その女性のもてなしは世界の客をひきつける。
(笑い声)日本を楽しむための多彩な要望が彼女のもとには舞い込む。
とっぴな願いから緊急の困り事まで。
依頼を満足に変えるスペシャリスト。
ホテルにあって客のあらゆる相談に乗るのが彼女の仕事。
「できない」とは決して言わない。
(笑い声)日本にコンシェルジュという仕事を確立したパイオニア。
一流コンシェルジュの証しレ・クレドール。
阿部は日本で唯一現役の名誉会員だ。
(主題歌)この道22年の阿部。
「攻め」のもてなしで予想を超えた満足を生み出してきた。
(笑い声)憧れ続けた夢。
厳しい現実が待っていた。
緊急トラブルになくし物。
依頼は一日に300件以上。
総力戦で挑む。
多忙の師走を乗り切れるか。
超高級ホテルの知られざる舞台裏。
激闘の現場に密着!阿部の一日は寄り道から始まる。
通勤ルートをあえて決めずレストランや店を見て回るのが日課だ。
阿部の職場は東京・六本木。
400近い客室を持つ超高級ホテル。
今回初めて異例の密着取材が許可された。
このホテルは利用客の7割が外国人。
ビジネスから観光までさまざまな客が訪れる。
依頼で圧倒的に多いのはレストランの案内と交通手段の手配だ。
だがいつも一筋縄でいくとは限らない。
社会的に問題がない限り依頼には絶対に応える。
それがコンシェルジュという仕事だ。
この日観光で訪れた家族連れがやって来た。
すぐにでも富士山に登ってみたいという。
その日は登山シーズンの真っ最中だった。
(笑い声)客の要望をかなえてあげられないケース。
だが阿部が本領を発揮するのはここからだ。
阿部は富士山に登れない客のために別のプランを考え始めた。
家族の希望を引き出しながらプランを練っていく。
家族の表情が変わり始めた。
Thankyouverymuch.富士山には登れない。
でも家族は軽い足取りでホテルを後にした。
客の心を巧みに読み解くコンシェルジュの仕事。
阿部さんの力の源の1つが家のあちこちの棚にぎっしり詰まった本だ。
一番のお気に入りは海外ミステリー。
ウイットに富んだ会話に潜む人の心の動きにひかれるという。
このミステリーで培った推理力が仕事の現場でも生かされている。
例えばこの日京都の観光から戻った客が訪ねてきた。
そして今度は東京のどこがおすすめかを聞いてきた。
さあ問題。
彼におすすめの場所をどう導き出すか。
まず阿部さんはアバウトな質問を投げる。
イエスノーで終わらない答えを引き出すためだ。
大事なのは相手の表情の動き。
言葉には出ない希望を探っていく。
さてこれらのヒントから阿部さんはどんな答えを導き出したのか。
すすめた場所は意外な街。
神楽坂。
決め手は客が好むラーメンの名店が近くにある事。
そして観光地にはない独特の下町風情がある事だった。
阿部さんの推理はこの日も見事に客の心をつかんでいた。
コンシェルジュデスクには時に緊張が走る。
この日一本の電話が阿部に入った。
宿泊客の女性がパスポートを紛失したという。
どこで落としたか分からない。
だがそれ以上に問題があった。
客は午後の便でアメリカに帰国する事になっていた。
絶対に見つけ出さなければならない。
まず阿部は客が今朝訪れたという築地市場に電話をかけた。
何かそれらしい物って…。
すぐに捜してくれる事になった。
築地市場からの折り返しの電話を確実に受け取るための態勢を整えた。
レシートを今探してみると言って下さってるのでタクシーは。
今この時間でレシートなしにやみくもにあたるのは相当…。
まだ何もどこからも報告が集まってきてない時間なのでタクシーは。
だからレシートが出てくるのであればそれを待ってからと思います。
間もなく築地市場から折り返しの電話がかかってきた。
ありがとうございます。
パスポートが見つかった。
阿部は先を読んでバスの時間の変更を申し出た。
これでコンシェルジュの役目は終わったように見えた。
だが阿部は手を止めない。
どこに取りに行けばよいのか詳細を示した地図を用意。
更に英語しか話せなくても問題がないように日本語のメモも用意した。
パスポートを落とした女性とその婚約者がやって来た。
(阿部)築地のですね正門の横の事務所に忘れ物を今取りにいらっしゃるんですね。
いらっしゃって待って頂きたいとしたらあの辺待てますか?どのぐらいでしょう?お時間は。
多分5分ぐらい。
それでしたら。
長くても10分以内です。
いいですか?阿部はせっかくの日本での思い出を汚さないよう全力を尽くす。
30分後。
パスポートを取りに行った客が戻ってきた。
おかえりなさいませ。
Good!よかった。
ありがとうございました。
よかったです。
よかったよかった。
Good!ありがとうございました。
お手数かけました。
(笑い声)客の不安は安堵へと変わった。
グランドハイアット東京コンシェルジュでございます。
そして阿部はまた日常業務に戻っていった。
(笑い声)
(笑い声)Oh!Thankyou.阿部さんがコンシェルジュという仕事に出会ったのは中学1年の頃。
父親の出張についてスイスを訪れた時の事だった。
ホテルのロビーに座る男性は客の依頼を何でもかなえてくれると聞き興味が抑えられなくなった。
恐る恐る今日どこへ行くのがおすすめか聞いてみた。
すると阿部さんが行きたいと思っていた場所をずばり言い当ててきた。
予約の難しいレストランでも最高の席を取れる手配力。
そして客を的確に満足させる安心感。
阿部さんはその姿に憧れるようになった。
でも阿部さんが大学を卒業する頃日本のホテルでコンシェルジュを置くところはほとんどなかった。
やむなくファッションビルで働きながらいつかその仕事が募集される日を待ち続けた。
社会人になって10年目横浜にオープンする外資系ホテルがコンシェルジュを募ると聞き迷わず飛び込んだ。
全員未経験。
日本流のコンシェルジュを立ち上げる仕事だった。
だが見よう見まねで始めたサービスは想像以上に難しかった。
ある客に東京までタクシーで行くから手配を頼むと言われた時。
「電車の方が安いですよ」と言い添えるとどなられた。
そしてあなたが行くようなレストランを紹介してほしいと言われ通な店を案内した時。
帰ってきた客は不満顔だった。
相手の心を読み解く仕事。
一体どうすれば確実に満足へと導けるのか。
客の方が理不尽なんだと思った事もあった。
でもしばらく考えてみると他にもやりようはあったと思えてくる。
その度に悔しさがこみ上げた。
1年が過ぎたある日の事。
アメリカから来た家族連れがホテルに長期滞在する事になった。
ひょんな事から会話が弾み家族は阿部さんのところに話をしに来るようになった。
以来毎日欠かさずおすすめスポットやレストランを紹介する事になった。
天気予報を調べ気分を想像しては次の観光地を選びその日の疲れ具合を想像して食べる場所を考え抜く。
彼らの笑顔が楽しみで瞬く間に1週間が過ぎた。
家族が帰国する時の事。
花束と共に1通の手紙を渡された。
そして最後にひと言こう言われた。
その時阿部さんは気付いた。
相手の心を読み解く上で本当に必要な事に。
相手の注文に応える事ばかり考えていてはいけない。
客に寄り添い楽しみを共有する事こそこの仕事の原点。
あれから20年。
阿部さんの思いは今も寸分も変わらない。
コンシェルジュとして初めてもらったあの手紙が一番大切な事を教えてくれた。
阿部には今一つの夢がある。
共に働くチーム全員を世界のどこに出しても恥ずかしくないコンシェルジュに育て上げる事だ。
部下は全員30代。
客の依頼に確実に応えるスピードと能力は阿部から見ても極めて高い。
だが1つ気になる事があった。
対応が無難なものになりすぎていないか。
この日近くのラーメン屋への行き方を尋ねられた。
だが客はなかなか出かけない。
阿部にはその様子が気になった。
実は客はもっと他のラーメン屋を探してみたいと考えていたが何となく言い出せなかったという。
その日の夜阿部はチーム全員を集めた。
年の瀬が近づく12月はクリスマスもありホテルは多忙を極める。
だがそんな時期だからこそ仕事の質が問われると阿部は訴えた。
もう一歩先の接客。
阿部はその姿勢を一人一人に問おうとしていた。
阿部は一人の部下を気にしていた。
コンシェルジュ6年目の甲斐貴志。
どんな依頼にも1人で対応する力がついてきている。
だがそこに阿部は物足りなさを感じていた。
この日歌舞伎のチケットを手配してほしいという依頼が入った。
人気の演目で取るのは難しい。
だが幸いいい席に空きが見つかった。
甲斐は手配に必死で最小限のやり取りしか交わさなかった。
客は笑顔もなく甲斐のもとを離れた。
一人一人の客ともっと丁寧に会話できればいい接客になる事は甲斐も分かっている。
だが急いでいる客もあれば会話を望まない客もある。
客に失礼がないようにと思うとどうしても型どおりの対応になってしまう。
夕方一人の男性が東京のおすすめスポットを尋ねてきた。
会話はなかなかかみ合わない。
焦った甲斐は外国人が好みがちな無難な場所を提案した。
その一部始終を聞いていた阿部が声をかけた。
阿部はもう一度相手の希望を尋ねてみるようアドバイスした。
渋谷とかもおすすめしてみたんですけど銀座の方がいいのかなぁ。
結局男性が最も興味を示したのは浅草よりはるかに近い明治神宮だった。
接客という仕事は相手に思いを尽くしても通じるとは限らない。
通りいっぺんそつなく対応すれば問題は起こらない。
だがプロとしてそこにいる意味とは何か。
それを伝えなければならないと阿部は感じていた。
2日後仕事の合間に阿部が甲斐に声をかけた。
成長させるためのここが正念場。
失敗してもいい一歩を踏み出せ。
阿部はそう背中を押した。
12月も下旬に突入した。
コンシェルジュデスクはクリスマスイベントやレストランの予約で連日すさまじい混雑。
そして22日月曜日忙しさは頂点に達した。
クリスマス前の最後の平日だ。
朝11時チェックアウトのピークに一人の女性客が現れた。
客はこの日青山で買い物をしてから都内のギャラリーを巡るという。
青山でおすすめのレストランを聞いてきた。
ギャラリーへ向かう女性。
数あるレストランの中でどんな店を提案するべきか。
(甲斐)Thankyou.甲斐はあえて少し値段は高いが高名なアーティストが手がけた和風の店を提案した。
はい…はい…あぁ〜少々お待ち下さいね。
もしもし。
はい…そうですよねぇはい…。
あっすみません。
ありがとうございます。
甲斐はレストランに掛け合ってアラカルトで注文できるよう予約を手配した。
客が出発しようとした時だった。
甲斐は持ち場を離れ見送りに出た。
(甲斐)表参道のFoundMUJIの所まで。
甲斐はこの日自ら一歩を踏み出した。
(主題歌)6時間後女性客が戻ってきた。
(笑い声)客は甲斐の提案に満足していた。
心の中はいつも「攻め」のおもてなし。
阿部の挑戦は終わらない。
一つの事に関して昨日より今日今日よりあしたもっと前に進もうもっと先を目指そうという努力をいつも自然に楽しんでいる人。
(一同)お疲れさまで〜す!私の趣味です。
オオカミ?それとも人間?何とも怪しいグループがNHKにやって来ました。
2015/02/20(金) 00:40〜01:30
NHK総合1・神戸
プロフェッショナル 仕事の流儀「コンシェルジュ・阿部佳」[解][字][再]
客のあらゆる要望に応えるスゴ腕コンシェルジュ!サムライに会いたい、風呂をバラで埋め尽くしたいなどとっぴな依頼にも「出来ない」とは絶対に言わないもてなしのプロ!!
詳細情報
番組内容
ホテルにおいて客のあらゆる要望に応える、スゴ腕コンシェルジュ・阿部佳(55)!「パスポートを落とした」、「本物のサムライに会いたい」、「風呂をバラで埋め尽くしたい」などとっぴな依頼にも“出来ない”とは絶対に言わない。世界の一流コンシェルジュで作るレ・クレドールの名誉会員に認定される唯一の現役日本人だ。依頼は1日300件以上、超高級ホテルの知られざる舞台裏に初めて密着。攻めのもてなしの極意に迫る!
出演者
【出演】コンシェルジュ…阿部佳,【語り】橋本さとし,貫地谷しほり
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – ドキュメンタリー全般
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
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日本語(解説)
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