Updated: Tokyo  2015/02/18 19:21  |  New York  2015/02/18 05:21  |  London  2015/02/18 10:21
 

原油安、物ともせず-湾岸諸国、新興国有望投資先番付で上位

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  (ブルームバーグ):昨年12月半ばまでは、1998年と全く同じような状況に見えた。

16年前、ロシアが投資家の予想に反してデフォルト(債務不履行)に陥った時と同様に新興国で株式や債券、通貨が軒並み下落。昨年12月15日には新興20カ国・地域の通貨で構成するブルームバーグの指数が約10年ぶりの低水準まで下げた。原油安と経済制裁の影響によりロシアの通貨は初めて1ドル=64ルーブル台に下落した。

巨額汚職疑惑に揺れるブラジル石油公社 (ペトロブラス)の社債価格は急落。ブルームバーグが集計したデータによれば、投資家は12月だけで新興国関連の上場投資信託(ETF)から40億ドル(約4700億円)余りを引き揚げ、昨年流入した資金のうち48%が消え去った。

市場の動揺が今年に入っても続く中、目利きの新興市場投資家たちは好機を見いだしている。ブルームバーグ・マーケッツ誌が3月号で報じている。これらの投資家は中国や韓国に加え、原油価格が昨年、年間ベースで50%余り下落したにもかかわらず、ペルシャ湾岸諸国に対しても強気姿勢を示している。

ブルームバーグが実施した4回目となる有望投資先の年間ランキングによれば、今年の新興国の投資先としては韓国が首位、カタールが2位、中国が3位、アラブ首長国連邦(UAE)が4位となっている。フロンティア市場ではサウジアラビアが首位に選ばれた。

中国は危機の影響受けず

テンプルトン・エマージング・マーケッツ・グループの執行会長として400億ドル相当の運用に携わるマーク・モビアス氏は「現段階では韓国と中国はいずれも魅力的に見える」と指摘。中国と韓国が原油輸入国であることに触れ「両国とも原油下落と比較的高い経済成長の恩恵を受けるだろう」と語る。

UBSウェルス・マネジメントのアジア太平洋地域の投資責任者、ハートムット・イッセル氏は、韓国総合株価指数を構成する企業の時価総額の半分超は輸出業者だとし、サムスン電子だけで市場全体の17%を占めていると説明。「このように韓国株の運命はおおむね、米国などの大口顧客企業の業績に左右される」と話す。

ただ、韓国については日本と比較した競争力の弱さを考慮するとそれほど楽観的ではいられないようだ。

ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントの元会長、ジム・オニール氏は「韓国市場の主な問題の一つは通貨ウォンの円に対する相対的価値だ」と指摘する。円はウォンに対し2月2日までの1年間に11%下落。通貨安で輸出品は割安になる。

一方、中国では上海総合指数 が昨年、配当再投資を含め年間ベースで58%上昇し、同国は新興市場が直面している危機の影響を受けていない。2013年は3.9%の下落だった。

オニール氏は「市場関係者が中国についてなぜこれほどネガティブな見方をするのか理解できない。中国は11-20年に年間7.5%の成長を達成すると予想している。11-14年の平均は7.9%だったと推計している」と述べた。 

ブルームバーグ・マーケッツ誌の新興国・フロンティア市場有望投資先ランキングは、向こう2年間の国内総生産(GDP)予測やビジネスのしやすさなど投資環境についての19の評価基準に基づいている。

原題:Gulf Nations Defy Oil Rout to Top List of Best Emerging Markets(抜粋)

記事に関する記者への問い合わせ先:ドバイ Sarmad Khan skhan170@bloomberg.net

記事についてのエディターへの問い合わせ先: Michael Serrill mserrill@bloomberg.net

更新日時: 2015/02/18 07:31 JST

 
 
 
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