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実際いくらかかるの?アプリ開発を依頼した場合の開発費用について

2015.02.18
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スマートフォンも着実にユーザーが増え、さまざまなアプリをインストール利用することが日常的になりました。アプリ関連サービスのappFiguresが公表したレポートによると、2014年のスマホアプリの累計登録数は、Google Playが143万本であるのに対してApp Storeは123万本となり、はじめてAppStoreを上回りました。

これだけ市民権を得たスマホアプリ、自社アプリ開発の依頼を検討している企業も多いかもしれません。では、実際にアプリを開発するにはどの程度の費用がかかるものなのでしょう?アプリ開発の相場を調べてみました。

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アプリ開発見積もりシミュレーション

ここでは、以前開催されたスマホアプリ開発の見積りに関する勉強会での資料を抜粋し見積金額の費用相場を考えました。

この勉強会では、株式会社ペッパー警部という関東地方を中心に50店舗を運営するカレーチェーンストアを想定し、「顧客満足度向上を軸とした公式アプリを開発したい」という依頼で、具体的には店舗のヘビーユーザーを獲得し、将来的にカレーコミュニティーのソーシャルグラフを獲得するのが狙いです。

機能や要件は以下の通りです。

●機能
・店舗検索(GPSを利用して地図画面の対象店舗の場所にピンを立てる)
・メニュー機能(30項目)
・ログイン機能(OpenIDまたはFacebook、Twitter、Google+)
・チェックイン機能(NFC/iBeacon)
・チェックイン後クーポン表示(サーバ側で自動生成。利用後無効化)
・キャンペーン情報の表示
・最新情報表示(WebView)
・英語へ翻訳した文言も必要(海外の観光客向け)

●要件
・iOS、Androidのアプリを開発したい(iOS6.0~7.1、Android4.0.3~4.4.2)
・タブレットは対象外
・デザインはデザイン会社から提供される
・サーバーサイドはクライアントの情報システム部が開発中
・公開後のサポート・保守は別途見積
・アプリ公開作業はクライアントが行う

●スケジュール
・開始 1か月:デザインデータ作成
・開始 2か月:クライアントのサーバとの結合試験
・開始 3か月:受入テストののち公開

以上の内容から画面仕様書や要求仕様書で確認し、7つのチームが議論を重ねてアプリ開発の見積りを作成されました。

チーム名 単価 工数
(人日)
見積金額
(税別)
見積書 備考
チームA ¥40,000 335.0 ¥13,394,000 PDF 5名チーム(PM1名、Android2名、iOS2名)。QRコード別見積。
チームB ¥40,000 86.0 ¥3,440,000 PDF 設計15人日。
チームC ¥40,000 77.8 ¥3,112,000 PDF 仕様の把握、すり合わせに時間がかかった。
チームD ¥40,000 77.0 ¥3,080,000 PDF イメージで見積もった。
チームE ¥40,000 67.5 ¥2,910,000 PDF ハイブリッドアプリ。ログイン絡みはWebViewで対応。
チームF ¥40,000 121.0 ¥4,840,000 PDF iOS6以前はGPSでチェックイン対応。
チームG ¥40,000 21.0 ¥1,620,000 PDF 実装工数の見積。テスト工数は外注。3人チーム。

見積費用の平均は350万円ですが、1,339万円から162万円までとかなりばらつきがあります。この理由として、要件が抽象的でどの機能にどれくらいの工数を見積もればよいのか分からなかったという意見が多かったそうです。

例えば、ひとくちに店舗検索といっても、検索結果は「地図表示」か「リスト表示」か、リスト表示の場合は「都道府県ごと」か「GPSを使って近い場所順に表示させる」のか、店舗情報はアプリの中に埋め込むのか、常に最新の店舗情報をデータベースから取得させるのか、店舗を選択した時や取り消しした場合、どのような挙動をするのか……など、具体的に考えると多くの選択肢があります。

企画書の段階で厳密な要件の選定がなされていない場合、細かい要件設定で考える時間を取られることから費用もかさんでしまうケースが多いようです。また、アプリ開発の途中で機能の変更が発生した場合、追加の見積もりが発生する可能性もあります。そのことを見込んで見積りを算出すると他社よりも高くなってしまうケースが出るそうです。

データベース連携などはさらなる費用・期間が必要になる

また、ポイント数連携やユーザーログイン、会員証表示などデータベースを連携した会員専用アプリを開発する場合、データベースの設計・開発に別途費用がかかることになります。

上記の例ではデータベースの開発はクライアント側が行う想定であるため、費用がアプリ開発のみとなっていますが、データベースを連携する場合、要件によっては1,000万円以上の費用が必要だと言われており、開発期間も長くなってしまいます。

PadGadgetの記事によると、海外のニュースリーダー「FLUD」をアプリ開発した場合どれくらいの費用がかかるのかを算出しています。このアプリは2名のプログラマが開発したもので、噂によると外注で開発したという話から計算すると、およそ20万ドル(約2,370万円)かかったと記事では紹介しています。

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ただ、16名のプログラマと1,300万ドルを投資した「Flipboard」と比較するとだいぶ安く開発されていますが、それでもデータベースに連携する分、予算や期間がかかるのは仕方ありません。

なお最近では、会員登録やログイン画面の部分は「WebView」というブラウザ表示機能でPCのログイン画面を表示させて、データベース連携するパターンも増えているようです。そのほうがデーターベース設計や開発の必要もなくデータも1つに統一できるので今後のマーケティング活動も行いやすくなるようです。

最近では好きなパーツを選択してオリジナルアプリを作成するパターンも登場

最近ニュースでも話題になっていますが、Googleから好きなパーツを選択して自分のオリジナルスマホが作成できる「Project Ara」というものが出ています。

「カメラ機能は高性能が良い」「メモリは高性能じゃなくてもよい」「スピーカーは要らないがバイブレーションは必要」というように欲しい機能を選択してスマホを作成します。これと同様にアプリ開発も好きな機能を選択してアプリを組み立てる流れが出てきています。

今までは要件定義から、基本設計、詳細設計、製造、単体テストと大枠の依頼内容から詳細まで話し合って開発していきましたが、オーダーメイドで開発するとなると時間や費用がかかってしまうのが現状です。

現在ではたくさんのアプリが登場していて、使用感からユーザーの意見や評価も集まってきており、各機能についても「この方法がベター」というものが見えつつあります。

そこで各アプリのモジュール(機能を含んだパーツを「モジュール」と呼ばれている)を選択して1つのアプリとして開発したほうが企業にとっては時間や費用の短縮となり、また、ユーザーにとっては使いやすさがメリットとなります。

ModuleApps は欲しい機能を選択して組み立てることで、企業のオリジナルアプリを提供しています。データベース連携機能も標準搭載してるため別途費用はかかりません。ただし、デザイン部分は企業イメージもあることからオーダーメイドでデザインを作成しています。

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「アプリ開発の依頼にあまりお金をかけられない」「デザインにこだわりはない」という場合、複数のデザインテンプレートを選択して低価格でアプリ開発する「みせプリ」「カラフルボックス」などのサービスも登場しています。

これからアプリ開発の依頼を考えている場合、以上の情報を踏まえてどのようなアプリにするのか検討してみてはいかがでしょうか。