空港に降り立つと冷たい空気が肌に突き刺さる。
日本から12時間かけやって来た異国の地
来た〜。
イケメンに目を奪われつつ私が向かったのは…
クリスマスのやわらかな光に包まれた街。
まるで絵本の世界のよう
今回の舞台はヨーロッパ北部にあるエストニアです。
かわいいな〜。
実はエストニアは手作り雑貨が人気の国。
素朴で暖かみのあるデザインがひそかに注目されています。
中でも訪れる人々が一度は行っておくべきと薦める特別な場所があります。
おお〜!そう!今回の目的地は生きた博物館。
白鳥が海辺で羽を休め羊たちが駆け回るおとぎの島。
実はここ世界一スカートを愛する島なんです。
女性たちがスカートに織り込む夢の世界。
雪に閉ざされる厳しい環境が生んだ魔法。
赤いスカートが人生を彩る不思議な島へ参りましょう。
首都タリンから車とフェリーで3時間。
あの島が目指す生きた博物館です。
バルト海に浮かぶこの小さな島には世界無形文化遺産に指定された暮らしが残っています。
スカートを愛する島へとやって来たのは…。
遠い…。
舞台やドラマで活躍中の…きらびやかな装飾品をアレンジするほどの手芸好きなんだそうです。
私も手芸というか…キヒヌ島には公共交通機関はありません。
とりあえず中心を目指して歩きますか。
誰も人がいない。
自然がある。
(スーツケースの車輪の音)静か。
本当に人がいない。
どの辺が生きた博物館なんでしょうかね?でもかわいいですねおうちね。
暖炉。
暖炉の煙。
ようやくたどりついたのは島で唯一の学校です。
いましたいました!そしてこちらにも…。
お目当ての赤いスカートがずらり。
ここには小学生から中学生まで35人が通っています。
制服はないそうですが女の子はみんなおそろいの赤いスカートをはいていました。
ずっと着てるの?そうなんだ。
このスカートはクルトと呼ばれるもの。
島の女性たちが最も愛する衣装なんだとか。
午後日が出てくるとようやく通りにも村人の姿が。
皆さんやっぱり赤いスカートをはいていますね。
一体どのくらい持っているんですか?こちらの女性は20枚との事。
それにしてもさっぱり違いが分からないなあ。
皆さん分かりましたかね?島の女性にはそれぞれこだわりのクルトがあります。
手作り雑貨を売るこの女性お気に入りの一枚はこちら。
こまやかな刺しゅうを施した花嫁衣装に合わせるのも…もちろん真っ赤なクルト。
こんな光景が見られるのも生きた博物館たるゆえんです。
どうしてキヒヌの女性たちは皆赤いスカートをはいているんだろう?映美さんは学校の先生オイエさんのお宅にホームステイさせてもらう事にしました。
およそ500人が暮らす小さな島。
冬は長く厳しく訪れる人もまばら。
ホテルも警察署もありません。
何もないように見える島。
でもきっとクルトが育む魅力が潜んでいるに違いありません。
ありがとう。
オイエさんの母親手芸名人の…フフフかわいらしい!これ糸作ってるの?へえ!なんてすてきな道具なんだろう。
足で踏んで回してるの?へえすごい!この姿がすてき。
羊の毛で作った糸で織るクルト。
自分のものは自分で作ります。
この島で生まれ育ったエルヴィさんは物心付いた頃からずっとクルトをはき続けてきました。
へえ〜。
これって…この箱って衣装箱?この白樺で出来た箱には防虫効果があるんだとか。
クルトは島の女性の宝物なんです。
何か若い人との違いあるんですか?う〜ん鮮やか。
ちょっと違いますもんね。
こうやって見たら。
エルヴィさんが持っているクルトは20枚。
若い時のものの方が明るく鮮やかな赤色。
黒い縦じまも少ないんだそうです。
中でも一番大切にしている一枚があるといいます。
すてき〜…。
今でもすごいきれいに残ってるんですね。
母親から受け継いだ手作りのクルト。
結婚式や記念日にまといその思い出を刻んできたものです。
へえ…特別でしたか?何か伝統衣装なんだけどとても古さを感じなくてこう…今も生きている感じがする。
(笑い声)
クルトにはキヒヌの女性一人一人の人生が詰まっている。
そんな気がしました
(シャッター音)
私はクルトを生んだ島の暮らしそれをまとう女性たちの姿を記録してみたくなりました
エルヴィさんもう本当に私のおばあちゃんみたいな気持ちになるんですよ。
フフフ!エルヴィさんが編み物してるの。
その姿がいいんですよ。
いい写真でしょ?自分で言っちゃった。
翌朝エルヴィさんがとっておきのクルトを披露し合う集いがあると誘ってくれました。
あそこ?サンタクロース。
端から端まで7キロの小さな島。
移動はどこに行くにも自転車です。
やって来たのは島の公民館。
中に入るとクリスマス会の真っ最中でした。
あちこちでパーティーが開かれるクリスマスシーズンは島の人々が最も楽しみにしている時。
新しいクルトを作る人も大勢いるんだそうです。
皆さんとってもおしゃれですね。
皆さんそれにしてもお元気ですね。
(手拍子)でも男性の姿がどこにも見当たらないんですが…。
ここのパーティーは男性がいないですね。
(歌声)男性がいない事そして女性が赤いスカートを愛してやまないのはこの島の歴史と深く関係しているんだそうです。
かつては無人島だったキヒヌ島に人が住み始めたのはおよそ600年前。
島の北側に豊かな漁場が広がるキヒヌ島はいつしか漁師が集まる島となります。
しかし男たちは一年のほとんどを海で過ごす生活。
冬はマイナス30度にもなる厳しい島で暮らしと文化を築いてきたのが女性たちです。
キヒヌの食卓の主役は女性たちが育てたジャガイモです。
ジャガイモがおいしそうだな〜。
何?これ。
おいしそう。
エルヴィさんも漁に出た夫の帰りを待ちわびながら毎日を過ごしてきました。
夫のヴィクトルさんは船長を務めみんなに慕われる漁師でした。
しかし27年前漁で患った凍傷が悪化し亡くなりました。
夫が亡くなった今もエルヴィさんは昔と変わらず続けている事があります。
アヒル?すごいね〜!絵本で見る風景ですよ。
(笑い声)
(鳴き声)
(鳴き声)暮らしを支えスカートを作る材料にもなる羊の世話。
ここでは女性の仕事です。
(驚く声)大丈夫?大丈夫?こっちだよ。
あっ!こっちこっち!フフフフフ!フフフフ!食いしん坊。
だからみんなすごい女性たちたくましくて格好いい。
島のあちこちで見かけた羊は夫の帰りを待つ女性たちのパートナーでもありたくましさの証しのようでした
クルトの象徴である赤い色もまたこの島の恵みでした
どれ?これ?あ〜。
厳しい冬を耐え忍び花を咲かせる野草。
その根から赤い染料が採れるそうです。
何もないかに見えたキヒヌの土地。
でも暮らしを豊かにする営みが確かにあると気付かされました
クルト作りは外に出る事もかなわない厳しい冬の間夫を待つ女性たちの楽しみでした。
女性たちは代々クルトをよりこまやかにそして鮮やかに作り上げてきました。
それはこの島の冬がいかに長く厳しいかを物語っています。
そしてクルトが一年で最も輝きを放つのはクリスマス。
家族がそろう時です。
エルヴィさんもとっておきのクルトをはいて夫を迎えていました。
してないです。
(笑い声)エルヴィさんはそうしましたか?いいアドバイスありがとうございます。
OK!思い出しますその言葉。
クルトには夫の無事を願う気持ちと女性の生きざまが込められていました。
でもまだ一つ分からない事がありました
とっておきのスカートなんでしょうけどね。
やっぱり赤なんですよね。
彼女たちが愛するクルトの赤色には何か特別な意味があるんじゃないか…
(鳴き声)映美さんが訪ねたのはクルトの歴史を最もよく知るという…ひゃ〜すてき!味わい深くてすてきですねこれ。
クルトを織って60年。
この機織り機は祖母から受け継ぎ130年以上使い続けているそうです。
どうしてみんな赤が好きなんですか?スカートがなぜ赤になったのかなって。
赤は雪深い冬にも暖かみを与えてくれる幸せの色。
結構力強いんですね。
手が…この手がね。
島の伝統と暮らしを守ってきた女性の手です。
いっぱいいろんな事をこの手でやってきたんだなって思って。
ふかふかしてる。
いやそんな事ないですよ。
私のおばあちゃんも…もう亡くなっちゃったんですけどごつごつしててしわしわなんですけどその手が忘れられなくて…この手を見てそれを思い出しました。
かぶるんだ。
暖かい!どうですか?島の女の子が赤いクルトを身にまとうのは生まれてすぐ。
おばあちゃんから娘そして孫に毎年新しいクルトが贈られます。
幸せの赤い種をまき育てていくんですね。
この日島には今まで見た事のない青いクルトをはいた女性たちの姿が。
どうやらお葬式のようです。
(歌声)
(歌声)女性たちの人生に寄り添うクルト。
その不思議な魅力に取りつかれ島に移り住んだ人もいます。
カナダ出身の…クルトを生んだ島の文化を学びたいと5年前にやって来ました。
赤いスカートはいてると遠くからでも目立ちますね。
すぐ分かりました。
今はエストニアで出会ったパートナーと島で暮らしています。
シルヴィアさんの祖母はキヒヌの出身。
そしてこの祖母こそが移住を決意したきっかけでした。
祖母マリアさんは第2次世界大戦中の1944年ソ連軍による占領を恐れカナダへと亡命しました。
島を離れてもマリアさんはクルトだけは手放さなかったといいます。
遠くカナダでもはき続けたのです。
島の暮らしに戻れずともクルトをまといたくましく生きるマリアさん。
その姿はシルヴィアさんをキヒヌへと駆り立てました。
不思議な魅力っていうかこれが出てきた時の圧倒的な生命力…存在感を感じるのは何でだろう?女性の生き方がこう…染みついてるのかな?
クルトを受け継ぎその精神も受け継ごうとするシルヴィアさん。
クルトは単なるスカートではないキヒヌの魂だと思えてきました
出会えてよかった。
サンキュー。
(汽笛)港には大勢を乗せた船が。
島が活気を帯び始めます。
クリスマスに向けて漁や出稼ぎに出ていた男たちが戻ってくるのです。
この時期100人を超える人々が帰省しそれぞれの家族と過ごします。
ホームステイ先のエルヴィさんの家でも…。
何だか皆さん落ち着かない様子。
心待ちにしていたのは孫のクリスチャンさんとその家族。
クリスチャンさんは首都タリンの大学を卒業後そのまま就職。
妻と娘の3人でタリンに暮らしています。
年に一度の家族の集い。
キヒヌの女性の特別な日です。
このスカートはどうしたんですか?この日は島の外から来たお嫁さんも赤いクルトをはきキヒヌの暖かみとたくましさをまといます。
そしてひ孫のアメリーちゃんも。
オ〜!島の精神が受け継がれる事を願い新しいクルトを贈ります。
アメリーちゃんこれが初めてのクルトです。
スカートに込めた願いはどこでどんな花を咲かせるのでしょうか?
(歓声)全員がクルトをまとったところでエルヴィさんがお手製の楽器を奏で始めました。
キヒヌ島の長い冬につかの間訪れるクルトが最も美しく輝く時です。
(拍手と歓声)
(拍手)私も結婚したらこういうファミリーを作りたいなと思いました。
(笑い声)
(笑い声)はいチーズ!
(シャッター音)島の人にとってスカートも特別なものなのかなってここに来る前は想像してたんですけどみんなにとっては当たり前の存在として島もスカートも人々もいて何かそれが人にとっては一番幸せなんじゃないかって。
当たり前の事があるっていう事が。
だから皆さん豊かな顔してるし…。
そういうね大事にしてるものがあるって人間は強くなれるんじゃないかなと思いました。
これは家族写真なので真ん中に飾ります。
ファミリーです。
エストニアのファミリーです。
ありがとう!また帰ってきます。
バイバイ!・
(糸車が回る音)2015/02/19(木) 22:00〜22:50
NHK総合1・神戸
地球イチバン「世界一スカートを愛する島 エストニア・キヒヌ島」[字]
島中の女性がおそろいの赤いスカートをはく「生きた博物館」。女性たちの夢が織り込まれ雪に閉ざされる生活に暖かみとたくましさを与えてきた宝物。おとぎの島の幸せの物語
詳細情報
番組内容
中世の香り漂う石畳の街、北ヨーロッパ・エストニアの首都タリンから、車とフェリーで3時間。そこに島中の女性がおそろいの赤いスカートをはく「生きた博物館」、キヒヌ島がある。冬は長く厳しく、訪れる人もまばらなこの島だが、伝統のスカートはその生活に暖かみとたくましさを与えてきた女性たちの宝物でもあった。おとぎの島で紡がれる、夢と人生が織り込まれる赤いスカートを巡る幸せの物語。【旅人】元宝塚女優・映美くらら
出演者
【ナビゲーター】役所広司,【旅人】映美くらら
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 歴史・紀行
趣味/教育 – 旅・釣り・アウトドア
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
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