リーガル・ハイ #07 2015.02.20


(長女)《あんちゃん。
待ってー!》
(長男)《俺の!》
(長女)《私の!》
(千春)「深夜ろうそくを立てて広い部屋の中で1人鏡をのぞき込むにはよほどの勇気がいるそうだ」「わが輩などは初めて当家の令嬢から鏡を顔の前へ押し付けられたときにはっと仰天して屋敷の周りを三度駆け回ったくらいである」
(千春)「いかに白昼と…」
(嘉平のいびき)・
(千春)失礼します。
(千春)大旦那さま。
朝ご飯の用意ができましたよ。
よいしょ。
大旦那さま?・
(千春)若旦那さま!若旦那さま!若旦那さま!
(紀介)兄さん。
姉さん。
(清江)お父さん…。
(紀介)寝床で静かに。
(泰平)まあ。
いい最期だったんじゃねえか?
(清江)うん。
そうね。
お父さん幸せだったと思う。
(紀介)実は父さんからこれを預かってたんだ。
きょうだい3人揃ってから開封しようと思って。
僕はどんな内容だろうと父さんの遺志に従おうと思ってる。
兄さんも姉さんもそれでいいよね?もちろんだ。
ただな紀介。
俺も親父から預かってるんだよ。
(清江)あらやだ。
私もなのよ。
(古美門)どこだって?
(黛)蟹頭郡蟹頭村です。
私の父方の古里で昔はしょっちゅう遊びに行ってました。
(古美門)そんな聞いたこともない辺境地などに行くものか。
(黛)無理に来てくれとは言いませんけど遺産相続の訴訟で報酬は期待できると思います。
(黛)何せあの徳松醤油の社長一族ですから。
何しょうゆだって?徳松醤油です。
聞いたこともない。
またまた。
「おじいちゃん。
今日のおかずはすっごくおいしいね?」「そりゃそうさ。
だって徳松醤油だからな」・「しょうゆは徳松と〜く〜ま〜つ」の徳松醤油ですよ。
そんなCM知らん!とにかくその徳松醤油で働いている私のいとこから助けを求められたんです。
向こうに骨をうずめてもらって一向に構わない。
服部さん。
ワッフルが食べたいな。
(服部)黛先生。
ご迷惑でなかったらこの服部も同行させていただけませんか?服部さん?私の人生旅でした。
こちらにご厄介になってから休まず先生のご奉仕してまいりましたがいまだ旅への思い断ち切れず。
古美門先生。
あのほんのちょっとの間で結構なんですけどこの服部に休暇を与えてやってくれませんか?もちろん労働基準法によって認められます。
その間の私の食事は?掃除と洗濯は?千春!
(千春)真知子さん。
久しぶり。
(千春)何か芸能人みたい!そんなことないよ。
普段着だよ。
(千春)エヘヘ。
何か大人っぽくなったね?
(千春)ホント!?うんホント。
あっ。
事務員の服部さん。
いとこの千春です。
服部と申します。
(千春)千春です。
ようこそ蟹頭村へ。
(千春)おっ。
おっ!あれが弁護士の古美門先生。
(千春)あーどうも。
あの東京の有名な先生だそうでこんな田舎まで…。
うわー最悪だ!雨降りそうだし。
うわっ服が汚れた!最悪だ!小雨降りそうだし。
服部さん。
私の着替えを。
あれ?私の荷物は?持ってきておりません。
私ただ今休暇中でございますので。
えー何にも!?テンピュールの抱き枕も!?私が旅に持ち歩くものはこれだけです!歯ブラシ!参りましょうか?
(千春)はいこちらです!あっごめんありがとう。
(千春)重いね。
重いの。
ちょっとね。
(千春)さすがだね。
犬神家へご案内か?
(一同)・「カニの頭の酒のさかな」
(従業員)ごゆっくり。
(服部)いや…。
ああ恐縮です。
(一同)・「しょうゆ掛けてみろ」
(服部)これはすごい。
(千春)ごゆっくり。
(紀介)ようこそおいでくださいました。
徳松醤油代表取締役徳松紀介でございます。
白い覆面をかぶっていなくてほっとしました。
ちょっと…。
(紀介)蟹頭村の郷土料理でございます。
どうぞお召し上がりください。
(服部)いただきます。
いただきます。
(服部)ほう。
これは?蟹頭村の名産蟹頭ワラビの佃煮です。
そちらが蟹頭ワラビのお刺し身蟹頭ワラビのステーキ。
蟹頭ワラビの…。
ワラビばっかりじゃないか!おいしいんですよこれ。
うーんこの味懐かしい!滋味豊かですね。

(田ノ下)お食事中に失礼。
亡くなった先代の顧問弁護士をしておりました田ノ下久作と申します。
東京から来ました黛です。
こちら上司の古美門です。
早速状況を説明してもらいましょうか。
(田ノ下)では。
徳松家の歴史から説明いたしますと室町時代藤原氏の…。
そこから説明する必要はありません。
本件に関連することだけお願いします。
えー三代目社長徳松嘉平氏の類いまれな商才により徳松醤油は隆盛を極めました。
その大旦那さまが亡くなられたんですね?
(田ノ下)はい。
嘉平氏には3人のお子さんがいらっしゃいます。
長男泰平は無謀な多角経営化を図り店を大きく傾かせ父に追い出されました。
長女清江は昔から商売を手伝ったことなどなく奔放に生きております。
経営を立て直し今に至るまでこの徳松醤油を実質的に守ってきたのはこの私紀介でございます。
ですから父が私にこれを残したのも当然のことです。
はい拝見。
はい。
一言で言えば全ての資産は紀介さんお一人に託すという内容ですね。
一見したところ何の不備もないようですが。
(田ノ下)ところが問題はほぼ同じ内容の遺言書を泰平坊ちゃんにも清江お嬢さまにも残しておいでだということです。
遺言書が3通ということですね?偽造に決まってる。
末っ子の僕に全部持ってかれるのが嫌で2人ともあんなもんでっち上げてんだ。
(田ノ下)それで紀介さんは泰平さんと清江さんについて証書真否確認訴訟を起こしたわけです。
すぐに片が付くと思ったのに。
あなたが裏切るとはね。
といいますと?私は現在清江お嬢さまの代理人を務めております。
三つどもえのバトルロワイヤルというわけですか?今夜兄と姉が話し合いに参ります。
兄も有能な弁護士を雇い直したようです。
古美門先生。
黛先生。
どうぞよろしくお願いいたします!
(千春)古美門先生のお部屋はこちらです。
貴賓室なんていいじゃないですか先生。
(千春)真知子さんが来てくれてホントに助かりました。
当たり前じゃない。
私たちは姉妹同然なんだから。
(千春)もう真知子さんには小さいころから助けてもらってばっかりで。
いつも勉強教えてもらってたし。
あーほら!読書感想文。
真知子さんにレクチャーを受けて書いたらコンクールで金賞もらって。
あれ私の唯一の自慢。
ううん。
千春が頑張ったからだよ。
あーちょっといいかな?この絵は?
(千春)徳松醤油の創業者の徳松仁左衛門さんです。
若旦那さまが初代に敬意を表して作らせたんです。
この化け物は?
(千春)ブータンの守り神だそうです。
ご長男の泰平さんが世界中の置物を集めてらして。
あー!バランス悪い椅子だな!おい!
(千春)調度品は現代芸術家の作品で揃えてます。
ご長女の清江さんのご趣味で。
(服部)アハハ。
何とユニークな部屋ですね。
(千春)あーどうも。
おー!どちらに?古美門先生は裏口からそっと帰るだろうと服部さんが。
しまった!投げ出さないでください。
そもそも私はこの仕事を引き受けてはいない。
いとこは君に依頼し君が引き受けた。
これは君の案件だ。
手伝うつもりで来てくださったんでしょ?違う!君が負けようが知ったこっちゃない!そうだ。
温泉入りませんか?温泉?この先にあまり知られていない秘湯があるんです。
美しい女性が入ってるかもしれませんよ。
混浴ですし。
ニホンザルが入ってたら帰るぞ。
うおー!おっ。
猿よりひどいのが入ってる。
どうして?
(沢地)これはこれは。
奇遇ですね?
(三木)こんな人知れぬ秘湯で会うとはね。
長男泰平の代理人だろう。
おそらくわれわれが紀介に付いたという情報を得て名乗り出たんだ。
暇な連中だ。
(沢地)古美門先生。
ご遠慮なさらずにとってもいいお湯ですよ。
私と戦うおつもりでいらっしゃったのならそれはもくろみ違いです。
本件の担当はこの黛であって私は付き添いにすぎません。
私も付き添いだよ。
担当はこの井手君でね。
(井手)よろしく。
(三木)おいおい遠慮するなよ!お前も入った方がいいぞ。
温泉の効能書きに減らず口が直るって書いてあったからな。
しつこい性格のべたつきが治まるとでも書いてあったんですか?業突張りの恥知らずはちょっと良くなるとは書いてあった。
爬虫類顔が進化して少し哺乳類に近づくとも書いてあればいいですね!Seeyou!井手君。
もし負けたらこの土地の弁護士として一生を送りなさい。
頑張ります。
絶対に勝て。
勝つべし勝つべし勝つべし勝つべし!もし負けたら逆さづりにしてしょうゆだるに漬け込むからな!指ささないでください!紀介さん宛ての遺言書には実印が押されていますので紀介さんへの遺言書が有効だと思います。
(井手)実印の方が有効性が高いなんて規則はありませんが?泰平さん宛てのものが最も適切な書面だね。
文面も正確だ。
それ故真がんが疑わしいですね。
(三木)真がん?偽造だという根拠でもあるのか?可能性の話をしておるのです。
重要なのは日付です。
紀介さま宛てのものが3年前で最も古く次が昨年書かれた泰平さま宛て。
清江お嬢さま宛てのものが最も新しくことしの日付です。
つまり大旦那さまは何度か心変わりをされ最終的に清江お嬢さまを選んだということになります。
清江さん宛てのものこそ偽物の可能性が高いですね。
何をおっしゃるか。
何カ所か漢字仮名遣いが他の2通と異なる箇所があります。
他の2通は旧字体を使っていますがこれは新字体が多い。
大旦那さまはどちらの字体も使っておられた。
漢字でしたら紀介さま宛てのものも何カ所か誤字が。
視力が衰えていたんです。
誤字はあって当然です。
裁判所が判断してくれるだろう。
清江。
紀介。
俺はなどれが有効か無効かそんなことじゃないと思うんだ。
家督は長男が継ぐものだろ?よくそんなことが言えますね。
兄さんはむちゃくちゃな経営をしてここをつぶしかけたんですよ。
(泰平)まだ改革の途中だった。
もっともっと大きくできるはずだった。
親父だってそれを望んでた。
父さんに追い出されたんでしょうが。
とっくに和解してた。
お前こそ偉そうに言うがお前のやったことはリストラして縮小経営しただけだ!僕がそれをやったから今があるんでしょうが!
(泰平)親父の望みとは違う!
(清江)2人がそんなんだからお父さんは私に譲ろうとしたのよ!
(紀介)姉さんこそただ遊びほうけてただけじゃないか!私がお父さんに一番尽くしたわ!あなたたちお父さんの看病した?私は暇さえあれば顔を出して…。
いい年して小遣い無心に来てただけだろうが!お父さんのためよ。
幾つになっても娘に頼られるのがお父さんの喜びだった。
お父さんを元気にするために頼ってあげてたのよ。
(泰平)はっ!ものは言いようだな!
(清江)兄さんこそ何をやっても商売がうまくいかなくてここに戻ってきたくてしょうがないんじゃない!兄さんの山っ気でめちゃくちゃにされたらたまんないよ!お前だってここを追い出されたら子供の養育費が大変だもんな!
(紀介)関係ないでしょそれは。
落ち着きましょう!落ち着きましょう!あのいっそ法定相続分に従って3等分するという考え方も…。
(清江)あり得ない!
(泰平)家督は分けられるものじゃないんだ!しかし現実的に考えて泰平さんや清江さんが徳松醤油を率いるのは難しいんじゃないでしょうか。
従業員一同こうして紀介さんに付いてるわけですから。
ねえ皆さん。
紀介に人望がなかったとはな!
(千春)若旦那さまは真面目で堅実な方ですが厳しくて冷たいところもあって。
奥さまと離婚されてからはなおさら…。
でも千春は紀介さんに勝ってほしいんだよね?
(千春)厳しいのは徳松醤油を思ってるからだもん。
それに泰平さんや清江さんの手に渡ったらどうなっちゃうか。
私はこの伝統ある徳松醤油を守りたいの。
徳松醤油が好きなんだね?生まれたときからずっと徳松醤油で育ってきてるんだもん。
私の血は徳松醤油でできてるんだ。
私の血もだよ。
意味が分からん。
おじいちゃん。
今日のおかずはすっごくおいしいね?そりゃそうさ。
だって徳松醤油だからな。
・「しょうゆは徳松と〜く〜ま〜つ」由緒あるものが3きょうだいの勝手な趣味に駆逐されている縮図のような部屋だ。
うちはこうじ菌のみで仕込む昔ながらのやり方でね。
(服部)あっいわゆる本醸造方式ですね?香りが爽やかなのは水がいいからでしょうかね?ああそうだ。
よく知ってるね。
ハハハ。
(従業員)ハハハ。
清江姉さんと和解?冗談じゃない。
このままいけば清江さんの遺言書が採用される可能性が高いんです。
それを何とかするのがあんたの役目だろ!あっすいません。
裁判で負けたら僕の取り分はゼロ?遺留分減殺請求という手段をとれば一定の相続分は確保できますが。
微々たるものか。
清江さんと手を組んで泰平さんを排除することを最優先させるべきです。
泰平さんさえ排除できれば清江さんは経営については素人だ。
徳松醤油の実権はおのずとあなたが握れるでしょう。
不本意かもしれませんがこれが現実的な方法です。
急がないと泰平さんとその弁護士がわれわれの邪魔をしてきますよ。
(紀介)子供のころ僕と兄さんがケンカしてるといつも間に立っていさめてくれたのは姉さんだったよね。
姉さんに徳松醤油の顔になってもらって僕は黒子で構わないから一緒にやらないか?父さんも喜ぶと思うんだ。
(清江)どう?田ノ下。
(田ノ下)問題は株式の配分ですが。
清江さんに大変有利な配分になっています。
ええ確かに。
一見ね。
この割合だと社外の紀介さんに近い株主の保有率を合わせると実は簡単に清江お嬢さまを徳松醤油から排除できてしまう。
つまりこれは詐欺的行為です。
三木先生のおっしゃったとおりね。
三木先生?どうでしたか?清江さん。
(清江)先生のアドバイスのとおりでしたよ。
(三木)そうでしょうとも。
この古美門先生というのは人をぺてんにかけることでつとに有名ですからね。
(沢地)私どもが提案させていただいた共同経営案ははるかに良心的だったでしょう?
(田ノ下)ええ。
(泰平)そういうわけだ紀介。
悪く思わないでね。
(田ノ下)では明後日。
法廷でお会いしましょう。
楽しめそうだよ。
(紀介)昔からそうだった。
姉さんは中立なふりをして裏ではいつも兄さんとグルだった。
いつも…僕だけをのけ者にした!僕が…愛人の子だから。
えっ?僕はね父さんが芸者に産ませた子なんですよ!だからあの2人は僕には絶対継がせたくないんだ!僕が芸者の子だから!芸者の子だから!あー!芸者の…。
今平成だよな?はい。
前時代的人間関係のしがらみに吐き気がしてきたよ。
《あっ》
(3人)《あいこでしょ》《ずるした!今あんちゃんとお姉ちゃん》《私の!》
(次男)《返せ!》
(長女)《私の!》
(3人)《あっ!》しかし嘉平さんはなぜ遺言書を3通も残したんでしょうかね?そうなんですよね。
田ノ下さんがおっしゃっていたようにその都度心変わりしたということなんでしょうか?死者には聞けない。
何か嘉平さんの真意があるのかもしれませんね?真意?毛利元就の3本の矢の逸話のように。
3本の矢?何ですか?それ。
(服部)えっ?あんな有名な話を知らんのか?勉強ばかりしてきた知識バカにありがちだな。
折ってみろ。
はい。
1本では折れても3本なら…。
あー!はっ!
(服部)あー!力あるなお前!ハハッ。
(千春)大旦那さまの真意?うん。
何か意図があって3通も残したんじゃないかと思って。
心当たりない?さみしかったんじゃないかな。
年を取るとよくあることなんだろうけどいつも誰かにそばにいてほしがって。
私毎晩のように大旦那さまに読み聞かせをしてあげてたんです。
(千春)ちょっとした場面ですぐ泣いちゃったりして。
「死ぬときはみんな独りぼっちだな」なんて言ったり。
実のお子さんに優しくされたらそのたびに遺産を譲りたくなっちゃったんじゃないかな。
そうか。
そうか!何してるんですか?ひらめいたんだよ!意思能力の欠如した状態で書かれた遺書ならば無効にできる。
つまり徳松嘉平は認知症だったんだ!認知症?ちょっと待ってください。
泰平と清江はそれを知っていて自分たちに遺産を残すよう吹き込んだ。
大旦那さまは別に認知症だったわけじゃ。
「ない」と言い切れますか?医者でもないあなたに。
嘉平さんがそのような状態になったのはいつごろからかな?はっきりとは。
去年からにしよう。
3年前に書かれた紀介の遺言書のみを有効にするんだ。
法廷でそう証言してもらうよ。
大旦那さまが認知症だったと証言するんですか?最も間近で世話をしていた君の証言はとても大きい。
千春。
あなたがそう思わないなら証言してはいけないわ。
いいかげん朝ドラごっこはやめろ。
黛。
君は嘉平のぼけたエピソードでも集めてきたまえ。
そんなことできません。
死者にむち打つ行為です。
勝つためだ。
嘉平さんをおとしめてまで勝つ意味があるんですか?認知症だとなぜおとしめることになる?その考え方こそ偏見じゃないのか!
(千春)私証言する。
千春?徳松醤油を守るためだもん。
…だそうだ。
依頼人の利益のために尽くせ!裁判の争点を変更するぞ!
(千春)お客さまです。
(蘭丸)いやすごいとこだね先生。
来る途中猿見ちゃったよ。
早速だが時間がない。
これは徳松嘉平が親しかった人物のリストだ。
うんとその嘉平さんが認知症だったと証言してくれる人を一人でも多くスカウトしてくるってわけね?そのとおり。
急いでくれたまえ。
どうした?
(蘭丸)ああいや。
いつもみたいに服部さんの手料理で腹ごしらえできるかと思ったんだけど。
彼は今しょうゆ造りを学んでいるよ。
(蘭丸)嘘だ!
(紀介)先生。
お夜食などいかがですか?
(蘭丸)ハハッ。
ありがたい。
いやいや。
もう私もワラビでしたらもう。
では徳松家秘伝の最高級料理は?最高級!?ぜひお願いします!
(紀介)炊きたての白いお米に徳松醤油を一垂らし。
特製徳松醤油掛けご飯。
これに勝るぜいたくはございません。
さあ召し上がれ!
(蘭丸・黛)いただきます。
うめえ!うーん!おいしい!
(紀介)よそのしょうゆとは風味が違いますでしょう?
(紀介)ねえ。
紀介さんは苦労してんだ。
奥さんとも別れちまったし。
(服部)どうして離婚されたんですか?
(従業員)奥さんは都会育ちだったからね。
田舎暮らしも最初は楽しんでたんだけれども。
まあ色々あるさ。
ハハッ。
あっしかしあんた筋がいいね。
たわいもない取りえでございます。
はい着いたよ。
(女性)おにぎり作ったよ。
あんた。
蟹頭村のにぎり飯だ。
そんなにビビってどうする?三木先生がサポートに付いてるんですよ。
緊張するなっていう方が無理です。
分かってないね。
最も手ごわい敵は三木なんかじゃない。
えっ?自分の土俵で戦える人間だよ。
どういうことですか?
(田ノ下)どうですか?腰の具合は。
ああ久作さんに紹介してもらった針の先生良かったですよ。
無愛想だけど腕はいいんだ。
ハハハ。
ではそろそろ始めましょうか。
こういうことだ。
2年ほど前から父は物忘れが極度にひどくなり私のことと兄の区別もつかなくなることもしばしばで情緒的にも不安定になりました。
つまり嘉平さんは認知症だったとお思いなんですね?はい。
父の身近にいた人間はみんな心の中ではそう感じていたと思います。
でもそう思いたくなかった。
なぜですか?父は徳松醤油の象徴であり蟹頭村の名誉そのものです。
その父がぼけているなんてとても言いだせなかった。
物忘れはありましたが年相応のものだと思います。
父は最後までしっかりしていました。
認知症ではなかったと?父の状態は私の方が分かっています。
父の看病を献身的にしていましたから。
うちの娘にも聞かせてやりたい。
以上です。
(裁判長)ハハハ。
(裁判長)はいどうぞ。
清江さん。
どれぐらいの頻度で嘉平さんの看病をされていましたか?毎日?毎日では。
週に一度?月に一度か二度。
月に一度?それを献身的と表現なさるわけですね?よーく分かりました。
以上です。
もちろんご高齢ですから物忘れなどは多々ありました。
しかし認知症といえるほどの症状ではなかったろうと思います。
(田ノ下)長年嘉平さんを診てきた主治医としての見解ですな?認知症という病は見極めがとても難しいんです。
特にご高齢になればなるほどそんなものだろうと周りが思ってしまうんですね。
つまりたとえ主治医といえど専門の知識がなければ正しい判断は難しいということですね?はい。
では専門医としての先生のお考えをお聞かせください。
直接診たわけではないので何とも言えませんがカルテから察するにこの患者は認知症と考えて差し支えないと思います。
以上です。
私の方からもう一点だけ。
先生。
この患者のご子息は父が誇りであったが故に認知症だと認めたくなかったそうです。
この点についてご意見をお聞かせください。
それは患者にとって一番の不幸かもしれません。
周囲が現実を受け止め積極的に治療を進めれば大きな改善が期待できます。
認知症は誰にでも起こり得る病気であり何ら恥ずかしいことではありませんからね?
(専門医)そのとおりです。
人間誰でも年を取ります。
明日はわが身なんです。
ねえ裁判長。
今われわれが成すべきことはこれ以上現実から目を背けることなく嘉平さんの本当の思いが何であったのかをつまびらかにすることです。
それこそが本当の意味で嘉平さんの名誉を守ることになるのではないでしょうか?以上です。

(泰平)おい!お前分かっとるよな?はい。
(泰平)何をやってるんだ!
(紀介)先生。
ありがとうございます。
いけそうな気がしてきました。
次回の千春の証言で一気に勝負をつけられるかもしれません。
よろしくお願いします。
どうかしました?三木がおとなし過ぎる。
あっそういえば沢地さんがいませんでしたね。
(蘭丸)すいません。
千春さん見掛けてないですか?
(従業員)いや見てないね。
(蘭丸)ありがとうございます。
すいません。
千春さん見てませんか?
(従業員)いや見てないね。
(蘭丸)はあ。
チッ。
大丈夫だから私たちのことを信じて。
ねっ。
人の女くどかないでくれる?両刀使いのお姉さん。
いつかの続きなら受けて立つわよ。
やめとくよ。
(沢地)うん。
何を吹き込まれたの?これは?「三陽フーズ徳松醤油吸収合併案」?三陽フーズ社長と紀介さんによる徳松醤油売却の密約記録のようだね。
フッ。
バカバカしい。
よくもまあそんなものをでっち上げたもんだ。
(千春)じゃあ嘘なんですか?
(紀介)当然だろ。
徳松醤油は僕にとって命だ。
たとえ何百億積まれても誰にも売ったりはしない。
そうですよね。
相手の弁護士はこういう卑劣な手を使って君に揺さぶりをかけてくる。
だが惑わされてはいけないよ。
あしたは自信を持って証言してくれたまえ。
そうすればわれわれの勝利は確実だ。
(千春)はい。
失礼しました!紀介さん。
本当のことをおっしゃってください。
私には偽造文書には思えません。
何言ってんだ。
偽物だよ。
具体的な金額まで細かく話し合われてます。
でっち上げだ。
吸収後の紀介さんの専務取締…。
黛。
相手の社長に聞けば分かることです!売るんですね?若旦那さま。
確かに話し合いは何度か持った。
条件によっては従業員たちにとっても悪い話じゃないかもしれないだろ。
この密約によれば徳松醤油は蟹頭村から移設されます。
嘉平さんのご遺志に反すると思いますが?経営ってのはそんなに甘いもんじゃないんだよ。
つまりあなたはこの計画のために何としても相続しなければならないということですか?
(服部)奥さまは田舎暮らしが性に合わなくて離婚されたそうですね。
三陽フーズの専務になれば東京勤務ですか?
(蘭丸)奥さんとよりを戻すためにここ売っ払うんだ?徳松醤油を…蟹頭村を捨てるんですか?何が悪い!僕はね兄さんと姉さんを見返すために必死に頑張ってきたんだ!だけど僕には正直分からないんだよ!よそのしょうゆとうちのしょうゆのいったいどこが違うのか。
目玉焼きにもウスターソースを掛ける派なんだ。
でも今はこの地で徳松醤油をしっかり守っていくおつもりなんですよね?ああもちろん。
あっこの話は断る。
誰にも売ったりはしない。
なっ信じてくれ。
(紀介)千春ちゃん?ねっちょっ千春ちゃん!君も説得してこい。
逆さづりで漬け込む先をしょうゆだるから肥だめに変更するぞ。
紀介さんは売ると思います。
バカの根が深いな。
君の仕事は紀介を勝たせることだ。
その後彼が徳松醤油をどうしようが関知することではない。
行きなさい。

(ドアの開閉音)
(裁判長)じゃあ次の証人。
黛千春さん。
どうぞ。
黛千春。
徳松醤油従業員です。
徳松醤油ではどのような業務を?
(千春)事務です。
それと大旦那さま…。
えっと嘉平さんの身の回りのお世話もしていました。
嘉平さんの状態について最も詳しくご存じだと考えていいですね?はい。
単刀直入にお聞きします。
あなたから見て嘉平さんは認知症であったと思いますか?千春ちゃん。
よーく考えて発言した方がいいよ。
今こちらが質問しています。
(田ノ下)嘉平さんに砂を掛けるようなことしたくないだろ?裁判長!まあまあ。
「まあまあ」じゃないでしょ!
(清江)千春ちゃん。
あなたの証言に懸かってるんだからね。
(泰平)自分の立場分かってる?もう好き勝手にしゃべってるじゃないか!東京の弁護士は堅苦しいな。
これだからくそ田舎は。
原告代理人。
発言には注意してください。
(裁判長)いいんだよ。
率直に思ったこと言えば。
大旦那さまは…。
認知症ではなかったと思います。
以上です。
逆さづりにしたければどうぞ。
黛先生。
お疲れさまでした。
(裁判長)「主文。
原告の請求を棄却する」
(被告側たちの歓声)
(裁判長)「徳松嘉平が認知症を患い意思能力に欠けていたという原告側の主張はその根拠に乏しくかかる原告の主張は不合理であると言わざるを得ない」短い間でしたけどお世話になりました。
(従業員)ここに残らないか?あんたとだったらなすげえいいしょうゆを造れそうな気がするんだよ。
私は…一介の事務員でございますから。
ハハハ。
そうか。
ハハハ。
申し訳ありませんでした。
ホントにうちの黛の力不足で。
仕方ありませんよ。
それでは帰りまーす!いやーホントにいいとこだったー!名残惜しい!帰りたくない!ホントにごめんなさい!名残惜しい!帰りたくない!名残惜しい!帰りたくない!な…。
6年間お世話になりました。
千春?
(紀介)さっき退職願をね。
(千春)私は若旦那さまを裏切りました。
これ以上ここにいるわけにはいきません。
あの…こんなことお願いできる義理じゃないんですが…。
この本毎晩読み聞かせさせていただいてたので。
(紀介)もちろん持ってっていいよ。
(千春)ありがとうございます。

(泰平)いやいやいや!こりゃあ何かの間違いだろ!
(康子)そうよね。
(清江)いたずらでしょ?
(貴昭)いたずらだよね?いえ遺言書としては効力を持ちます。
(清江)あの子家族でも何でもないのよ。
ただの従業員よ。
ただの従業員に遺贈させてはいけないという法律はありません。
(泰平)こんなの本の後ろに適当に書いたもんじゃ駄目だろ?なあ三木先生!
(三木)遺言書の用紙に規定はありません。
家庭裁判所の検認を受けなければなりませんが清江さん宛てのものが有効である以上それも自筆証書遺言としては有効でしょう。
そんなアホなことがあるか!日付は亡くなる前日。
つまりこれが最新の遺言書です。
私のより優先されるわけ?冗談じゃないわよ!何とか言ってよ田ノ下!いやーこりゃあ参りましたな。
(泰平)ぼけてたんだ。
親父はぼけてた!こんなもの無効だ!嘉平さんは認知症ではないと判決理由の中でも認定されていますよ。
わ…私徳松醤油を譲り受けるなんてむ…無理です。
ならば権利を放棄するなり誰かに譲るなり君の自由だ。
(泰平)前々から君には光るものを感じてたんだよ。
千春ちゃんに似合いそうなドレス持ってるのよ。
千春ちゃん。
今給料幾らもらってるんだっけ?
(男性)そろそろボーナスかな?ボーナスだよね?井手君。
あと処理しといて。
は…はい。
(三木)あーいい骨休めになった。
沢地君。
もう一回温泉入って帰ろうか?
(沢地)お背中お流ししますよ。
(三木)しょせん今回は遊びだ。
お前も羽を伸ばせてよかったな。
もう二度とできないかもしれないんだから。
(沢地)では。
(3人)《あっ!》
(長女)《猿に持ってかれた》
(長男)《しょうがねえだろ。
泣くなよ》《お兄ちゃんのおかずちょっとあげるよ》
(次男)《ホント?》
(長男)《ちょっとだけな》いやーようやく文化的生活に戻れた気がするよー!おはようございます。
おはようございます。
その後徳松醤油はどうなりました?千春が譲り受けることになりました。
3きょうだいは遺留分のみの相続ということに。
ほう。
あの千春さんが経営ですか?いえ。
経営は3きょうだいのうち誰に任せるか。
じっくり吟味するそうです。
君のいとこはなかなかしたたかだね?
(千春)熱意が感じられません。
もう一度やり直しで。
思い返してみると千春って昔から何だかんだいって最終的に一番おいしいところ持っていってたような…。
確信犯かもしれないね?確信犯?嘉平の状態を分かっていた彼女は3きょうだいのように嘉平の心を取り込み自分に遺言を書かせようとした。
まさかそんな…。
だが私の見立ては間違っていなかったじゃないか。
はっ?君と千春は実は馬が合わない。
ただし内容は私の予想とは逆だった。
勉強ばかりしてきた君は勉強もできない彼女を見下していたわけじゃない。
勉強はできるが要領の悪かった君は勉強はできないものの要領よくいいところを持っていく彼女をねたんでいたんだ。
そんなつもりは…。
あっ。
どうした?思い出した。
私がレクチャーして千春が金賞を取った読書感想文コンクール。
あれ私も出したんです。
私銀賞でした。
ようやく自覚したようだね!
(服部)古美門先生。
うん?どうなさいました?食が進んでらっしゃらないようですが。
いやいや…。
そのね…。
そんなことだろうと思って蟹頭ワラビの佃煮徳松醤油。
どうぞ。
黛先生もよろしければ。
いただきます。
はい。
まずーい!2015/02/20(金) 15:53〜16:48
関西テレビ1
リーガル・ハイ #07[再][字]

醤油一族に巻き起こる骨肉の相続争い!残された三通の遺書の真意とは!?華麗なる一族に潜む秘密と嘘 堺雅人 新垣結衣 生瀬勝久 小池栄子 里見浩太朗

詳細情報
番組内容
 古美門(堺雅人)と黛(新垣結衣)のもとに、地方企業の徳松醤油から遺産相続訴訟の依頼が舞い込む。亡くなったのは徳松醤油社長の徳松嘉平(菅登未男)。嘉平のもとで働いていた黛のいとこ・千春(木南晴夏)からの依頼だ。徳松醤油は辺ぴな片田舎にあり、古美門は現地に赴くことを固辞するものの、報酬目当てに結局行くことに。さらに、その話を聞いていた服部(里見浩太朗)も、
番組内容2
休暇をとって彼らと共に徳松醤油に向かう。
 現地で、徳松醤油代表取締役の徳松紀介(丸山智己)から至れり尽くせりの歓待を受ける3人。紀介の話によると、亡くなった嘉平には、長男の泰平(皆川猿時)、長女の清江(宍戸美和公)、そして次男の紀介という3人の子供がいるが、嘉平は会社を傾かせた泰平、奔放に生きてきた清江ではなく、紀介にすべての財産を託すという遺言書を遺したという。
番組内容3
 しかし、泰平と清江もそれぞれ、ほぼ同じ内容の遺言書を嘉平から遺されたと主張。紀介は、2人に対して証書認否確認訴訟を起こし、すぐに解決するものと思っていたが、泰平、清江もそれぞれに弁護士を雇い、三つ巴の争いに。清江の弁護士は、徳松醤油顧問弁護士の田ノ下(山谷初男)、そして泰平の弁護士は、ことあるごとに古美門と対立する三木(生瀬勝久)、沢地(小池栄子)、井手(矢野聖人)のトリオだった・・・。
出演者
堺雅人 

新垣結衣 

生瀬勝久 

小池栄子 

田口淳之介 

矢野聖人

 ● 

里見浩太朗
原作・脚本
【脚本】
古沢良太 

【編成企画】
成河広明(フジテレビ) 
加藤達也(フジテレビ)
監督・演出
【プロデュース】
稲田秀樹 

【監督】
石川淳一
音楽
林ゆうき
制作
フジテレビ
【制作著作】
共同テレビ

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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