Updated: Tokyo  2015/02/18 19:51  |  New York  2015/02/18 05:51  |  London  2015/02/18 10:51
 

日銀総裁:実体反映なら円安マイナスならず、追加緩和も必要ない (2)

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  (ブルームバーグ):日本銀行の黒田東彦総裁は金融政策決定会合後の記者会見で、為替相場の円安について、ファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)を反映して安定して推移している限り、「経済にマイナスになることはない」との見解を示した。金融政策運営については「今、何か追加的なことをやる必要はない」と述べた。

黒田総裁は会合後の会見で、「円安の経済に対する影響は、経済の各部門でプラスのところとマイナスのところがある。経済全体を見渡した場合、ファンダメンタルズを反映して安定的に推移している限り、経済にとってマイナスになるということはない」と述べた。

為替相場は「一国の金融政策で決まるわけでは全くなく、さまざまな状況に影響されるので、何か一方的に金融緩和、即、為替安というふうに決めつけることはできない。現に為替はさまざまな要因で動いている」と語った。

また、現在は「リーマンショック後の異常な円高の修正過程とみることもできる」としながらも、「あくまで経済のファンダメンタルズに即して安定的に推移することが望ましい」と述べた。

日銀は18日開いた金融政策決定会合で金融政策の現状維持を8対1の賛成多数で決定した。

付利下げ議論せず

ブルームバーグ・ニュースが追加緩和は逆効果との見方が日銀内で浮上していると12日に報じた後、為替相場は1ドル=120円を割り込んで118円台前半まで円高が進んだ。円安について麻生太郎財務相は一概に悪いとは言えない、甘利明経済再生相は現状はプラスの方が大きいと17日語った。この日の相場は1ドル=119円台前半で推移している。

金融政策運営については「今、物価の基調に変化がない中で、何か追加的なことをやる必要はない」と指摘。その上で、「仮に物価の基調に変化が生じて、物価安定目標の早期達成が難しくなるという事態が生じた場合は、当然ちゅうちょなく調整する」と語った。

また、金融機関が保有する日銀当座預金の超過準備に適用される付利についての考え方は「全く変わっていない。現在の付利をさらに引き下げるという議論は全くなかった」と語った。

長期金利 (新発10年物国債利回り)は1月20日に一時0.195%と過去最低に低下した後、上昇傾向にある。黒田総裁は「昨年末ごろからかなり急ピッチで低下を続けていたが、1月下旬から米長期金利の反転上昇などを背景に幾分上昇している。ただ、わが国の長期金利は引き続き量的・質的金融緩和の下で非常に低い水準で推移している」と述べた。

その上で、現在の長期金利の動向については「基本的には市場における調整と考えられる」と指摘、「今のところ何か大きな問題が起こっている、流動性が極めて低下したとか、そういうことは起こっていない」と語った。

記事に関する記者への問い合わせ先:東京 日高正裕 mhidaka@bloomberg.net;東京 藤岡 徹 tfujioka1@bloomberg.net

記事についてのエディターへの問い合わせ先: Brett Miller bmiller30@bloomberg.net;大久保義人 yokubo1@bloomberg.net 上野英治郎, 淡路毅

更新日時: 2015/02/18 17:34 JST

 
 
 
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