(信濃)いや〜…あっ!
(安井)おっ!
(信濃)ここやなここ。
(安井)すごい!すごいなぁ!
(太田)すごいなぁ!
(安井)豪華〜。
(信濃)でも誰もいてへんけど…俺ら一番乗りみたいやな。
(安井)ちょっと早かったんかな。
(太田)そうかもしれんな。
にしても豪華やなほんま〜!
(安井)うん。
(信濃)あっそうや!俺らから新郎新婦にプレゼントする花束と写真立てちゃんと持ってきたか?
(安井)持ってきたがな〜。
(太田)当たり前やないか。
(安井)これ見たらあの二人喜ぶで。
ほらきれいな菊の花。
(信濃)縁起悪いわおい!これお葬式の花やないかい。
(安井)そうなん!?
(信濃)そうや。
(太田)何してんねんお前。
(信濃)太田大丈夫か?
(太田)俺ちゃんと買ってきたよ。
ほらプレゼントの写真立て。
(信濃)なんでやねんおい!お前これ遺影やないかい!
(太田)えっ?
(信濃)いや「えっ?」やあれへん。
ちょっと待って。
おいおいこれよう見たら俺の写真やないか!
(太田)写真なかったからお前の顔当てはめてんや。
ちょっと待ってこれだったら俺死んだみたいになるやろ。
(安井)まあ…ごめんごめん。
(太田)悪かったなうん。
(信濃)「ごめんごめん」じゃなくてちゃんと謝れよ!
(安井)ああそうか…。
(2人)このとおり。
(信濃)拝んでるみたいになってんねん!なんやねんそれ!
(安井)怒らんでええやないか。
(信濃)俺嫌われてんの?
(安井)嫌われてないよ。
(太田)違うって。
お前考え過ぎや。
(安井)あとで買いに行くから。
(信濃)頼むでもう…。
(安井)三人で写真撮ろうや。
(太田)あっええな!
(信濃)待て。
主役いてへんのに撮ってどうすんねんな?
(太田)あとでバンバン撮れるがな。
まず三人で記念に撮ろうや。
(信濃)まあ…それはええけどそれだったら誰かにシャッター押してもらわんと。
(太田)ああそうやな。
誰か撮ってくれる…あっ!向こうから人来てるわ。
あの人に頼もう。
(信濃)そうしようか。
頼むで。
(太田)ごめんごめん。
(小)ああ〜ほんまだるいわ〜。
ああ〜この仕事全然おもんない。
(信濃)あの〜すみませんシャッター押してもらっていいですか?あっはいいいですよ。
カシャ!はいどうぞ〜。
(信濃)ちゃうちゃうちゃう…。
あの〜違うんですよ。
僕らが並んでるところ撮ってほしいんですよ。
あっ並んでるところ撮ってほしかったんですか?もう〜主語がないから〜。
(信濃)分かるでしょ!はい並んでください。
はいいきますよ。
は〜い3+2は?
(3人)「5」。
(信濃)いやおかしいですよ!いや…「3+2は?」「5」やったら口の形変でしょ。
はい。
いや「はい」やなくて。
「3+2は?」って言われたら絶対「5」って言います?「5」って言いますよ。
僕絶対言わへんそんなん。
言うてください。
じゃあいきますよ。
3+2は?カシャ!
(信濃)いやおかしいでしょ!なんにもおかしくない。
それだったら「5」って言うでしょ。
言うてほしくなかったんですか?はい。
もう〜主語がないから〜。
(信濃)いや分かるでしょ。
(安井)腹立つ!こいつあかん。
ほかの人に頼もうぜ〜。
ちょっと待ってください。
写真撮ってあげたのに「こいつ」ってどういうことですか?
(安井)写真も変な撮り方するからそら言われるやろ!ちゃんと撮りましたやん。
なんやねんな!?お前。
痛ぁ〜。
何暴力…何突いてるんですか。
イヤ〜ン。
はあ?「はあ?」やあらへんがな!イヤ〜ン。
なんですの?それ。
「なんですの?」…。
イヤ〜ン。
バカ〜ン。
バカ〜ン?えっ?イヤ〜ン。
バカ〜ン。
ソコ〜ン。
ソコ〜ン?へえ〜。
「へえ〜」やなくてお前…。
イヤ〜ン。
バカ〜ン。
ソコ〜ン。
ヒザ〜ン。
ヒザ〜ン?なんですか?ほんとに。
「なんですか?」やあらへんがな!全部同時に押したらどうなるんですか?イヤバカソコヒザ〜ン。
へえ〜。
「へえ〜」やあれへんがな!「へえ〜」しかないでしょ。
腹立つなお前…。
カタ〜ン。
ふ〜ん。
「ふ〜ん」やなくて…。
ヒトノカタ〜ン。
へえ〜。
(安井)アチラノカタ〜ン。
なんや!?それ。
何うまいこと言うてるんですか。
早く出ていってくださいよ。
腹立つな。
あなたが悪いんでしょちょっと…。
(清水)騒がしいな…。
おいちょっとちょっと…小!離れなさいお前は。
何をしてんねん!?ほんまに。
お客様どうかされましたか?
(信濃)あなた誰ですか?私この者の上司でチーフマネージャーをしております清水と申します。
(信濃)上司?あのねこの人むちゃくちゃなんですよ!
(清水)えっ?
(信濃)写真ちゃんと撮らへんし。
(安井)おまけに暴力は振るってくるし。
どういう教育してるんですか!?お前が言うなあほ!おんなじように言うなよほんま。
ちゃんと謝りなさい。
えっ?悪いことしたんやから謝れ言うてんねや!ええ〜いや僕人に頭下げるん嫌なんですよ。
はあ?清水さんがいっぱい頭下げてください。
なんで俺そんなんせなあかんの。
一緒に謝るから。
一緒に謝りなさいほんとにもう〜。
あの〜従業員にもかかわらずお客様に対してほんとに大変失礼な態度をとったことを心からお詫び申し上げます。
さっ!ということで皆さん…。
(清水)何を仕切り直してんねん!何も反省してないやろ。
早く切り替えたいなと思いまして。
それこっちが決めることやあほ。
申し訳ございません。
あとでちゃんと叱っておきますので。
(信濃)もういいですよ。
(清水)すみませんでした。
お客様とりあえず披露宴までもう少し時間がございますので向こうの控え室でお待ちください。
(信濃)分かりました。
でもこいつにちゃんと言うといてくださいよ!
(安井)ほんま嫌いやわ。
なんやねんあの言い方。
「こいつにちゃんと言うといてくださいよ!」。
(信濃)それ俺やないかい!おい!ちょっと待て。
小!お前ええかげんにせぇよほんま。
ちゃんと仕事してくれって。
いやしてますやん毎日毎日…。
(清水)はあ?人の幸せをお祝いするのん手伝うだけで。
もう〜今日も披露宴。
明日も披露宴。
あさってもまた披露宴。
その次も披露宴。
ず〜っと披露宴。
僕たまには葬式やりたいですわ。
いやするかぁそんなこと。
全然おもんないこの仕事。
披露宴会場やここ。
おもろいこと起きないんですか?何を楽しみにしてんねんお前。
お前ええか?今日の披露宴の新婦はな俺の友達やねんぞ。
友達の門出を邪魔するようなことせんといてくれよ。
今日の新婦の安世さんっていうのは清水さんのお知り合いですか?そうや。
大学でな同じサークルに行っとったんや。
へえ〜。
ちなみに新婦の友達で女の子3人来るねんけどその子らも同じサークルだったんや。
そういうことやから今日は俺の関係者がたくさん来るから恥かかさんとってくれよもう〜。
分かりました。
(まみ)ほんときれいな所ね〜。
(清水)言うてたら来たわ。
(藍)いいねいいね〜。
(清水)ああ〜待ってたで。
皆さんいらっしゃいませ。
(まみ)ああ〜清水君そんな「いらっしゃいませ」なんてかしこまった挨拶しないでよ。
(藍)そうよ。
私ら大学のときからの友達やんか。
(清水)でもそうはいかんよ。
今日はあくまでもな従業員としての立場を優先するつもりやから。
(まりこ)清水君も一丁前のこと言うようになったのね。
(清水)まあチーフですから。
(まみ)今日は安世のためにしっかり頑張ってね。
(清水)はい。
精一杯頑張ります。
いや〜清水さん。
青春時代のお仲間っていうのはやっぱりいいもんですね。
(清水)そうやろ?清水さんが大学のときに入ってたサークルっていうのは野生動物のモノマネサークルですか?変わったやつに…。
(清水)いやいや違うよ。
普通のテニスサークルや。
えっ?ほんなら夏はテニス冬は動物のモノマネ。
いやいや訳が分からへんわ。
いやいやず〜っとモノマネされてますやん。
いちばん向こうの人なんてず〜っとさっきからゴリラのモノマネやってますよ。
(まりこ)ちょ…ちょっと。
お尻出してこないして…。
はあ?何言ってるんですか?私ゴリラのモノマネなんかしてませんけど。
ほらほらしてますやん。
(まりこ)してません。
なんですか?この人いきなり…。
失礼ね!ちょっと…あなたが悪いんでしょ。
(清水)小やめろお前。
モノマネしてへんし!してますやんほら。
ゴリラちゃう。
ゴリラちゃうわ。
腹立つ!
(清水)ゴリラなっとるがなおい!えっ?
(清水)まりこちゃん!ちょっと何を…。
ドラミングしながら歩くなおい!恥ずかしいから!何してんねん…。
ウンコして投げんなおい!汚っ!なんや?
(清水)ちょっと…。
そんなとこで休憩するな!恥ずかしいから。
まりこちゃん元に戻ってもう〜。
(清水)人類の進化みたいになっとるやないかおい!
(まりこ)何なん一体…。
腹立つ…。
あの人が言うからよ!もう〜。
上手〜。
(藍)ちょっと!おたくさっきから失礼じゃないですか。
いや紛らわしいですもん。
だってあなたかって豚みたいじゃないですか〜。
(藍)そうそうそう。
ぶぅぶぅ〜ぶぅぶぅぶぅ〜ぶぅぶぅ〜ぶぅ〜。
誰が豚やねん!また下手くそなノリつっこみですね〜ほんとに。
あんな上手なゴリラのモノマネのあとようやろう思いましたね。
(藍)うるさいわ!私が豚だったらなあんたなんてゴボウやんか!そうそうそうそう。
(清水)いや乗らんでええおい!まな板の上でコロコロされながら包丁でフェッフェフェッフェささがきにされて卵とグチュグチュってしたやつにウナギとゴボウ入れられたら柳川鍋になるわ!
(清水)なんの話をしとんねん!どうでもええけど偉そうに言うてお前も下手くそやないか!清水さん上手なんですか?
(清水)はあ?なんですか?清水さんドストエフスキーみたいな顔して。
そうそうそう。
いや分からへんわそんなん。
どないすんねん?下手ですねほんと。
あなたこそドストエフスキーみたいな顔してますよ!そうそうそう。
私1821年11月11日ロシアで生まれた作家です。
主な代表作は「罪と罰」「未成年」「カラマーゾフの兄弟」。
ほんで嫁の名前はアンナ・スニートキナなんかい!
(清水)めっちゃ詳しいやん!
(場内拍手)
(清水)なんでそんな知識あんの?あれぐらいできんと。
(清水)できるかぁあほ!引っ込んどれほんま。
みんなもな腹立つかもしれんけど今日は安世ちゃんの披露宴やで。
そんなことしてたらあかんやろ。
(まりこ)ごめんごめん。
(清水)とりあえず披露宴まで時間あるから控え室で待っとって。
(まみ)うん分かった。
じゃあ清水君頑張ってね。
(清水)任しといて。
今日はなすてきな披露宴になるように頑張るわ。
(まみ)うん。
じゃあね〜。
(まりこ)ちょっとちょっと!清水君格好よくなってなかった?
(まみ)ああ〜うん!
(藍)ええ〜なんか鼻が上向いてるし豚みたいじゃない?
(清水)お前が言うなあほ!ちょ…ちょっと待ちなさい。
あいつらほんまに…。
あぁ〜あ…。
とはいえ心配やな。
心配?何がですか?鼻が上向いてるからですか?違うわあほ。
心配するか今更そんなこと。
えっ?いやなぁ…今日の披露宴大きな問題が1つあんねや。
大きな問題って鼻が上向いてるとか?違うっちゅうとんねん。
関係ないやろそんなこと。
実はな安世ちゃんのお父さんがこの結婚猛反対してんねや。
下手したらこの披露宴にも出席せぇへんかもしれん。
でも出席者リストの所には新婦のお父様ってちゃんと名前ありましたけどね。
まあなんとかな出席してもらえるように安世ちゃんが説得してみるとは言うとったんやけど下手したら父親が不参加っていう可能性もあるかもな。
そこまで…。
それなんでそんなに反対されてるんですか?相手の方がニートでブラブラしてるとか?いやいや普通の29歳のサラリーマンの方やで相手は。
ほらアイスクリームの「サーティワン」って知ってるか?好きですよ。
そこの本部で働いてる立派な方や。
ああ〜そんなちゃんとした所で働いてる方やったらいいでしょう。
なんで反対されてるんですか?まあ言うてしまえば今回の結婚できちゃった結婚なんや。
いやでもそんなん今日びねぇ。
まあでもその話自体はみんな知ってることやしめでたいからかまわへんねんけどな安世ちゃんのお父さんというのが警察官でなぁえらい厳しい方なんや。
ああ〜。
「入籍もしてへんのに子供を授かるなんて順番がおかしいやろ!こんな結婚反対じゃ!」言うてえらい怒ってはんねん。
安世ちゃんがうまく説得ができへんかったら今日は欠席になる。
まあ出席したにしても険悪なムードになりかねんやろ?これほんま頑固なおやじを持ったら大変やで。
なんですか?その言い方。
(清水)えっ?そんな言い方あかんのちゃいます?新婦のお父様に向かって今の言い方。
えっ?「頑固な…持ったら大変やで…」ってなんですか?そんな急に歯出して。
ちょ…ちょっと待って。
今ぎりぎり聞こえましたけどそんな言い方されたらちょっと意味分からないですよ。
いやしてないやろ俺。
「頑固なおやじ…」。
やめろそれおい!ふぁっふぁふぁっふぁ言われても。
俺ふぁっふぁなんか言うてない。
はい?俺前歯出してなんかしゃべってないから。
「前歯…出して…しゃべってない…」ってこう…。
お前何まねしてんねん。
「お前…まねしてんねん」。
やめろそれ。
「やめろ…」。
しつこい。
やめろ言うてんねん。
「しつこい。
やめろ…」。
お前あほやろ。
お前よりまし…。
やかましいわあほお前は。
そこはまねせぇ。
ほんでそこはすんのかい。
なんですか?とにかく今日はそういう不安材料があんねやからしっかりしてくれって。
分かりました。
やってますよ。
(清水)ふざけてばっかり。
いつになったら真面目に仕事すんねんお前…。
(安世)はぁ…。
(清水)あっ安世ちゃん。
(安世)あっ清水君。
(清水)どう?お父さん出席してくれそう?うん…お母さんと二人で説得してなんとか控え室までは連れてきたんやけど…。
ほないけるん違うん?それが全然だめなのよ。
お父さん控え室に入った途端また怒りだして「やっぱりこんな結婚は認めへん!」って今もお母さんと言い合いしてるの。
たぶんこの調子やと今日は…。
(清水)そうか…。
はぁ〜あ…このままお父さんが欠席したら…。
まあ私は最初から覚悟してたけど相手のご家族の方に失礼やなぁと思って…。
せやわなぁ。
(2人)はぁ…。
安世さん!!
(清水)なんやおい…。
私は清水さんの下で働いてる小という者です!!ある程度の事情は聞かせていただきました!!つらいことがあるかも分かりません!!でも今日は披露宴ですから明るく元気いっぱいやりましょう!!
(清水)元気よすぎるわお前はあほ。
はい!!
(清水)テンション考えろよほんまに。
あのなお前簡単にそんなん言うけど安世ちゃんも今日まで必死に説得してきたんやで。
暗い顔にもなるって。
あのね分かってますそんなこと。
あほですねあなたほんとに。
(清水)誰があほやねんお前。
あのね新婦が落ち込んでるんでしょ。
僕ら店員がガッと明るくならないといけないじゃないですか。
昔から言うでしょ「ザ☆ピ〜ス!」っていう「モーニング娘。
」の歌にだって出てくるじゃないですか。
・好きな人が・優しかった・うれしい出来事と・なりました
(PEACE!PEACE!)やないですか。
(清水)何が出てきたんや今!長々聴いてたけどなんにも出てけぇへんかったやないか!そのあとダラダラダラ〜って出てきますから。
(清水)もう黙っとってくれへんか邪魔するんやったら。
元気いっぱいやりましょう今日は。
(安世)はい…。
(清水)ごめんな安世ちゃん。
それはそうと新郎の方は?もう着替え終わってたからすぐに来ると思う。
ああそう。
・安世ちゃ〜ん!
(安世)来たみたい。
えっ?新郎の方僕顔を見てないですね。
どんな方なんでしょう?
(島田)お待たせ。
ふふっ。
安世ちゃん。
一の介さん。
(場内笑い)あっあの〜新郎の方はまだ来ないですねぇ。
(2人)えっ?新郎の方はどちらに…。
(島田)いや私が新郎です。
ええっ!あなたが新郎!?
(島田)そうですよ。
ほんとですか?
(安世)はい。
(島田)何びっくりしてるんです?清水さん!何うそついてるんですか。
うそ教えんとってくださいよ。
何が29歳の「サーティワン」ですか。
あんなもん59歳の「ハーゲンダッツ」ですやん。
(清水)うまいこと言わんでええ。
何が「ハーゲンダッツ」やお前は!なんですか?あれ。
この辺にちょっとだけチョコチップ付いてますやん。
(清水)チョコチップと違うあれ。
バニラが多い。
(清水)やめなさいそういうこと言うのほんと。
あのねそら反対されますわ。
僕親やったら絶対反対ですあんなもん。
できちゃった結婚で反対されてるのちゃいますやん。
ハゲちゃった結婚ですあれ。
(清水)いらんことを言うな。
順番逆やって言われるわ。
だいたいね結婚して年いってきてからハゲんねん。
結婚する前にハゲててどないしますねん。
(清水)やかましいなもう。
(島田)頭のことはほっといて!ほっとけないです。
それよりお義父さんの方は?今お母さんが説得してくれてる。
ああ〜そうなんや…。
(安世)お義父さんお義母さんこの度は本当に申し訳ありません!せっかくの披露宴やのにうちの父がわからず屋で本当にすみません!
(裕)そんな…安世さんが謝ることじゃないよ。
(ゆきこ)そうですよ頭を上げてください。
安世さんって変なとこに嫁ぐんですね。
うるさいなお前はさっきから。
僕あんな二人とよう歩かんわ。
(清水)やかましいわ!
(島田)安世ちゃんやっぱり僕がもう一回お義父さんと話した方がいいかな?
(安世)でもまたお父さんがカッとなってもあかんし。
そうですよ。
お父さんがカッとなってこちらがピカッとなってもややこしいですから。
(清水)訳が分からんわそれ。
カッピカッ!カッカッピカッ!ってなっても…。
なんのリズムやおい。
まあ確かにピカッとなるのはまずいですよね。
(清水)乗らなくていいですよ。
頑張って毛を生やしてください。
(島田)はい。
いやいや…。
(清水)頑張ってはるやろ。
・
(内場)ああ〜もう帰る!えっ?
(安世)お父さんの声や。
怒ってますやん。
・
(内場)もういいもういい!・
(あき恵)ちょっとあなた…。
(内場)いやもういい。
私は帰る。
(あき恵)ちょっと落ち着いてちょうだい。
(内場)もういい帰るから。
(あき恵)ここまで来たんでしょ?二人の門出を祝ってあげましょうよ。
(内場)門出も何もね私はこの結婚は反対なんだよ。
帰る!
(あき恵)あなた!
(安世)お父さんお願いします披露宴に出てください。
(内場)断る!私は帰る!
(島田)お義父さん。
「お義父さん」?なんか違和感あるわ。
(清水)黙っとけもうええから。
(島田)お義父さんお願いします披露宴に出席してください!
(内場)君とうちの娘の安世との結婚はね私は認めてないんだよ。
入籍前に先に子供ができるってどういうことや!えっ?けじめのない男になうちの娘を幸せにできるわけない!
(あき恵)そういう言い方ないでしょう。
(内場)もういい。
帰る!
(安世)お父さん待ってよ!
(内場)どきなさい。
なんだ?君は。
(清水)冷静になってください。
(安世)お父さん残って…。
(内場)おい…何してんねん。
(島田)お願いします。
これはもう帰ってもらいましょう。
(島田)おいおいおい…。
(清水)おかしいおかしい。
何してんねんお前は。
こんなごちゃごちゃ言うてる人残してたらややこしくなるから帰ってもらいましょう。
(安世)お父さん披露宴に出て!帰ってもらった方がええ。
(清水)ちょっとちょっと…。
帰れ!バン!
(清水・安世)ああ〜!
(清水)あっああ〜!
(安世)あっ!
(清水)お前…何してねん!さっ!ということで…。
(清水)それやめろお前は!
(安世)お父さん!
(あき恵)あなた!
(安世)お父さん?お父さん!
(あき恵)あなた!大丈夫?あなた。
しっかりして!ちっ…なんでこんなことになったんや。
清水さん。
(清水)いやお前のせいやで!何言うとんねんほんまに。
何を言ってんですか。
(あき恵)あなた!ねえ…。
(内場)ん…。
(あき恵)気が付いたみたい。
(安世)お父さん大丈夫?大丈夫ですか?よかった。
じゃあとりあえず座っていただきましょう。
(安世)はい。
(あき恵)さあそこに座って。
(内場)痛い痛い…。
大丈夫ですか?
(安世)ああ〜よかった。
(あき恵)ほんとにびっくりしたわよ。
ここはどこや?
(安世)えっ?「ここはどこや?」って披露宴会場やないの。
誰の?
(安世)私の。
(内場)あなたの…。
(安世)「あなた」?ちょっと…さっきから何を訳分からんこと言ってるのよお父さん。
誰がお父さんですか?
(あき恵)はっ?あなたしっかりしてちょうだい!
(内場)しっかりも何も…。
ちょっと何もかも分からないんですけど皆さん私のことはご存じなんですか?
(あき恵)「ご存じ」って…。
(安世)お父さんまさか…。
これ知ってる。
なんかテレビで見たことある。
これなんていうやつだったっけ?これ僕に言わしてくださいここまで出かかってるんで。
言いたい言いたい。
ちょっと言わんとってください。
これなんやったっけな?バンとやってふぁ〜ってなるやつ。
あれなんやったっけ?え〜っとなんて…記憶がなんか喪失するやつや。
あかん出てけぇへん。
もう代わりに言うてください。
ほとんど答え言うとったやないかお前。
記憶喪失や。
ああ〜そうそう。
ええ〜っ!?
(島田)医者はまだなんですか?
(清水)さっき電話したんでそろそろ来ると思います。
(島田)そうですか。
ええ〜…。
(清水)ちょっと記憶って…。
(オクレ)こんにちは〜…。
えっ…。
(清水)ほとんど声出てない。
もう虫の息やがな。
(オクレ)ふふふっ…。
(清水)いらんこと言うなあほ!すみませんわざわざありがとうございます。
(オクレ)患者さんはどちらさん?
(清水)あちらの方なんですけど先ほど頭を強く打って記憶喪失かもしれないんですよ。
(オクレ)記憶喪失?はい。
そんな…素人が勝手な判断をしたらあかん。
わしがちゃんと診たるから。
(安世・あき恵)お願いします。
(オクレ)で頭打ったんやな?
(清水)はい。
あかん。
これはハゲるぞ。
(清水)なんの話やおい!えっちょ…ちょっと何されてるんですか?
(オクレ)ちゃんと診ます。
(清水)お願いしますよほんとに。
(オクレ)はい。
これはまだおもしろいこと見つかってない。
(清水)せんでええねんそんなことは。
(オクレ)ふふふふっ…。
(清水)へらへら笑うてんと治療してもろうていいですか?お願いしますよほんとに。
分かりました。
お願いしますよ。
(オクレ)ほんでおたく名前は分かるか?分かりません。
(オクレ)ん!?ほな住所と生年月日は?
(内場)いや…覚えてないです。
(オクレ)分かりました。
記憶喪失です。
(清水)だから言いましたよそれ。
(オクレ)ふふっふふふふっ…ほな帰るわ。
ちょっとちょっとちょっと!「帰るわ」やないですよ。
治療してください治療を。
記憶喪失なんかほっとかなしゃあないやろがな記憶戻るまで。
(清水)えっ?
(オクレ)頭打ったんやろ?
(清水)はい。
(オクレ)だからまたなんか次に強い衝撃受けたら記憶が戻るか分からん。
(清水)強い衝撃…。
(オクレ)ほんで記憶戻るときいうのはな頭を押さえてうわぁ〜って苦しみだしたら記憶が戻る前触れやから。
(清水)ああ…頭押さえて苦しみだすんです?
(オクレ)そうそう。
注意しとくようにな。
(清水)分かりました。
ほなほんまに帰りますよ。
はい。
分かりましたありがとうございました。
あれ?わしどっちから来たかな?
(清水)あんたも記憶喪失になっとるがな。
(オクレ)へへへへっ…。
(清水)おいおいおい…。
(オクレ)ほな十分笑わしたから帰ります。
(清水)えっ?どこが十分ですか。
小さじ1杯程度ですよ。
ははははっ…。
何をそっち見て…。
笑うてんのあんただけやがな。
あほ〜。
なんやおい!
(清水)そんなことよりちょっとえらいこっちゃなおい!お父さん!ほんまに私のことが分からへんの?まったく。
(あき恵)あなた私の顔も分からないの?
(内場)はぁ…全然。
(あき恵)あぁ…そんな…。
(内場)いやでも皆さんが言うてくれるねやったらそうなんでしょうね。
(あき恵)どういうことよこれはほんとに!おいそこの電信柱。
なんですか?ボットン便所。
ボットン便所って何?私近所では倖田來未に似てるって言われるのよ。
いや倖田來未って…。
それちょっとだいぶ言い過ぎちゃいます?あなたと倖田來未比べたら全然ちゃいます。
月とスッポンですやん。
スッポンいうても亀の方ちゃいますよ。
あなたトイレの方のすっぽんですよ。
それぐらいこう…。
(あき恵)どっちにしてもトイレつながりじゃないの!まあ…はい。
(あき恵)「はい」じゃないでしょ!全部あなたのせいでしょ?どう責任を取ってくれるの!?いや責任と言われましても…。
(あき恵)なんて従業員かしら!あなたのこと一生覚えとくからね!一生覚えとく!?いやちょっとそれは困るんですね。
ほんならこっちへ。
(清水)お〜い!ちょっと待て…。
記憶を奪おうとするなお前は!そこにぶつけたら忘れる…。
(清水)ええかげんにせぇ。
(あき恵)絶対に訴えてやる!訴える?ほなちょっと待って…。
(清水)いやだからやめろっちゅうてんねんお前はしつこいのう。
(あき恵)何してんのよまったく!なんていう従業員なのよあの人は!
(安世)お母さん!今はその人を責めるよりもお父さんの記憶を戻すことを考えないと。
(あき恵)そうかもしれないけどどうしたらいいの!?あっじゃあこういうのどうですかね?こちらからお父さんにいろいろ教えてさしあげるんです。
例えば名前とか基本的なこと。
それをきっかけにいろいろ思い出すかもしれませんよ。
(安世)なるほど!そうですね。
(清水)うん。
(安世)お父さんよく聞いてね。
お父さんの名前は内場勝則。
職業は警察官よ。
「内場勝則。
警察官」…。
(安世)そう。
それから私はお父さんの娘長女の安世。
(内場)「安世」…。
長男の千豊。
(清水)やめろおい!「千豊」。
(清水)いや違いますよ。
こっちは全部無視してください。
違うことないですよほんとに僕長男ですから。
(清水)ややこしくなるやろ今言うたら。
あほ!
(安世)それからこの人は私のお母さん…つまりお父さんの奥さんよ。
(あき恵)あなたあき恵よ。
あき恵さん?
(安世)どう?何か思い出せそう?
(内場)まったく思い出されへん…。
いやでもそんなにみんな一生懸命言ってくれんねやったらそうなんでしょう。
ああ〜分かりました。
あなたが私の娘で私が父親ということですね。
であなたの夫ということですね。
いやすみませんね皆さん。
なんか申し訳ないです。
ご迷惑かけまして申し訳ない。
すんませんでしたどうも。
なんかこの人記憶なくなってから腰低くなりましたねほんまに。
(清水)ほんまやな。
さっきまで怖かったのに。
(内場)あれ?あなたはなんでまたこんな衣装を?
(安世)今日は私の結婚式なの。
ここは披露宴会場よ!
(内場)おめでとうございますぅ。
ええ〜?
(内場)いや〜そうですか!晴れの門出じゃないですか。
おめでとうございますぅお幸せに。
「おめでとうございますぅ」ってさっきあんだけ反対してたのに人格変わりましたね。
(内場)相手の方は?
(島田)あっあの…島田一の介です。
よろしくお願いします。
オーマイゴッド!
(清水・小)えっ?
(内場)いや…えっ!?
(島田)えっ?
(内場)いやおかしいでしょ。
えっ新郎?ええ新郎です。
(内場)心労がたたったの?
(島田)いえいえそんな…。
いやあの〜これはうそ偽りなく私新郎でございます。
うそも偽りもないけど毛もないやん。
えっ?
(内場)何?どうしたん?「鴬ボール」みたいになってるやん。
えっ?「鴬ボール」…。
まだ私29歳でございます。
(内場)29!?ええ〜むちゃくちゃや…。
(安世)ちょっとお父さん!
(内場)いいの?
(島田)「いいの?」って…。
(裕)わしええか?一の介の父です。
(内場)あっ…なんか思い出せそうですこの人。
(安世)何?
(内場)マキバオー!誰がマキバオーやおい。
それ馬のアニメでしょ。
マキバオーではありません。
何バオー?何バオーでもないです。
「バオー」残ってしもうてますから。
島田と申します。
島田マキバオー?下の名前じゃないです。
下の名前裕です。
えっ武豊?ジョッキーじゃないですか。
それ乗る方でしょ。
乗られる方?そういうことじゃないです。
だったら馬ですやんか。
こう来るでしょ。
マキバオーではないんです。
でも「牧場男」って書いて「マキバオー」と読むんでしょ?いえ牧場男とは書かないです。
いや牧場男じゃないですか。
牧場男じゃなくて…。
何男?何男って…男違うんです。
(一同)えっ!?
(裕)そういうことじゃないんです。
そういうことじゃないんです。
男です。
性別は男です。
島田裕人間男です。
ああ…。
(裕)あかんわ。
記憶戻ってないわ。
(島田)じゃあお母さん。
「あたしンち」?誰が「あたしンち」よ。
誰が「あたしンち」よほんとに。
(内場)えっ?妻のゆきこです。
妻?はい。
汚っ!ちょっと「汚い」って…。
ほんとに…。
な〜んでやね〜ん!何があったんですか?今。
あなたが失礼なこと言うから。
いやいや…。
ぴゅっ!ぴゅっ!ぴゅっ!ぴゅっぴゅるぴゅっぴゅぴゅっぴゅるぴゅっぴゅ…ドン!
(内場)なんですか?今のは。
何よ!ぴゅぴゅぴゅぴゅぴゅ…ド〜〜〜ン!!あなたのせいよ。
あなたのせいよほんとに。
もう何よこの人…。
(安世)ちょっとお父さん失礼なこと言わないでよ!
(内場)すごい3連発やからやな…。
(安世)ちょっと!
(内場)ああ〜すみません娘ですよね?娘がお世話になります。
末永くよろしくお願いします。
(島田)いえこちらこそ。
(安世)それからねお父さん…。
(内場)はい。
(安世)もうすぐしたら披露宴が始まるの。
お父さん出てくれる?
(内場)出ますよ。
父親でしょ?そら出ます出ます。
ねえ〜。
まあ記憶がないんで気持ちは他人なんですけど私が出ないとね…父親が出ないと格好つかないでしょ。
出させてもらいます。
はい。
いや〜清水さん。
もう出る言うてますやん。
気ぃ変わらんうちに早く控え室に閉じ込めましょう。
えっ…ええっ?ええの?いいですいいです。
(清水)とりあえず皆さん披露宴まであと15分ほどございますので控え室でお待ちいただけますか?
(内場)どうもすみません。
じゃあ控え室に行きましょ。
この奥らしいですよ。
さあさあどうぞどうぞ皆さん行きましょ行きましょ。
足元気ぃつけてくださいね転んでね頭打ったら記憶をなくしますから。
(清水)あなたですよそれ。
いいですやんかあんだけ披露宴出ぇへん言うてた人が協力的になってるんですよ?記憶なくなってよかったじゃないですか。
記憶喪失なってもいいことばっかりですよ。
いいことって…。
ええ〜?なんでですの。
出ぇへん方がいいですか?記憶なくなってよかった…。
(佐藤)あの〜すみません。
(清水)あっはい。
(佐藤)こちらに内場勝則さんは?
(清水)どちらさまでしょうか?ああ〜俺佐藤太一郎っていいます。
昔内場さんにめっちゃお世話になってそれでお礼言いに来たんです。
(清水)そうでございますか。
少々お待ちいただけますか?内場さん!もうすぐ来ると思います。
でもあの〜内場さんとどういったご関係なんですか?ああ…俺昔内場さんに逮捕されたことがあるんです。
逮捕?はい。
3年前のことなんですけど俺そのころグレてて繁華街で傷害事件起こしてしまったんです。
そのとき俺を捕まえたのが内場さんなんです。
内場さんは俺を警察署に連れていくときに言ってくれました「自分の人生を粗末にしたらあかん」って。
俺大人の人にそこまで親身になってもらったことなかったからむっちゃうれしくて。
それに内場さん「少年院でしっかり反省したらまた俺んとこに顔見せに来いよ」そう言ってくれたんです。
「お前のことは絶対に忘れへんから」って。
いやなんかタイミングええような悪いような…。
おもろくはなりそうですけど…。
いやあのねちょっと内場さんなんとかっていうやつになってるんですよ今。
(清水)こちらでございます。
お客様が来られてます。
(内場)お客?
(佐藤)内場さん俺です!覚えてますか?いや全然覚えてないよ。
(佐藤)内場さんあの…佐藤ですよほら3年前に傷害で逮捕されて内場さんに言葉を掛けてもらった…。
そう言われましても…。
ひっひっひっひっ…。
タイミングがよすぎ。
(佐藤)ふんそうか。
よう分かったわ。
内場覚えとけよ!でも記憶ないから覚えてないと思いますけど。
(清水)ちょっと待ておい。
ああ〜めっちゃタイミングええ人。
(内場)誰でしたかねぇ?お父さん大丈夫?
(内場)ああ…いやなんか知らん人が訪ねてきはった。
(安世)知らん人?
(清水)なんやったんや?今の。
安世ちゃん?あっ…。
なんか複雑な気分。
お父さんに披露宴出てもらいたかったけどまさかこんな形になるなんて…。
ほんまにこのまま披露宴やってもいいんかな?はぁ…。
かわいそうにな。
こんなめでたい日にあんな暗い顔して…。
俺はお客様に笑顔になってもらうためにこの仕事に就いたのにこんな状況でも何もすることができへん。
俺はなんて無力なんや。
あいつ何しとんねんほんま。
何格好つけてここでドラマの主人公なったみたいにバァ〜って走り去っとんねんあいつほんま。
「俺…無力…なんや…」。
何格好つけとんねんあいつ。
ほんまあほちゃうか。
「俺はなんて無力なんや」お前前から無力やあほんだら。
なんかちょっとでも力あるみたいな言い方しとんねん。
格好つけてほんまに。
「俺…無力…なんや…」。
おいお前今何しとったんや。
えっ?いや別に何も。
なんかしとったやろ。
あの…清水さんこそなんかあっちの方に走っていったから用事あったんちゃいますのん?よう考えたら向こう行く用事何もなかったんや俺。
そんなあほな。
お前俺のモノマネしてたやろ。
俺のモノマネしてたやろ。
「俺の…モノマネ…」。
それやめろ!腹立つのう!聞こえないんですけど。
前歯出てへん言うてんねん。
何回言わすんじゃほんま!もうあかん口で言うても分からんな。
お前もう鉄拳制裁じゃ!パチン!
(清水)痛っ!何どついてんねん!手が勝手に出ただけです!
(清水)待てお前逃げんな!乗るなそんなとこ!やめろその歩き方!バン!
(清水)おいおい!何してんねんお前鈍くさいのう。
立て小。
おい立てよほんまに。
はぁ…ちっ。
痛っ…。
あれ?ここどこや?
(清水)えっ?あれ?俺は誰やねん?ちょ…ちょっと待ておい。
お前俺のこと分かるか?あなたは誰ですか?まさか小まで記憶喪失!?えらいこっちゃ!みんな!みんな〜!なるかぁあほんだらほんまに。
なるかぁ!あいつあほちゃう?ほんま。
自分でバァ〜って走らしてバンってなって「記憶がああ〜…」ってなるかぁあいつほんま。
清水だけはほんまあほやで。
そやのに「えらい…こっちゃ…えらい…こっちゃ…」いうて。
あんなん言うても誰も何言うてるか分かれへんがな。
清水だけはほんま調子乗りやがって。
あいつが先に入ったか知らんけどチーフかなんかいうて偉そうにしやがって。
あいつ一回パ〜ンいかなあかんでほんま。
清水だけはほんまパ〜ンやったろか。
一回出てる前歯ニョキっと出してパ〜ンいったろかほんま。
グッと出してパ〜ンでもええでほんまに。
あなた…誰ですか…。
遅いわあほ!
(内場)いや〜披露宴盛り上がりました〜!皆さんのおかげです。
ありがとうございますぅ。
えっ?
(内場)ありがとうございますぅ。
どうもありがとうございますぅ。
まあグッといってください。
ありがとうございますぅ。
ございますぅ。
あの人記憶なくなってからしゃべり方変わりましたね。
注ぐときに「ございますぅ」ってなんですか?あれ。
「ございますぅ」いうより「ございまう」言うてますやん。
(清水)しかしこれでよかったん?よかったじゃないですか。
あんだけ出ぇへん言うてた人が出てくれてるんですよ。
しかも披露宴も和やかな雰囲気になってるじゃないですか。
新郎新婦のためですこれは。
いやでもなあれほんとのお父さんの姿やないねんで。
あのねほんとのお父さんの姿やったらすぐ帰りますよ。
このままの方がいいんですよ。
記憶喪失…確かに心配です。
それは披露宴終わってから大きい病院行ってもらいましょう。
もうすぐ終わるんですよ。
新婦のお手紙そのあと新郎のお父様のご挨拶これだけですからとりあえずこのままいきましょう。
(真希)ええ〜皆様ご歓談のところ失礼いたします。
ほらほらいいんですよ。
(真希)ここで新婦よりご両親様に感謝の気持ちを込めたお手紙がございます。
(佐藤)おい内場!あっタイミングええ人。
(清水)いらんこと言わんでええ…。
今はあかん。
(清水)ちょ…ちょっとあの…。
(佐藤)やかましい!どけぇ!おいおいおい…。
皆さん…。
(佐藤)おい内場さっきはようも恥かかしてくれたな。
こんな披露宴むちゃくちゃにしたるからな覚悟しとけよ。
なんで?なんで?違うんですよ。
(佐藤)お願いします!
(清水)何があったか説明を…。
いやあの…。
(すっちー)じゃますんで〜。
(清水)邪魔すんねやったら帰って。
(松浦・すっちー)はいよ〜。
(すっちー)なんでやこらぁ。
用があるから来とるんじゃい!
(清水)えっ?
(すっちー)おいお楽しみのとこ悪いけどなこの披露宴は中止にしてもらうで。
(あき恵)えっ?
(すっちー)おい佐藤。
どいつや?その内場っちゅうおっさんは。
(佐藤)あいつですわ。
(すっちー)あいつか。
おいあんたに恨みないけどなちょっと事務所まで来てもらおうか。
ええ〜怖い…。
ちょっと警察警察!
(清水)いやおたくですよ警察は。
(すっちー)何とぼけたことぬかしとるんじゃい。
さっさと来んかい。
(内場)いや…やめて怖いです!
(清水)やめてくださいよ!何なんですか?めでたい席で。
こんなことして恥ずかしい思わないんですか?
(すっちー)ほう〜えらい格好ええこと言うてくれるのう。
(清水)ん?どうやらわしの怖さを分かってへんようやのう。
ええか?にいちゃん。
わしがぶちギレてこのスーツの襟立てたらどないなるか分かっとるんかい?
(清水)どうなんねや?わしがスーツの襟立てたら高級中華料理屋の店長や。
(清水)それっぽいけどやな。
いやいや…すんませんあの…僕それ見せられてどないしたらいいんですか?調子乗って食うとったらお会計大変なことなるで!
(清水)なんの話をしてんねんおたく…。
はあ?
(松浦)おいびびらんかいこら!
(清水)びびるわけないでしょ今ので。
(松浦)はあ?
(清水)おたくはおたくでなんでギター持ってるんですか?
(松浦)これかい?これは携帯のストラップや。
(清水)うそつけぇおい!おっきすぎるでしょ。
ブランブランってなってますよ。
ギターのストラップみたいになってますよ。
(松浦)やかましいわこらぁ!冗談はこれまでや。
(清水)はあ?
(すっちー)ええか?にいちゃん。
わしはこう見えてな学生時代ボクシングやっとったんや。
お前なんか1発でぶちのめしたらぁ。
ええっ?
(すっちー)おい。
気分乗るように「ロッキーのテーマ」弾いてくれ。
(松浦)分かりやした。
(ギターの演奏「ロッキーのテーマ」)
(すっちー)ちょっと…。
(すっちー)なんで終わってしもうてんの?さあこれからいうときに「・チャチャ〜チャン」いうたらこうせなしゃあないやろ。
(松浦)いやこの曲…この先知りまへんねや。
(すっちー)知らんの?もうええ!
(松浦)すんまへん。
(すっちー)おいこんなもん出したくなかったけどしゃあない。
(清水)おいおい…ちょっと。
(すっちー)おいナイフによう合うBGM頼むわ。
(松浦)任してください。
(すっちー)覚悟せぇ!
(ギターの演奏「結婚行進曲」)
(松浦)ケーキ入刀!
(すっちー)違うがなこれ。
(松浦)カメラをお持ちの方は前へどうぞ。
カシャカシャカシャ!何させとんねんお前は!
(松浦)はい?
(すっちー)お前らも何撮っとるんじゃこらぁ。
なんでこんなことになるねん?
(松浦)式場でナイフ出したらこれしか思いつきまへんわ。
(すっちー)びびらせに行っとんねん。
(松浦)あっすんまへん。
(すっちー)これ持っとけ。
おいどかんかいこらぁ。
来てもらうぞ。
おい来い。
(内場)ちょっとちょっと…。
(すっちー)往生際悪いんじゃ!バキ!
(安世)きゃあ!お父さん!大丈夫!?
(内場)うっ…うわぁ〜!うぅ…ああ〜…。
(あき恵)どうしましょう…。
(すっちー)1発殴っただけでオーバーなやっちゃのう!でもこれお医者さんが言うてた記憶が戻る前兆ちゃいます?
(内場)うう〜…あぁ…。
えっ?
(内場)俺何しててん?
(すっちー)しょうもない小芝居ええんじゃこらぁ。
おい何してんねんこれ。
手を放さんかぁ。
おお〜佐藤やないか。
(佐藤)何を今更言うとんねん。
(すっちー)ええからさっさと…。
(内場)おい!ええから放さんかっちゅうてんねん。
(松浦)えっちょっと…。
(すっちー)ぼけぇこらぁ!
(松浦)うわっ!ちょっと…。
兄貴!兄貴に何すんねんこらぁ!ジャンジャンジャン
(ギターの音)おい待て!勝手に弾くなお前!俺のギター。
痛っ!あぁ…。
(ギターの演奏「SUPERMARIOBROS.」ゲームオーバーBGM)
(清水)マリオが死んだときの音いらん。
おいチンピラかなんか知らんけどなこれ以上盾つくんやったらただではおかんぞ。
(すっちー)くそ!急に強くなりやがって…。
行くぞ!
(松浦)覚えとけよこらぁ!
(すっちー)ああ〜…。
くそ!おい佐藤お前の仲間か?あれ。
おお〜そうじゃ。
文句あんのか!?ああ〜文句はあるよ。
お前な自分の人生粗末にするな。
なあ。
私との約束忘れたんか?いやあんたが言うな!ほんまや。
あんた俺のこと完全に忘れとったやないか!
(内場)あっいや…ああ〜あれはちょっといろいろ事情があってな。
なんの事情やねん?
(清水)実は内場さんは頭強く打って記憶喪失になっていたんです。
だからあなたのことを思い出せなかったんです。
記憶喪失?みたいやねん…すまんかったな。
わざわざ来てもろうたのにつらい思いさせたな。
それは謝る悪かった。
いやでもなもう記憶は全部戻ったしお前のこともすべて覚えてる。
佐藤お前もう罪は償ったのか?はい。
そうか。
じゃあ改めて言うああいう連中とはつきあうな。
お前は真面目に働いて真面目にまっとうな道を歩きなさい。
手助けだったら俺がするから。
はい。
内場さんそれから皆さんほんまにご迷惑をおかけしました。
俺つい頭に血が上ってこんなことしてしまって…。
ほんまにすみませんでした。
内場さんこんな俺ですけどまた会ってくれますか?当たり前やないか。
約束したやろお前が真面目に働いて初めてもらった給料で俺を飲みに連れていくって。
はい。
そのときは必ず。
じゃあ俺はこれで。
うん。
内場さん絶対飲みに行きましょうねファミレスのドリンクバー。
(清水)ケチやなおい。
(安世)お父さん大丈夫やった?ああ〜私は大丈夫やけど。
ああ…よかった。
これ披露宴の最中やな?
(清水・小)あっ…。
私は帰る!
(安世)お父さんちょっと待って!
(内場)なんや止める必要ない。
私は反対なんだよ!
(清水)もうちょっと残ってくださいあとは新婦の手紙と新郎のお父様の挨拶で終わりますから。
(内場)まったく興味はないです!
(清水)いやいや…そう言わずにちょっとお願いします。
もう…すぐ終わりますんで。
皆さんも席に座ってください。
このままいきましょう。
はい司会者の方!ここにおってください。
(内場)何するんだ?みんな並んで。
はいいきましょ。
(真希)それではお願いします。
(式場内BGM「CANYOUCELEBRATE?」)「お父さんお母さん今日まで私を育ててくれて本当にありがとうございました。
私は今までお母さんの笑顔に何度も元気づけられました。
お母さんは私にとって理想の母親です。
それからお父さん。
私にとってのお父さんはとても怖い人でした。
叱られたことも何度もあるしケンカだって何度もしました。
でもお父さんが私を叱るときは必ず理由がありました。
私のためを思って愛情の裏返しとして私を叱ってくれていました。
今日私はお父さんの反対を押し切って一の介さんの元に嫁ぎます。
最後まで意地っ張りな娘で本当にごめんなさい。
お父さんお母さんこれからも元気で長生きしてください。
安世」。
(真希)新婦より心のこもったお手紙でございました。
ええ〜さてご披露宴もそろそろお開きのお時間となってまいりました。
ここで本日の結びといたしまして新郎のお父様よりお礼のご挨拶がございます。
ええ〜新郎の父でございます。
本日は皆様お忙しいなかお運びくださいまして誠にありがとうございます…。
(清水)ちょ…ちょっと。
(内場)新婦の父でございます。
いや…。
(清水)内場さんあの…。
(内場)恐れ入りますが今私の気持ちを述べさせていただきたいと思います。
ちょっとあなた…。
いいから黙って聞け!安世お父さんはなこの結婚を祝福する気にはなれん!笑顔で送り出す気なんてさらさらない!だいたいお前みたいな世間知らずの半人前が人の妻になる?ましてや母親になる?お父さんは危なっかしくて見てられへん。
できることならこの結婚は取りやめにしてほしい。
がしかし今お前が彼のそばに立ってほほ笑む姿を見てお父さんは少し安心した。
お前はその人のことをほんとに愛してるんだなって…そしてその人に本当にお前は愛されてるんだなということがよく分かった。
ごちゃごちゃ言ってすまんかったな。
まあお父さんから何も言ってあげることはないけどひと言だけ言わせてくれ。
幸せになってください。
パチパチパチパチ…
(拍手)
(内場)ではマキバオー。
(裕)マキバオーではないです。
(裕)でも私の挨拶はいいですよあなたの言葉でみんながあったかい気持ちになりましたから。
(清水)いや〜よかったよかった。
今までたくさんの披露宴を見てきましたけど今日特によかったですよ!ええ。
(清水)安世ちゃんよかったないろいろあったけどお父さんにも認めてもらえて。
うん。
皆様本日は本当にありがとうございました。
(島田)ありがとうございました。
(安世)最初はどうなることかと思いましたがすてきな披露宴になりました。
お父さんお母さん本当にありがとうございました。
ありがとうございました。
あっあぁ…。
(島田)安世ちゃん大丈夫?
(安世)ごめんなさい。
(清水)おい…どないしたんや?いや…なんか今日いろいろあったから安心したら気が抜けちゃって。
(清水)ほんまかいな。
それにちょっとドレスがきつくって。
(清水)ああそやったんか。
ちょっと待ってな。
小ほんならちょっと控え室にお連れして。
ええ〜。
「ええ〜」ってなんやねんお前。
あの人の控え室いちばん奥でしんどいですわ。
(清水)そやけどお前の仕事やろ。
あぁ…。
(清水)うそつけあほお前は!何とぼけとんねん!ちょっと労働条件がきついみたい。
(清水)いやいや…ドレスがきついみたいに言わんでええお前はあほ!はよ行きなさいもう!
(安世)すみません…。
いえいえ…いいです。
(安世)お願いします。
(清水)ほんなら頼むよ小。
いちばん奥です。
(清水)いやでも改めておめでとうございます。
すばらしい披露宴でございました。
ねえ!・ドサッ!ゴン!
(島田)えっ?
(清水)なんの音や?おい小!小!なんや?今の。
いやあの…ついていってたらウエディングドレスの裾踏んでしまって新婦が倒れて頭打ちはったんですよ。
(清水)ええ〜!?
(内場)大丈夫かおい!なんちゅうことすんねん君は…。
安世安世!ああ〜ちょっと…。
(安世)あぁ…痛い痛い。
はぁはぁ…。
大丈夫か?あんた誰!?ええっ!?えっ?
(清水)また記憶喪失かい!
(一同)ええ〜〜!
(内場)俺挨拶したやん。
いやいや…。
2015/02/12(木) 09:55〜10:50
MBS毎日放送
よしもと新喜劇[再][字]
「記憶にございません」▽小籔千豊 内場勝則 島田一の介 すっちー 浅香あき恵 吉田裕ほか
詳細情報
お知らせ
この番組は2012年1月28日に放送されたものです。
番組内容
ホテルの従業員の小籔
とある結婚式で新婦の父親が猛反対!!
その上、ひょんなことから父親が記憶喪失に・・・。
果たしてこの結婚式の結末は!?
どうぞお楽しみに。
出演者
小籔千豊、内場勝則、Mr.オクレ、島田一の介、すっちー、清水けんじ、今別府直之、吉田裕、松浦真也、佐藤太一郎、太田芳伸、信濃岳夫、安井まさじ、浅香あき恵、前田真希、前田まみ、井上安世、森田まりこ、酒井藍
ほか
ジャンル :
劇場/公演 – 落語・演芸
バラエティ – お笑い・コメディ
福祉 – 文字(字幕)
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
OriginalNetworkID:32722(0x7FD2)
TransportStreamID:32722(0x7FD2)
ServiceID:2064(0x0810)
EventID:714(0x02CA)