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上久保誠人のクリティカル・アナリティクス

道徳の必修化はいじめ増加を招く

上久保誠人 [立命館大学政策科学部准教授]
【第100回】 2015年2月18日
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 日本でグローバル人材の育成が急務であるのは言うまでもない、しかし、その障害となるのが、日本人が「誇り・アイデンティティ」を持ち過ぎることなのである。筆者からすれば、日本人は「誇り」に欠けているとは思えない。むしろ、日本人は日本を「特別な国」だと思い過ぎて、変なプライドを持ってしまいがちなのである。そして、新興国の人に負けるなど、少しでもプライドが打ち砕かれる局面になると、異様に卑屈になって、行動を委縮させてしまう。

 また、日本人は「日本VS海外」という構図を描きがちだ。海外との間にある種の「壁」を作ってしまいがちである。それは、日本人がグローバル社会でコミュニケーション能力を欠き、確固たるネットワークを築けず、孤立に陥ってしまうことになる。

 この現状を打破して、日本人がグローバルに活躍するようになるには、日本は「特別な国」だという変なプライドを捨て、個人で国際社会を渡るという「覚悟」を持つ必要がある。道徳教育を改革するならば日本は「国際社会の中で、数多い国の中の1つに過ぎない」と考え、諸外国との関係の中で生きていくとした考えを、子どもたちに教えていくべきではないだろうか。

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上久保誠人 [立命館大学政策科学部准教授]

1968年愛媛県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、伊藤忠商事勤務を経て、英国ウォーリック大学大学院政治・国際学研究科博士課程修了。Ph.D(政治学・国際学、ウォーリック大学)。博士論文タイトルはBureaucratic Behaviour and Policy Change: Reforming the Role of Japan’s Ministry of Finance。

 


上久保誠人のクリティカル・アナリティクス

国際関係、国内政治で起きているさまざまな出来事を、通説に捉われず批判的思考を持ち、人間の合理的行動や、その背景の歴史、文化、構造、慣習などさまざまな枠組を使い分析する。

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