最高裁大法廷:民法の夫婦同姓、再婚禁止期間…憲法判断へ

毎日新聞 2015年02月18日 20時55分(最終更新 02月18日 23時03分)

最高裁判所の外観=東京都千代田区で、内藤絵美撮影
最高裁判所の外観=東京都千代田区で、内藤絵美撮影

 夫婦別姓を認めない民法の規定は憲法違反として、事実婚の夫婦ら5人が国に賠償を求めた訴訟の上告審で、最高裁第3小法廷(大谷剛彦裁判長)は18日、審理を大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)に回付した。また、女性だけに離婚後6カ月間の再婚禁止期間を設けた民法の規定を違憲だと訴えた女性の訴訟の上告審も、第3小法廷(大橋正春裁判長)が審理を大法廷に回付した。いずれの規定についても大法廷が初めての憲法判断を示すことになる。

 2件はそれぞれ、原告が法改正をしなかった立法不作為で精神的苦痛を受けたとして国に損害賠償を求めた。いずれの2審も、立法不作為が明白とはいえないなどとして請求を退け、原告が憲法判断を求め上告していた。最高裁は新たな憲法判断や判例変更が必要な場合に審理を大法廷に回付する。このため、2審の判断が見直され、民法の両規定が違憲だと判断される可能性がある。

 夫婦別姓を求めた訴訟の1審・東京地裁判決(2013年5月)は「結婚に際し、双方が婚姻前の姓を名乗ることを憲法が明白に保障しているとまでいえない」と立法不作為を否定。2審・東京高裁判決(14年3月)も「世論調査で選択的夫婦別姓の賛成者が大勢を占めておらず、少なくとも現時点では氏名変更を強制されない権利が憲法で保障されているとはいえない」と指摘し、「夫婦同姓は旧来から社会的に受け入れられ、国民の支持を失っていない」と退けた。

 一方、再婚禁止期間の見直しを求めた訴訟は、1審・岡山地裁判決(12年10月)が「規定は父子関係を巡る紛争を未然に防ぐもので憲法違反と明白にはいえない」として請求を棄却。2審・広島高裁岡山支部判決(13年4月)も「期間を具体的にどの程度にするかは、立法目的などと調整を図りつつ、社会的変化を踏まえて立法で議論して決定されるべきだ」と判断した。

 家族を巡る民法の規定について、法制審議会(法相の諮問機関)は1996年、夫婦が希望すればもとの姓を名乗れる「選択的夫婦別姓」の導入▽再婚禁止期間の6カ月から100日への短縮▽婚外子の遺産相続分を法律上の夫婦の子の半分とする相続格差の撤廃−−などを盛り込んだ民法改正案を答申した。しかしその後も政府内の賛否が割れ、法改正に至らなかった。このうち相続格差の規定は最高裁大法廷が13年9月に違憲と判断。同年に法改正が実現した。【川名壮志】

 ◇選択的夫婦別姓

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