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サイボウズがクラウドサービスでグローバル市場へ本格的に乗り出した。競合大手がひしめく中で、果たして生き抜いていけるか。
サイボウズがグローバル展開を本格的に始めたのは、「Kintone」と呼ぶクラウドサービスだ。グループウェアを主力製品としてきた同社が、これまで培ってきたそのノウハウを基に、同社のクラウド基盤「cybozu.com」上で手軽に業務アプリケーションを構築できるようにしたPaaS型サービスである。
同社ではかねてからKintoneのグローバル展開を計画していたが、2014年に米国と中国の両市場で本格的な営業活動を開始した。米国ではサンフランシスコに拠点を設置。それに先立って中国では上海など2カ所に拠点を設け、中国市場ではすでに日系企業を中心として有料契約社数が500社に達しているという。
Kintoneの本格的なグローバル展開について、サイボウズの青野慶久社長は、同社が2月16日に開いた 2014年12月期決算に関する説明会で、「いよいよ世界の強豪クラウドベンダーと同じ土俵に乗る。日本のベンダーとしてぜひ成功を収めたい」と意気込みを語った。
日本国内での同社のクラウド事業は、cybozu.comの有料契約社数が9000社を超え、Kintoneも2000社を超えるなど、順調に拡大している。そこで同社では、クラウド市場における確固たる顧客基盤とブランド力を向上させるため、収益確保よりもクラウドへの投資を優先している。
実は、この経営スタイルは国内もさることながら、グローバル市場での戦いを見据えたものだ。青野氏はかつてこんなふうに語っている。
「クラウド事業で成功しているAmazon.comやSalesforce.comも今の段階では収益を度外視して投資を続け、事業拡大に注力している。当社はこれからそうしたところと戦っていかなければならない。最初から体力勝負はできないが、投資をためらっていてはいけないと肝に銘じている。短期的な収益を追うのではなく、本気で世界を獲りに行く覚悟だ」
だが、Amazon.comは他の事業で大きな収入源を持ち、Salesforce.comはサイボウズと桁違いの顧客数を保有している。果たしてこれらの競合大手と同じ経営スタイルを貫いて、グローバル市場で生き抜いていくことができるのか。決算会見であらためて青野氏にこう質問したところ、次のような答えが返ってきた。
「今の経営スタイルをどこまで継続できるかは正直に言ってわからない。1年ごとに足元の数字を見ながら、その都度判断していきたい。ただ、当社は単にPaaSを提供するのではなく、“チークワークを向上するグループウェア”を世界中の人たちに使ってもらいたいというのが最大の眼目だ。Kintoneはそのためのプラットフォームであり、そこに他のPaaSとは決定的に違う価値がある。その規模がビジネスモデルとしてどのようなバランスになるのかを見極めていきたい」
そして、同氏はこう続けた。
「サイボウズのユーザー数はクラウドとパッケージを合わせると500万人規模になるが、例えばFacebookのユーザー数は十数億人。そこまで行けなくてもグローバルでのグループウェアのユーザー数のポテンシャルは億単位であるのではないか。それを追求していけば、ビジネスモデルも自ずと形成されていくと確信している」
この“志”を込めたKintoneが“国産PaaS”として、果たしてグローバル市場で確固たる存在感を示すことができるかどうか、注目しておきたい。
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