70年談話:有識者懇、バランス人選 夏までに結論

毎日新聞 2015年02月20日 01時22分(最終更新 02月20日 01時33分)

 菅義偉官房長官は19日の記者会見で、安倍晋三首相が8月にも出す「戦後70年談話」について検討する私的諮問機関「20世紀を振り返り21世紀の世界秩序と日本の役割を構想するための有識者懇談会」(21世紀構想懇談会)のメンバー16人を発表した。25日に初会合を開く。70年談話をめぐっては、首相の歴史認識を表明する機会として中韓両国や米国が関心を示している。メンバーは首相ブレーン以外も起用してバランスを取った形で、今後の議論に注目が集まりそうだ。

 懇談会の座長には西室泰三日本郵政社長(79)、座長代理には北岡伸一国際大学長(66)が就任する見通しだ。ほかに国際政治の研究者や経済界、報道機関などからも起用した。

 菅氏は会見で懇談会の位置付けについて「政府が談話の具体的内容を検討するにあたって、幅広い有識者から意見を聞くために設置した」と説明。ただ、議論をどの程度、談話に反映するかは「どのような成果物を出すかを含め、懇談会の中で議論することになる」と述べるにとどめた。

 また、談話をとりまとめる時期を「今夏がめど」としつつ、8月15日の終戦記念日の発表は「そこについては決めていない」と語った。

 政府は戦後50年(1995年)に合わせ、先の大戦について「植民地支配と侵略」「痛切な反省」「心からのお詫(わ)び」などを表明した村山富市首相談話を出した。戦後60年(2005年)の小泉純一郎首相談話でも、同様の文言を継承している。

 首相は1月のNHKの番組で「今まで使った言葉を使わなかった、新しい言葉が入ったというこまごまとした議論にならないよう、70年談話として新たに出したい」と述べており、文言や表現ぶりが焦点となっている。【木下訓明】

◇「21世紀構想懇談会」のメンバー(50音順)

氏   名   主な現職

飯塚 恵子 読売新聞アメリカ総局長

岡本 行夫 岡本アソシエイツ代表取締役

川島  真 東京大大学院准教授

北岡 伸一○国際大学長

小島 順彦 三菱商事会長

古城 佳子 東京大大学院教授

白石  隆 政策研究大学院大学長

瀬谷ルミ子 日本紛争予防センター理事長

中西 輝政 京都大名誉教授

西原  正 平和・安全保障研究所理事長

西室 泰三◎日本郵政社長

羽田  正 東京大副学長

堀  義人 グロービス経営大学院学長

宮家 邦彦 立命館大客員教授

山内 昌之 明治大特任教授

山田 孝男 毎日新聞政治部特別編集委員

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