- 2015 Winter Selection(2015年1月12日〜2月22日)
橋本徹(SUBURBIA)を始めとする
「usen for Cafe Apres-midi」の選曲家14人が
それぞれのセレクトした音楽への思いを綴る
「Voice of “usen for Cafe Apres-midi” Crew」
「usen for Cafe Apres-midi」の選曲家14人が
それぞれのセレクトした音楽への思いを綴る
「Voice of “usen for Cafe Apres-midi” Crew」
- 詳しい放送内容はこちら
中村智昭 Tomoaki Nakamura
- Jan And Naomi
『Jan, Naomi Are』
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以前、本コーナーでも紹介した500枚限定の7インチ・アナログEP『A Portrait of The Artist as A Young Man / Time』に続くJan And Naomiの新たな作品が、今度は5曲入りCDという形で届けられました。年末〜年明けに放送した2014年のベスト・セレクションでは選曲の流れ/構成を優先させたためにリストからは漏れてしまいましたが、特に「DAB♭」は昨年後半に最も脳内再生された楽曲であったことをここに断言いたします。
Dinner-time 月曜日18:00~24:00
Cafe Apres-minuit 火曜日0:00~2:00
中村智昭 (MUSICAANOSSA) Website
Bar Music Blog
音楽観、人柄、そして人生哲学…。Bar Musicの祈りを届けるアルバム。(dacapo)
添田和幸 Kazuyuki Soeta
- Brandon Williams
『XII』
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去年の初めからアルバムの情報が出ていながら、なかなかリリースされなかったブランドン・ウィリアムス待望のアルバム『XII』を今年最初の一枚に選びました。先行でリリースされていたジェシ・ボイキンス三世とロバート・グラスパーをフィーチャーした「Now I Now」を始め、ムーンチャイルドやフランク・マッコム、ドン・ブラックマンといった豪華ゲスト陣で彩られた、期待を裏切らない出来。2015年のミュージック・シーンを占う意味でも重要な一枚だと思います。
Dinner-time 火曜日18:00~24:00
Cafe Apres-minuit 水曜日0:00~2:00
中上修作 Shusaku Nakagami
- Thomas Clausen Trio
『Sol』
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トーマス・クラウセン・トリオのアルバムは今まで聴いたことがなかった。ブラジリアンからバッキングまで器用にこなすピアニストらしい、という情報はとりあえず忘れて本作に触れてみた。まず、デンマークらしい端正なサウンドに膝を打った。その中でもフェンダー・ローズを使用した楽曲に"現代のエヴァンス"、更にいえば"あの頃のチック・コリア"が見えてきてすっかり興奮した。本作は自然をテーマにしているだけに、どこかしら神秘的で思わず襟を正してしまうような作品だが、緊張感があるがゆえに内なる力が漲り、クール・サウンドなのにホットな手触りであるところが心ニクい。
Dinner-time 水曜日18:00~24:00
Cafe Apres-minuit 木曜日0:00~2:00
Bon Antiques
古美術 中上
高木慶太 Keita Takagi
- Cassandra Wilson
『Traveling Miles』
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テーマは「モノクローム」。
きらびやかなクリスマスの反動も少なからずあるとは思いますが、やはりその年の選曲スタートは厳かに迎えたい、という心境がこのテーマを選んだ大きな理由です。気持ちだけでも、真っ白な半紙に墨をたっぷりと含ませた筆を走らせるがごとく(実際にはそんなに流麗にコトは運びませんが)、静かで、ふくよかな時間の流れを意識しました。
Dinner-time 木曜日18:00~24:00
Cafe Apres-minuit 金曜日0:00~2:00
ヒロチカーノ hirochikano
- David Feldman
『Piano』
-
冬選曲には、毎年蓄えておいたピアノ・ジャズを、いつものシーズンより少し多めに配分して全体を構成しています。2014年の末、僕の選曲人生に新しい方向性を示してくれたサウドシズモ溢れるブラジルの旋律と静寂のピアノ・タッチがどこまでも美しいDavid Feldmanの『Piano』を紹介します。ノエル・ホーザ、ジョビンといったブラジルの深く悲しく美しい旋律を、ラヴェルやエヴァンスを感じさせるピアノ・タッチで丁寧に描いたこの作品は、どの曲を何度聴いても、素直に心の琴線を震えさせてくれます。
Dinner-time 金曜日18:00~22:00
渡辺裕介 Yusuke Watanabe
- The Mike Petrone Trio
『Mediterranean Jazz』
-
皆様、あけましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願いします。
ここ近年、とくに昨年はジャズのCD/レコードを、買っていない年でした。ロックとソウルと邦楽のパーセンテージが高かったのですが、今年はThe Mike Petrone Trioの『Mediterranean Jazz』(2008年)を久々に聴いて、ふたたび身体に染み込んできていますので、気軽にピアノを弾きながらセッションしているこんなアルバムを探していこうと企んでいます。実はこのアルバムは一度もここで取り上げたことはありませんが、毎回必ず1曲収録していたほど、どの曲もミッド・テンポのメロディーが馴染みやすい曲が並んでいる素晴らしい内容。長期にわたって選曲に使用できるアルバムはなかなかない中、こんな名脇役アルバムはとくにありません。というのも、このジャケットでは買わないですよね(笑)。ジャケットはアルバムを表すと言いますが、こんなに裏切られると、何故かこんなジャケットもよく見えてきます。ぜひじっくり聴き込んでください。では今年も音楽の旅に出掛けてきます!
Dinner-time 金曜日22:00~24:00
Cafe Apres-minuit 土曜日0:00~2:00
ドリンクバー凡人会議(RKBラジオ)
ジュリ&マサ Juri & Masa
- Rita Reys & Trio Pim Jacobs
『Our Favorite Songs』
- 富永珠梨
寒い冬の夜に灯す静かな音楽。オランダが誇る歌姫リタ・ライスが、夫でピアニストのピム・ヤコブスのトリオと共に吹き込んだ、リラックス・ムード溢れるジャズ・バラード集。ぱちぱちとはぜる暖炉の炎、微笑みを浮かべグラスを傾ける二人、窓の外に降り積もる雪。リタのスモーキーで愛らしい歌声と、ピムのリリカルでジェントルなピアノのタッチが、冬の夜に灯すろうそくのように、静かに心をときほぐしてくれます。冬の家時間を温かく豊かにしてくれる、肌触りのいいブランケットのような音楽です。
- Stephen Stills
『Stephen Stills』
- FAT MASA
あけましておめでとうございます。本年も引き続きよろしくお願いします!
冬ジャケの代名詞と言われそうな、スティーヴン・スティルスの有名なアルバムですが、このジャケットを初めて見たとき、当時はバンドをやっていたので、指がかじかまないか心配でした(笑)。そのバンドはオリジナル・ラヴのコピー・バンドでしたので、「Love The One You're With」と「ブロンコ」の類似性に、いたく感激したものです。コンゴのサプールとまでいかなくても、鮮やかに生きることだけ考えていた学生時代。20年たった今、DJばかりになってしまったので、今年こそ富永珠梨さん、高橋孝治さんと一緒にバンド活動をしたいです(笑)。
Brunch-time 土曜日10:00~12:00
JOYOUS JAZZ(FM NORTH WAVE)
吉本 宏 Hiroshi Yoshimoto
- Celso de Almeida, Felipe Silveira & Sidiel Vieira
『Celso de Almeida Trio』
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昨年の秋に2度目の来日を果たしたダニ&デボラ・グルジェル・クアルテットのベーシスト、シヂエル・ヴィエイラと久しぶりに再会すると、彼は人なつっこい笑顔でCDを手に話してくれた。彼が最近の活動として教えてくれた、ピアニストのセルソ・ヂ・アルメイダ・トリオのアルバムは、クールなエレクトリック・ピアノとシヂエルのまろやかなベースが融合する極上のブラジリアン・ジャズ・サンバに出会える。
Dinner-time 土曜日18:00~22:00
bar buenos aires
TOTOSK KITCHEN(dacapo)
橋本 徹(「usen for Cafe Apres-midi」プロデューサー)
Toru Hashimoto
Toru Hashimoto
- V.A.
『Haven't We Met? 〜Cafe Apres-midi 15th Anniversary Edition』 - V.A.
『Bethlehem For Cafe Apres-midi』 - Tigana Santana
『Tempo & Magma』 - D'Angelo And The Vanguard
『Black Messiah』 - Funkadelic
『First Ya Gotta Shake The Gate』 - Theo Parrish
『American Intelligence』 - Brandon Williams
『XII』 - Jonny Faith
『Sundial』 - Jose Gonzalez
『Vestiges & Claws』 - Nick Drake
『The John Peel Session』
-
寒い冬の季節を少しでも素敵な音楽で彩るべく、今回は計32時間分を新たに選曲した。
金・土・日のトワイライトタイムの特集は、15周年を迎えたカフェ・アプレミディのアニヴァーサリー・セレクション。かけがえのない日々の大切な思い出と共にある名曲・名演を、たっぷりフィーチャーして構成してみた。
大推薦盤は、何と言っても、アプレミディ・レコーズから日本盤がリリースされるチガナ・サンタナに尽きる。早くも2015年のベスト候補。渡辺亨さんはライナーで、「これはまさしくブラジルとアフリカの架け橋で(中略)、人類のための子守歌のようにも思える」と著されている。
12月以降のニュー・アライヴァルではやはり、ほぼ15年ぶりとなるディアンジェロ。スライ〜プリンス(そしてカーティスも)の流れを汲みながら、2010年代ならではの音楽性と社会性を備えた都市型ファンク・アルバム。その『Black Messiah』でも、ヴォーカリストのケンドラ・フォスターが大活躍していたファンカデリックも、33年ぶり33曲入り3枚組の力作が届いた。冒頭を飾る「Baby Like Fonkin' It Up」は、ディアンジェロ『Voodoo』と同じ意味で"Jazz"だ。より未来型のフォルムを宿していたセオ・パリッシュの新作からも、広義の"Jazz"と"Funk"を、可能なかぎりメロウにスタイリングしてみた。
ロバート・グラスパー&ジェシ・ボイキンス/アニーシャ&ケイシー・ベンジャミン/フランク・マッコム/アレックス・アイズレー&ムーンチャイルドから、今は亡きドン・ブラックマンまで、まさしくアーバン・メロウな顔ぶれが揃って、イヴァン・リンスやウェルドン・アーヴァインまでカヴァーしている、ブランドン・ウィリアムスの『XII』からも、数多くの注目曲をピックアップ。幻となっていた90年代メロウR&Bの珠玉、懐かしのジェフ・レッド「Show You」(「Suburbia Suite」ではかつて、プロモ12インチを推薦しました)は、まさかの復刻。"メロウ大王"ことヴェテランのレオン・ウェアも、健在ぶりを示してくれた。
アナログEPでよく聴いていたが、ディグス・デュークの場合のように好評だったのか、最近CD化もされたガブリエル・ガルソン・モンターノの、スライ〜ディアンジェロ的なクール&メロウなファンクも再エントリー。ビート・ミュージック〜エレクトロニカ世代の『What's Going On』という趣もある、ボノボとフライング・ロータスを結ぶような、ジョニー・フェイスによるチルアウト・メロウ・ブレイクビーツ盤『Sundial』もレコメンド。
ジャズ系では、英国クラブ・シーンにおいて信頼に値するノスタルジア・77、悲劇を乗りこえパット・メセニーとの共演も素晴らしかったジミー・グリーン。"City Folk"を標榜しインディー・ロックとの接点を感じさせたジェイムス・ファームにも触れておこう。
フォーキー方面では何よりも、8年ぶりとなるニュー・アルバム『Vestiges & Claws』を発表するホセ・ゴンザレスを、ひと足早く選出できたのが嬉しい。本人いわく「シュギー・オーティスとサイモン&ガーファンクルの中間に位置するような、シンプルで温かみのあるサウンド」だが、ニック・ドレイクの残像も強く感じられる。そんなことを思いながら、ニック・ドレイクの永久保存版メモリアル・ブック『Remember For A While』のボックス・セットに収められた10インチから、1969年の貴重なジョン・ピール・セッション5曲も選んだ。これについては、高橋孝治が次回の当コーナーで詳しく(思い入れたっぷりに)紹介してくれるので、楽しみにしていただきたい。
その他では、『Free Soul Nujabes』にも参加してくれたharuka nakamuraのKitchen.からのピアノ・アンサンブル集大成、その名も『音楽のある風景』を特筆したい。単行本が出た(僕もコラムを寄稿しました)山本勇樹・監修「クワイエット・コーナー」のコンピからも、リイシューされたロリ・スカッコなどと共に、冬のひとときに温もりを添えてくれる音楽をセレクトしている。
Dinner-time 土曜日22:00~24:00
Cafe Apres-minuit 日曜日0:00~6:00
Brunch-time 水曜日10:00~12:00
Brunch-time 木曜日10:00~12:00
Brunch-time 金曜日10:00~12:00
特集 カフェ・アプレミディ15周年 金曜日16:00~18:00
特集 カフェ・アプレミディ15周年 土曜日16:00~18:00
特集 カフェ・アプレミディ15周年 日曜日16:00~18:00
※月・火曜日のBrunch-timeは昨年冬の橋本徹・選曲によるアンコール放送となります!
カフェ・アプレミディWebsite
橋本徹(SUBURBIA)選曲の近作コンピCDと橋本徹・編集の単行本
橋本徹の『Urban-Sweet FM 81.4』全曲解説(HMV)
橋本徹の『Free Soul~2010s Urban-Mellow Supreme』座談会(HMV)
連載コラム【音楽のある風景】(UNITED ARROWS)
“週末の恋人たちのためのサウンドトラックUrban-Sweet”(dacapo)
"Free Soul, Free Mind"で、音楽を聴き続けていきたい。(dacapo)
金子修一 Shuichi Kaneko
- Jason Saltiel
『Wait Until The Night』
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NY在住のJason Saltielの『Wait Until The Night』というアルバムに心をつかまれた。メンバーには兄でありSSWのJared Saltiel。1曲目の「Je Ne Veux Que Toi」から続く「Cantina」の押し寄せるメロディーの高揚感と感情のこもった彼の歌声は、Chris Sheehanの「Small Words」を聴いたときのような感動を覚える。昨年にはよりフォーキーなアルバム『Late Bloomer』をリリースしている。
Brunch-time 日曜日10:00~12:00
DEF Company/haus
三谷昌平 Shohei Mitani
- Astor Piazzolla
『Astor Piazzolla Remixed』
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冬に必ず聴きたくなる一曲。それが僕の場合、本作収録の「Vuelvo Al Sur」のリミックスになります。これはモダン・タンゴの巨匠、アストル・ピアソラの楽曲を世界中のエレクトロニック・ミュージック・シーンのアーティストがリミックスしたプロジェクト作品、『Astor Piazzolla Remixed』に収録されているものなのですが、スウェーデンのクラブ・ジャズ・ユニット、クープがリミックスを手掛けています。波の音に導かれる美しいバンド・ネオンの音に心地好いパーカッションとヴィブラフォンが響くジャジーな一曲で、男声スキャットと口笛、そしてカモメの鳴き声が哀愁を助長します。2003年リリースの本作の裏ジャケットには、ピアソラの"2020年に自分の音楽が聴かれていることを望む"とのコメントが記載されているのですが、オリジナル同様、このクープのリミックスも間違いなくこれからも聴き続けられていくであろう、そんな風に僕は思います。ぜひ聴いてみてください!
Dinner-time 日曜日18:00~22:00
高橋孝治 Koji Takahashi
- Vashti Bunyan
『Heartleap』 - Phillip Goodhand-Tait
『Songfall』 - Dave Lewis
『Dave Lewis』 - Brian Short
『Anyting For A Laugh』 - Big Star
『Keep An Eye On The Sky』 - The Apartments
「Sunset Hotel」 - Primal Scream
「Damaged」 - Primal Scream
「Country Girl」 - Felt
『Me And A Monkey On The Moon』 - Imperial Mammoth
『Imperial Mammoth』 - Imperial Mammoth
『Gold Confetti』 - Imperial Mammoth
「Requiem On Water」
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レリゴー、アナ雪、ゴーストライター、号泣議員にSTAP細胞、そしてダメよダメダメと話題豊富だった(笑)2014年もあっと言う間に過ぎ去り、2015年という新しい年を迎えました。当チャンネルも心機一転、新しいプログラムがスタートするわけでございますが、以前にも書いたように、わたくしの担当時間が日曜日深夜の0時からということで、新年一発目の放送がこのチャンネルのダークサイド的ポジションにいるわたしの選曲から始まるという、なんとも皆様には申し訳ないことになっているんですね(笑)。ということで、2015年を清麗に迎えるために、実は昨年10月からオープニングの1曲を決めていたわけでございます。その作品とは、ヴァシュティ・バニヤンの9年ぶりの新作にして(彼女いわく)ラスト・アルバムにして初セルフ・プロデュース作品になるであろう『Heartleap』の冒頭を飾る「Across The Water」です。まさに心が洗われる清らかなこの作品は、新たな年を迎える楽曲としてはとてもふさわしいものではないでしょうか。そしてなぜ昨年10月からこの曲に決めていたかと言いますと、この作品がリリースされたのが昨年の10月だったわけでございますが、クリスマス選曲などのスケジュールの都合で紹介をするきっかけを失っていたので、今回こうした形で選曲をして、やっとこの素晴らしい作品に対して自分なりの落とし前をつけたわけでございます(笑)。2015年最初のミッドナイト・スペシャル前半は、昨年の9月に亡くなられたプライマル・スクリームの初期メンバーであるロバート・ヤングを追悼する後半のセレクションに繋げる伏線のような選曲でもあるのです。ヴァシュティ・バニヤンからエマ・トリッカ、AJ・ウェバーなどのしなやかなフィメイル・ヴォーカル・ナンバー、フィリップ・グッドハンドテイト、デヴィッド・アックルズやデイヴ・ルイスなどのしっとりとした大人の色気を醸し出すピアノ弾き語りナンバーへ。さらに英国田園風景が広がり、その中にアメリカの情景も見え隠れするブライアン・ショートやキース・クロス&ピーター・ロスなどの牧歌的なナンバーへとたすきを渡すことで、ロバート・ヤングを追悼する後半のセレクションに繋げる良い流れができたと思います。
さて、そのミッドナイト・スペシャル後半の選曲なのですが、まだわたくしが高校生だった頃にプライマル・スクリームはデビューいたしまして、そのデビュー・シングル「All Fall Down」のB面に収録されていた「It Happens」が当時イギリスのインディペンデントな音楽にどっぷりとはまっていたわたしにとってのアンセムでした。しかし毎日酒浸りのおっさんになった今、心にズドンと響くのは91年に発表された彼らの代表作のひとつ『Screamadelica』に収録されている、ロバート・ヤングの乾いたアコースティック・ギターの響きが沁みる「Damaged」なんですよね。そこでこのレイドバック感漂う作品を軸にミッドナイト・スペシャル後半戦をスタートしてみたのですが、まさに"It's Only Rock‘n Roll"でストーンズ・ライクなこの最高のバラードは、短くも美しく燃え尽きたロックンロール人生を歩んだロバート・ヤングという人物を象徴する作品ではないでしょうか。この作品の他にもプライマル・スクリームはローリング・ストーンズの香り漂う作品をいくつか発表していますが、それは間違いなくロバート・ヤングのテイストが強く出された結果だと思います。忘れもしない、サインをもらうために追いかけまわした90年の初来日時、彼はずっとストーンズのベロ出し唇Tシャツを着ていたくらいですからね。そして惜しくも彼のプライマル・スクリーム参加最終作となった『Riot City Blues』からのシングル「Country Girl」にカップリングされた「To Live Is To Fly」も、今回セレクトさせていただきました。このシングルを手に入れた当時、彼らがこの作品を取り上げていたことには本当にびっくりしました。この曲は97年にこちらも52歳という若さでこの世を去ったテキサス出身のシンガー・ソングライター、タウンズ・ヴァン・ザントが70年に発表した作品なのですが、わたくしタウンズ・ヴァン・ザントの作品も大好きで、これはとてもうれしいサプライズであり、そのときにプライマル・スクリームのロックンロールに向き合う姿勢にもの凄く共感したことを覚えています。そして「Damaged」についてもうひとこと言わせてもらいますと、この最高な作品はPVこそ作られているのですが、この曲をシングル・カットしたのは我が日本だけなんですよね(味気ないジャケのUSプロモ盤は存在しますが)。いやぁ〜当時の担当者の方はよ〜くこの作品の魅力をわかっていらっしゃる。ロバート・ヤングも喜んでいるであろう、本当に最高なお仕事だと思います。他にミッドナイト・スペシャル後半にセレクトした作品をざっと紹介いたしますと、本家ローリング・ストーンズの作品は柔らかなピアノの響きが郷愁を誘う美しいバラード・ナンバー「Follow The River」と、この特集の締めに配置した「友を待つ(Waiting On A Friend)」ですが、この曲のPVも最高ですよね。そしてロニー・レインとスリム・チャンスの柔らかなワルツ「Little Piece Of Nothing」や未発表ヴァージョンがふんだんに収録されたボックスセットよりビッグ・スターの「Try Again」の初期ヴァージョンをセレクト。昨年末に名盤『The Evening Visits...』が待望の再発となったアパートメンツの作品からは「Every Day Will Be New」を選んでみましたが、これは『The Evening Visits...』が94年にフランスのNew Roseレーベルから初CD化された当時、同レーベルがカットした「Sunset Hotel」のCDシングルにカップリング収録されたアコースティック・ヴァージョンです。そしてプライマル・スクリームとは縁の深いフェルトの作品の中では一番ストーンズの香りがする「Free」ももちろんセレクトしましたが、ここでゲストとしてベースを弾いているのがロバート・ヤングっていうのも最高ですね(笑)。
そしてディナータイムの選曲もちょっぴり説明しておきますと、2013年の最低映画大賞を決めるRazzie Awardsで、作品賞を含む7部門で見事その栄冠に輝いた(笑)『The Twilight Saga Breaking Dawn Part2』という映画のサウンドトラックに収録されていた「Requiem On Water」という作品で彼らを知り、以来わたくしのお気に入りアーティストとなったインペリアル・マンモスという男女2人からなるデュオが、昨年に待望のアルバム『Gold Confetti』を完成させたので、彼らの作品をいくつかセレクトしています。このアルバムは以前の爪弾きアコースティック系の作品とは違い、カラフルでエレクトリックな楽曲が多く収録され、その作風の変化に少々戸惑いましたが、「Maybe」というメランコリックな作品に彼らの新たな魅力を感じたものです。彼らのサイトでも、この2014年に制作されたアルバムがファースト・アルバムのような扱いで紹介されているのですが、実はわたくし、このアルバムが発表される以前に某オークション・サイトで「Requiem On Water」を含むアルバムを入手していたのです。こちらはアコースティックな作品で、もしやこちらは現在の彼らのスタイルと違うために、お蔵入りさせちゃった幻のアルバムだったりしちゃったりなんかして……??? いやはやこれは謎ですねぇ。
と、2015年も相変わらずお喋りで身勝手で、そしてダークサイドな選曲をして、ましてや今回もストーンズだのロックンロールだのと言っているので、伝わりにくいかとは思いますが(泣)、わたくしこれでも毎回ちゃ〜んとチャンネルのテイストを意識して選曲しておりますので、ど〜か優しい目で見守ってくださいませ。
それでは今年も、日曜日の夜は月の裏で会いましょうってな感じで、よろしくお願いいたしまーす(笑)。
Dinner-time 日曜日22:00~24:00
Cafe Apres-minuit 月曜日0:00~2:00
Supervised by Toru Hashimoto for Suburbia Factory
Yoshiaki Honda
『Positive Love』
話は変わるが、そういえば最近、20代なのに荒井由実の曲が好きという若者2人に出会い、何だかうれしくなった。今の音楽も昔の音楽も同列に、自由に選んで楽しんでいる人たち。そういう人には、「usen for Cafe Apres-midi」がとくに合うと思う。これは手前味噌な話ではなく、ほんとにそう思う。14人の超音楽好きなセレクターが、時代やジャンルに関係なく選んで紡いだ、とっておきの音楽の時間。知らなかった新たな音楽との出会いを楽しんでほしいし、気に入ったアーティストはCDやレコードでも手に取って聴いてみる……といった理想的な展開を、余計なお世話ながら期待している。