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 民法が定める「夫婦の別姓は認めない」とする規定と、「女性は離婚後6カ月間は再婚できない」という規定が憲法に違反するかが争われたそれぞれの訴訟について、最高裁は18日、15人の裁判官全員による大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)で審理することを決めた。両規定について、合憲か違憲かを初めて判断するとみられる。

 家族のあり方を定めた民法の規定をめぐっては、最高裁は2013年、遺産相続の際に結婚していない男女の間に生まれた子(婚外子)の取り分を、結婚した男女の子の半分としていた規定を「違憲」と判断し、法改正を促した。これに続き、社会的に関心の高い二つのテーマで判断を示す見通しとなり、その結論は今後の夫婦や家族関係に大きな影響を与えそうだ。

 夫婦別姓をめぐる訴訟は、東京都内の事実婚の夫婦ら5人が「結婚すればどちらかの姓を名乗ることを強制され、精神的苦痛を受けた。規定は男女平等の権利を保障した憲法に反する」などとして国に計600万円の慰謝料を求めた。13年5月の一審・東京地裁は「別姓の権利を憲法が保障しているとは言えない」として請求を棄却。14年3月の二審・東京高裁も「違憲とは言えない」と判断した。

 女性の再婚禁止期間の規定をめぐる訴訟は、岡山県の女性が「離婚後、民法の規定によって再婚の時期が遅れ、精神的苦痛を受けた」として国に慰謝料165万円を求めたもの。この規定は、子の父親が誰かという推定が重なって混乱しないために設けられている。

 12年10月の一審・岡山地裁は「規定は父子関係をめぐる争いを防ぐ目的があり、合理性がある」として請求を棄却。13年4月の二審・広島高裁岡山支部も同様の理由で訴えを退けた。

 それぞれの訴訟で原告側が上告していた。最高裁は、判例の見直しや憲法判断をする際には大法廷で審理する。

 二つの規定をめぐっては、1996年に法制審議会(法相の諮問機関)が「希望した夫婦が別姓を選択できる『選択的夫婦別姓制度』を導入」「女性の再婚禁止期間は6カ月から100日に短縮」とする改正案を答申した。だが、特に夫婦別姓について保守系議員の反対が強く、法改正には至っていない。

 夫婦別姓については、内閣府が12年、結婚するときに同姓か別姓かを選択できる法改正の是非について成人5千人を対象に世論調査を行っている。「法改正の必要がない」と答えた人は36・4%。「改めてもかまわない」と答えた人は35・5%で、拮抗(きっこう)していた。(西山貴章)