聞 2015年02月19日 21時19分(最終更新 02月20日 00時47分)

日経平均株価の推移
日経平均株価の推移

 19日の東京株式市場で日経平均株価の終値が1万8264円と2000年5月2日以来約14年9カ月ぶりの高値をつけた。円安による大企業の業績改善への期待と、日銀などの金融緩和で株式市場に流れ込んだ資金が相場を押し上げた形だ。ただ、今の株高は中小企業など裾野の広がりを欠いており、景気全体を底上げできるかどうかが今後の株価を左右しそうだ。【大塚卓也、土屋渓】

 「アベノミクスを反映した結果、14年9カ月ぶりの高値になったのではないか」。菅義偉官房長官は19日の記者会見で政権の経済運営に自信を示した。

 アベノミクスは「大胆な金融緩和」を掲げ、日銀は13年4月の大規模緩和に続き、14年10月に追加緩和を実施。これに伴って大幅な円安が進み、輸出企業の業績改善への期待感が強まって日経平均も上昇してきた。証券会社の株価ボードを見つめていた東京都内の男性(73)は「銀行株を先日買い足したばかり。今年中に2万円を超えるのではないか」と期待した。

 ただ、金融緩和に動いているのは日銀だけではない。デフレ懸念が強まっている欧州では、欧州中央銀行が3月、市場に大量の資金を供給する量的緩和に踏み切る。成長が鈍化している中国などの新興国も相次いで緩和にかじを切っている。米国は昨秋に量的緩和を終えたが、米国以外の緩和が市場への資金供給を補っている。大量供給された資金は、もうけが期待できる株式に向かい、世界的な株高をもたらしている。

 また、東京証券取引所1部の全銘柄を対象とする東証株価指数(TOPIX)は19日に1494.93と、00年5月2日時点よりも1割以上低い水準にとどまった。日経平均の算出に用いられるのは大企業225社の株価だが、TOPIXは事業規模が小さい企業も含めた約1860社の株価を使う。株価の差は、円安のメリットを受けやすい大企業が株価上昇をけん引している姿を浮き彫りにする。中小企業は、円安による輸入原材料の値上がりの負担が大きく、業績の低迷から抜け切れていない。

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