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日本史を楽しく通史するマンガ15選(前)

先日、“もしも「学べるマンガ」が図書館に充実していたら”という記事を書いた。この「もしも」を実現すべく、マンガを通して子どもたちの好奇心を高め、物事への関心を広げる新プロジェクトがノミネートしているネット総選挙が、Facebookの「いいね」を通して実施されているのでぜひ投票いただきたい。

今回は、「学べるマンガ」のなかのほんの一部であり、また王道でもある日本史を題材にしたマンガについて紹介したい。日本史といえば、「まんが日本の歴史」シリーズのような、いわゆる「学習漫画」もよいが、ちょっと勉強っぽさがあり、高校生や大人には物足りなさが残る。そこで、エンタメマンガを楽しみながら日本の2千年の歴史を通史できてしまう15作品を選んでみた。

【弥生時代】

ナムジ―大国主 (1) (中公文庫―コミック版)

ナムジ―大国主 (1) (中公文庫―コミック版)

1.『ナムジ』(安彦良和著)

ガンダムの作画ディレクター安彦良和氏が描く日本の明け方。イザナギ、イザナミ、アマテラス…「古事記」や「日本書紀」を題材に、歴史資料が少なく学説の分かれる日本の曙ともいえる時代を豊かな想像力と意欲的な発想でいきいきと描いている。私は正直、固有名詞がなくドラマがない古代日本史はあまり好きではなかったが、その最も味気のない時代を、血の通ったドラマとして迫ってくる

【古墳時代】

神武―古事記巻之二 (1) (中公文庫―コミック版)

神武―古事記巻之二 (1) (中公文庫―コミック版)

2.『神武』(安彦良和著)

『ナムジ』の続編で、安彦良和のこのシリーズはイチオシ。

飛鳥時代

日出処の天子 第1巻 完全版 (MFコミックス)

日出処の天子 第1巻 完全版 (MFコミックス)

3.『日出処の天子』(山岸涼子著)

聖徳太子といえば「聖人」というイメージが強いが、この作品は全く別の太子像を描いて見せる。冷酷、魔力、同性愛・・・魔力的な魅力と人間的な弱さという不思議な力によって読者を惹きつける。それでいて太子の歴史的な意義は減じずに、仏教を軸とした勢力争い、豪族と朝廷(天皇家)の実権闘争と政略結婚、朝鮮半島や中国大陸との国際関係など、この時代の重要な出来事が人間ドラマとして描かれている。

天上の虹(1) (講談社漫画文庫)

天上の虹(1) (講談社漫画文庫)

4.『天上の虹』(里中満智子著)

大化の改新と壬申の乱。日本史上大きな歴史事件として上げられる二つの事件は、近親者である時の権力者を殺害するというクーデターによって政権が変わった事件だ。大化の改新で政権を握った中大兄皇子(天智天皇)を父に、壬申の乱で政権を奪取した大海人皇子(天武天皇)を夫に持ち、最後には自らが天皇になった女性、持統天皇が主人公の作品。万葉集の歌を、ストーリーの展開と合わせて豊富に引用している点も特徴で、歌に詠まれる1500年前の人々の心の世界が身近に感じられ面白い。

【奈良時代】

火の鳥 4・鳳凰編

火の鳥 4・鳳凰編

5.『火の鳥(4)鳳凰編』(手塚治虫著)

「マンガの神様」手塚治虫氏の代表作。これは私も図書館で読んで、めちゃくちゃはまった。奈良の大仏で知られる仏教文化が花開いた時代の影の部分に光が当てられる。時の権力やである橘諸兄や、遣唐使として中国に留学した吉備真備が登場し、聖武天皇に大仏建立の命を受ける。奈良時代を舞台に、人間の生と幸福の意味を問う、手塚流の根源的なメッセージもこめられている。

【平安時代】

源氏物語 あさきゆめみし 完全版(1)

源氏物語 あさきゆめみし 完全版(1)

6.『あさきゆめみし』(大和和紀著)

日本を代表する文学作品「源氏物語」をマンガ化した作品。歴史マンガとしてだけでなく、古文の勉強として、受験生にも多く読まれている。とにかく、絵がきれいで、平安貴族の着物や風景が丹念に描かれ、この時代を豊かにイメージさせてくれる。

【鎌倉時代】

火の鳥 7・乱世編(上)

火の鳥 7・乱世編(上)

7.『火の鳥(7)(8)乱世編』(手塚治虫著)

「火の鳥」シリーズの源平合戦を舞台にした作品。源義経が、一般的なイメージとは異なる冷酷なリーダーとして描かれ、弁慶をモチーフにした木こりの主人公もイメージとは真反対。一般的な歴史観の構図を覆し、人間の生を通して歴史を見つめ、時代の運命という流れから歴史を達観するかのような手塚史学の一端に触れられる。

【室町時代】

8.『私本太平記』(吉川英治著、岡村賢二画)

同名の原作は、歴史小説の巨人、吉川英治氏が南北朝時代を描いた晩年の大作。この「私本太平記」をマンガ化した作品だ。かなりインパクトの強いタッチで、濃いキャラに描かれた後醍醐天皇や楠木正成ら歴史上の人物たちが迫ってくる。吉川英治氏の歴史小説は他にも無数あり、マンガ化されている作品も多い。あの井上雄彦氏の『バガボンド』も、吉川英治の小説『宮本武蔵』が原作だ。


ちょっと長くなってしまったので、15作品の前半8作品まで紹介。続きは次回ということで。

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