(奈緒子)宗佑。
あれ?どこ行ったんだろう?お店開けっ放しで。
(奈緒子)宗佑?嫌!宗佑!ねえ。
どうしたの?
(宗佑)えっ?あっ。
宗佑。
(宗佑)ああ。
奈緒子…。
嫌!宗佑!しっかりしてよねえ!嫌!すごい熱。
ごめんね宗佑。
こんなになるまで気が付いてあげられなくて。
(増岡)宗佑坊ちゃまのご容体は?
(志乃)熱がかなり高いらしいて相当つらそうや。
(増岡)ああ。
(房子)何でまたこんなことに?
(辰夫)過労やそうや。
相当無理がたたったんやろう。
(増岡)宗佑坊ちゃまほれはもう頑張っておいででしたさかい。
(志乃)ほうやね。
(増岡)はい。
(辰夫)ほやけど健康管理も仕事のうちや。
倒れるまで無理するやなんて。
(志乃)でもまあとにかく今は休養が第一やとお医者さまも言うとった。
点滴もしたさかい一晩ゆっくり寝ればじきに元気になるやろうて。
(房子)そういうことでしたらようございました。
(増岡)はい。
(志乃)あっ。
奈緒子さん。
奈緒子さんも少し休んだらいい。
大女将。
お願いがございます。
(志乃)えっ?何や?もうすぐ夕食のお時間ですが今日はこのまま宗佑のそばにいさせてください。
お願いします。
(志乃)ほう言うやろうと思うとりました。
(志乃)旅館の方は心配せんでもいいさかい。
宗佑のそばにいてやってたい。
はい。
皆さんにもご迷惑をお掛けしますがどうぞよろしくお願いします。
(増岡)あぁいえいえ。
ほれでは。
(房子)じゃあ。
(辰夫)フフッ。
(辰夫)一人で寝かしておいても構わんものを結局宗佑には甘い嫁と姑や。
いやぁ。
宗佑が子供のころ熱を出してもケガをしても私はそばにおってやれんかったさかい。
まっ。
これくらいはしてやってもいいやろ。
そうか。
おっ。
戻るか。
ああ。
ほうやね。
(房子)夕食から女将は所用で旅館をお休みされます。
(一同)えっ?何でだろう?
(房子)私は大女将のお手伝いしますので塾生の指導は仲居の皆さんにお願いいたします。
(一同)はい。
(房子)はい。
(房子)それから梅の間の葛城さまの担当ですが佑美さんから真知子さんに担当替えになります。
(真知子)あっはい。
(房子)お客さまからのご要望ですから。
真知子さん。
くれぐれも粗相のないようにね。
はい。
(房子)はい。
(佑美)何で?
(房子)連絡は以上です。
皆さんしっかりお願いいたします。
(一同)はい。
(房子)はい。
では。
(香)ねえ真知子初めての指名じゃない?そう言われてみれば。
(綾)頑張ってくださいね。
うん。
(香)うわ。
やったね。
ねえ。
ホントだね。
(みどり)そんなに気を悪くしないでね。
佑美ちゃんだってあんなことがあったら私の担当では居づらいだろうと思ったのよ。
(佑美)それじゃ私のために?
(みどり)当たり前でしょ?それにね佑美ちゃんが私以外のお客さまをどうおもてなしするのか見ておきたいの。
みどりママ。
そういうことだから安心してちょうだい。
佑美ちゃんがどこで誰の担当をしてても私はちゃんと見てますから。
(宗佑)うっ。
あっ。
よかった。
気が付いて。
(宗佑)あれ?俺…。
倒れたのよお店で。
(宗佑)ああそうか。
そうだった。
(宗佑)今何時?えっ?5時よ夕方の。
(宗佑)ヤベえ。
行かなきゃ。
駄目よねえ。
今はゆっくり休んでて。
ねっ?
(宗佑)いや。
もうじゅうぶん休んだからさ。
行かなきゃ。
ちょっと。
ちょっと宗佑。
ほら。
今は無理なのよ。
お医者さまが今は休養が第一だっておっしゃってた。
だから今日はゆっくり寝てて。
(宗佑)いや。
寝てる場合じゃないんだ。
戻って店開けないといけないから。
宗佑!お願い。
お願いだから言うこと聞いて今日はゆっくり休んでて。
(宗佑)今が大事なときなんだよ。
えっ?
(宗佑)やっとお客さんもついてきたんだ。
それなのに今休んだらこれまで積み上げてきたものが全部ぱあになるんだよ。
奈緒子だってそのぐらい分かんだろ?今が正念場なんだよ。
うっ。
痛っ。
ほら。
くそ…。
宗佑。
こちらフクラギの酒蒸しでございます。
(弘美)真知子さん。
あっ。
失礼いたしました。
こちらイナダの酒蒸しでした。
(みどり)仲居さん。
(弘美)はい。
(みどり)今の間違いじゃないわよ。
(弘美)えっ?
(みどり)イナダはねフクラギとも呼ぶの。
(弘美)そうなんですか。
(みどり)さすが漁師の娘さん。
お魚には詳しいみたいね?はい。
魚の知識だけは誰にも負けない自信があります。
(みどり)ご出身はどちら?能登です。
能登?行ったことはないけどいいところみたいね?それはもう。
雄大な自然と素朴であったかい人たちとおいしい食べ物と。
「能登はやさしや土までも」っていう言葉があるんですけど本当にそのとおりだと思います。
いい目してるわ。
えっ?
(みどり)あっ。
これよかったら取っといて。
あっ。
ありがとうございます。
すいません。
(宗佑)早く行かないと…。
宗佑。
すぐお出ししますから…。
宗佑。
分かったから。
分かってるから。
《それなのに今休んだらこれまで積み上げてきたものが全部ぱあになるんだよ》《奈緒子だってそのぐらい分かんだろ?》《今が正念場なんだよ》ああ。
今日も何とか終わったね。
おっ。
あっ?何かごま油のいい香りがするな。
奈緒子さん。
何をしとるんや?すいません。
今すぐ夜食のご用意を。
いや。
ほんなことより宗佑の様子はどうなんや?先ほど薬を飲んだので今は静かに寝ています。
ほうか。
はい。
宗佑の小籠包のレシピや。
えっ?どういうことや?実は…。
奈緒子さん。
あんたまさか小籠包作っとるんかい?どうでしょう?
(一同)うーん…。
(房子)何かちょっと。
(幸)ちっちゃい肉まんみたいだね。
(増岡)確かに肉まんと思えばおいしゅうございます。
一応宗佑のレシピどおり作ってみたんですけど。
(辰夫)料理で大切なんは料理人が体で覚えた微妙なさじ加減や。
いくら書かれたとおり作ってもまったく同じ味にするがは無理や。
ですが何とかしてあしたはお店開けたいんです。
(辰夫)ほう言うてもこれじゃな。
もう一度作ってみます。
(辰夫)えっ?えっ?
(辰夫)奈緒子さん。
何度やっても同じやと思うぞ。
いいえ。
さっきよりはうまくできるかもしれませんし。
えっ?奈緒子さん。
無理や。
ねっ?もう諦めるまっし。
いいえ。
諦めません。
あのお店に宗佑は人生を懸けてるんです。
真剣なんです。
必死なんです。
何とかしてあしたはお店を開けてあげたいんです。
小籠包。
あれ?あれ?
(綾)お休みみたいね。
(香)奈緒子さんもお休みだったし2人でどっか行ってるのかな?
(佑美)残念。
まだこんなに熱が。
ありがとうございました…。
えっ?いらっしゃいませ。
お客さま。
ご注文何に…。
・
(ふすまの開く音)どうや?宗佑の様子は。
まだ熱は下がっとらん。
何や熱に浮かされてうわ言言うとった。
よっぽど店のことが気掛かりなんやろね。
ほうか。
ようやく手応えをつかみ始めたところやったさかいね。
うん。
この前も初めて弁当を完売したときは喜んどったしな。
うん。
奈緒子さんもほれを見とるさかい何とかしてやりたいって必死なんやろう。
えっ?奈緒子さんまだやっとるんか?ほうらしい。
えっ?いつまでやる気や?さあ?ほやけどああなってしもうたらもう納得するまでやらせるしかないわいね。
奈緒子さんまで倒れんといいがな。
うん。
それでは佑美が女将塾に残ってくれたことを祝って。
(一同)乾杯!
(一同)ああー。
もうさ佑美がこんな顔してさ奈緒子さんに葛城さまの部屋でお話があるって言ったときはもうどうなることかと思ったけど。
(綾)大女将はさすがです。
そんなに鮮やかに事を収めるなんて。
私も葛城さまにびしっと言ってやったんだけどね。
(香)真知子前にもそんなことして怒られてなかった?怒られた。
(佑美)真知子にはいつもいつもかばってもらって私本当に感謝してる。
何言ってんの?仲間なんだから当然だよ。
あっ。
そういえばね私今日みどりママから心付けもらったの。
ついに?
(綾)えっ?初めて?そう。
これでようやくあの仲居部屋の心付け貯金に貢献できたってわけ。
何だかかぐらやの仲居として階段を一歩上ったって感じかな。
じゃあこれで心置きなく仲居部屋のおやつが食べられるわね。
そうだよ。
もう遠慮なしだからね。
(綾)今まで遠慮してたんですね?まあ。
一応?どうだか?でも葛城さま。
真知子は真知子で気に入ってくださったみたいね。
そうなのかな?
(綾)うん。
あっ。
そういえば目を褒められた。
(香)ほら。
(佑美)みどりママは本当によく人のいいところを見つけてくれるのよ。
そうなんだ。
何かさそういうところって奈緒子さんみたいだね。
(香)そうかも。
(一同)うん。
まだかなりあるわね。
(アラーム)いけない。
(アラーム)ぎりぎりセーフ。
どうしたかな?うーん。
やっぱり違うんだよね。
何が違うのかな?宗佑?それ何やってんだ?駄目よ宗佑。
まだ起きてきちゃ。
答えろよ。
「何やってんだ?」って聞いてんだよ。
あした何とかお店開けるために小籠包作ってたの。
宗佑の味にどうにか近づけられないかと思って…。
勝手なまねすんなよ!・
(物音)
(辰夫)何や?
(宗佑)俺の味がそんな簡単に出せるわけねえだろ。
宗佑。
この味はな俺が一生懸命修業して手に入れた味なんだよ。
そんな一晩や二晩でどうこうできるようなお手軽なもんじゃねえんだよ!ごめん宗佑。
でも私何とか宗佑の役に立ちたくて…。
何でもかんでもできるって思わないでくれよ。
俺にだって俺にしかできないことがあんだよ。
俺にしかできねえことがあんだよ!ちょっと。
ねえ。
やめてよ!
(辰夫)宗佑!やめんか!ほうや。
しかもほんな体で。
早う早う布団に戻るまっし。
行こう。
(宗佑)俺ちょっと今から店戻るわ。
あしたの仕込みもあるし。
ちょっと。
お願い。
今は無理しないで。
(宗佑)今無理しないでいつ無理すんだよ?俺行くからな。
誰が何と言おうと行くからな。
放せよ。
ちょっと。
(辰夫)宗佑!いいかげんにせんか!父さん?宗佑。
少し落ち着け。
今のお前に何ができる?ほんな体でできるほど小籠包作りは簡単やないはずや。
(辰夫)お前何を焦っとる?
(辰夫)あの小籠包の味はお前の味なんやろ?ほれやったら早くお前は元気になるより仕方ない。
さっさと布団に戻って横になれ。
でも俺はこんな小籠包店に出すわけにはいかないんだよ!ほんならきっぱり休むと決めるべきや。
えっ?宗佑。
あんた奈緒子さんがどんな気持ちで小籠包を作ったと思うとるんや?あんたがどうしても店を休みとうないと言い張るさかい奈緒子さんは無理を承知で必死になってやっとったんやないかいね。
あんたが店を休みとうないという気持ちも分かる。
ほやけどあの店は今日明日でなくなるもんやないやろ?これから先もずっと続けていくつもりなんやろ?もちろんだよ。
そのために毎日一生懸命頑張ってんだ。
ほんならなおさら今は休むべきや。
(辰夫)宗佑。
お前の小籠包の味は本物や。
本物の味いうがは人の心つかむもんや。
そう簡単に離れるもんやない。
宗佑。
宗佑。
ごめんね。
私少し思い上がってた。
俺の方こそごめん。
奈緒子の気持ちも考えずにあんなひどいこと言って。
ううん。
俺早くよくなるよ。
一日も早く店戻れるように体調さっさと戻してやる。
そうよ。
でももう無理はしないでよ。
うん。
おお。
奈緒子。
宗佑。
おはよう。
よかった。
熱もだいぶ下がってる。
顔色もよくなってきたみたい。
そうか?うん。
何か体もずいぶん楽になったような気がするよ。
よーし。
これだったら…。
駄目よ。
えっ?完全に治るまでは。
はい。
はい。
おやすみなさい。
おやすみ。
寒くない?うん。
大丈夫。
あったかい。
うん?うん?あれ?あれ?
(香)うん?どうしたの?確かこの辺に入れといたんだけどな。
あっ。
あった。
(佑美)卵?
(綾)まあこんなものいつの間に?こないだこっそり漬けといたの。
おばあちゃん直伝のゆで卵のぬか漬け。
これをみんなで食べて今日から4人でまた頑張ろう。
(一同)うん。
おはよう。
ご苦労さん。
(幸・翔太)おはよう。
(辰夫)おはよう。
まさか宗佑は店に行っとらんやろう。
あれだけ言うたんやからさすがに。
どうやら行っとらんようやね。
うん?うん。
これでよしと。
ホントにあの嫁いつもいつも人に余計な仕事をさせて。
ああー。
どうやって書いたらこんなににじむんや?2015/02/12(木) 13:30〜14:00
関西テレビ1
花嫁のれん #29[字][デ]【出演:羽田美智子 矢田亜希子 野際陽子】
志乃(野際陽子)は、奈緒子(羽田美智子)が急に金沢に帰ってきた理由を聞いて大憤慨!一方、宗佑(津田寛治)と塾生の佑美(川村ゆきえ)に不倫の疑いが…!?
詳細情報
番組内容
宗佑(津田寛治)が、高熱で倒れてしまう。体調を崩しながらも、軌道に乗ってきた小籠包の店を無理して続けてきたことがたたったのだと、志乃(野際陽子)や辰夫(山本圭)も心配する。
熱にうなされながら、それでも宗佑は店を開けようとする。そんな夫を何とか引き止める奈緒子(羽田美智子)は、宗佑の代わりに店を開くと決意。宗佑のレシピをもとに小籠包を作ってみる。
番組内容2
しかし、見よう見まねですぐに宗佑の味が再現できるわけもなく、そんな生半可な物ではないと宗佑を傷付けてしまうことに…
一方、旅館では銀座のクラブのママであるみどり(沢田亜矢子)から、部屋付きを佑美(川村ゆきえ)から真知子(矢田亜希子)に変えてほしい、との要望が入る。真知子はみどりの思惑に少しも気づかず初の指名にはりきるが…。
出演者
神楽奈緒子:羽田美智子
神楽志乃:野際陽子
片瀬真知子:矢田亜希子
宮崎 綾:原田佳奈
白山 香:広澤 草
石野佑美:川村ゆきえ
神楽翔太:草川拓弥
神楽 幸:木村真那月
・
神楽宗佑:津田寛治
小島房子:沢田雅美
神楽辰夫:山本 圭 ほか
スタッフ
原作・脚本:小松江里子
演出:村田忍
プロデュース:市野直親(東海テレビ)
伊藤一尋(テレパック)
沼田通嗣(テレパック)
東田陽介(テレパック)
音楽:富貴晴美
主題歌:東方神起「サクラミチ」(avex trax)
エンディングテーマ:東京カランコロン「夢かウツツか」(avex trax)
制作著作:テレパック
制作:東海テレビ
ご案内
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ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
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