TOP » 社会 » [日韓「歴史戦争」]日本がサンドバック状態を脱するとき

[日韓「歴史戦争」]日本がサンドバック状態を脱するとき

 

中国と韓国は戦勝国ではない

 最近はアメリカ人も少しずつ、一部の韓国人が非理性的に日本を叩いている構造に気付いてきました。昨年、韓国で朴槿惠大統領の名誉を傷つけたとして、産経新聞前ソウル支局長が在宅起訴されました。どう対応すべきか尋ねてきた『産経新聞』の記者に対して、私は「何もしなくていい」と答えました。拘束されて日本に帰れない支局長はお気の毒ですが、とりあえず彼が殺されることはありません。それならば、しばらく放っておいて韓国当局の愚かな振る舞いを世界に晒したほうがいいのです。

 私が中国と韓国を見て理解に苦しむのは、両国が第2次世界大戦における戦勝国だと自称することです。そもそも、この2国は戦争に参加していません。朝鮮半島は日本の一部でしたから韓国という国家は戦争中に存在しません。いま韓国人と呼ばれる人たちの先祖は、日本人として敗戦の日を迎えたのです。そして現在の中国(中華人民共和国)を支配する中国共産党は背後からゲリラ活動をしていただけで、実際に日本と戦ったのは国民党です。しかし国民党は、日本に対しては負けてばかりで、第2次世界大戦後に再開した国共内戦では共産党にも敗北し、中国大陸を追われました。はっきりいって、世界の歴史を見て、日本に勝ったのは米国だけです。彼らが日本戦に関係する「記念日」を祝う権利がどこにあるのでしょうか。

 韓国は戦後、独立国として日本と日韓基本条約を結び、莫大な額の賠償金も得たわけです。国際法の約束として、条約に調印した。つまり結論が出た以上はもう二度と蒸し返さないのが当然です。そもそも、父親である朴正熙大統領の大きな功績を踏みにじり、世界中に恥を晒し続ける朴槿惠大統領は何を考えているのでしょうか。

 

やられたら「やり返せ」

 日本人に求められるのは、もっと積極的に各国に対して自らの主張を訴えることです。日本は戦争の責任を重く受け止め、謝罪ばかりしていますが、そもそも世界を見渡して、日本のほかに謝罪をした国がありますか。たしかにドイツはユダヤ人の虐殺に対して謝罪しましたが、これは当然です。しかし英国が植民地化したインド、香港に対して謝罪した話は聞いたことがありません。

 では、なぜ日本にだけ謝罪を求めるのか。端的にいって、弱々しく見えるからです。日本は世界から見ると叩きやすいサンドバッグなのです。この状態から脱するには、憲法を改正して「竹島に手を出すな」「尖閣諸島に近づくな」「小笠原近辺でサンゴ礁を不法乱獲したら、砲撃して沈没させるぞ」と宣言しなければなりません。

 以前、私の息子が学校でいじめられたことがあります。私は息子に「やり返せ」といいました。私がいったとおり、いじめっ子に反撃した息子は学校の規則で停学処分を受けました。それは規則だからべつに構いません。父親の私にこの件で怒られるのではないかと息子は恐れていたようですが、私はまったく怒りませんでした。むしろ息子が自分の権利のために立ち上がったことが嬉しかった。日本も、そろそろ祖国の尊厳のために立ち上がるときだと思います。

 具体的には、日本は政府主導で「戦争における女性の人権を研究する会」を発足させ、各国に参加を呼びかけるような活動も考えるべきです。反省の意は忘れず、諸国と共同研究して「今後の女性の人権のために貢献したい」と呼びかけてはいかがでしょう。ベトナム戦争で民間人へ残酷な行為を犯した韓国は参加できないと思います。その現実を海外に発信すればいい。この研究に参加しない韓国の姿勢をニュースにすればいいのです。「歴史の真実に正面から向き合いたい」という日本の誠意も全世界に伝わります。

 ちなみに、私が知るかぎり、レイプや虐殺が世界で最も酷かったのはソ連赤軍です。極論すれば、ソ連の戦争犯罪が酷いのは、慰安婦が存在しなかったからでしょう。慰安婦がいないから、前線で手当たり次第に婦女を暴行する事例が多いのではないでしょうか。

 つい最近、クリントン政権の一員だったロバート・シャピロ元米商務省次官が韓国の朴槿惠大統領に宛てたビデオメッセージがYouTubeで公開されました。経済学者の観点で韓国経済に提言をするだけでなく、日本への敵対的な態度やベトナム戦争での韓国軍の蛮行にも触れています。「(日韓関係の)古傷が治癒しない理由がここにある」と、慰安婦問題についても言及しています。一部に事実誤認もありますが、大筋は事実に基づく内容です。私の記憶を辿っても、一国の大統領にこういった公開レターが出されるのは前代未聞です。それだけ韓国の最近の振る舞いは目に余る、ということです。

 

憲法9条は米国からの「制裁」

 私はタレントとして知られていますが、じつは法学博士でカリフォルニア州弁護士の資格ももっています。その観点から日本国憲法についても考えたいと思います。1988年に書いた『ボクが見た日本国憲法』(PHP研究所)で、私は日本の憲法9条を称賛しました。すでに事実上の軍隊である自衛隊が設置されていたので、9条の条文自体はそのままでも構わないと考えたからです。でも、いまは考えが180度変わり、すぐに改憲すべきと思っています。理由は明白で、27年前といまでは日本を取り巻く情勢が大きく変わったからです。日中関係が安定していた当時は、9条に書かれた理想論にも一定の価値があると考えていましたが、強硬な中国の姿勢を見て、考えを改めました。

 中国の経済力がいまほど高くなく、愚かな振る舞いが国内に留まっていたあいだは、米国の監視下で、日本は国防のことは考えず、経済発展のみに集中できました。ところが、2000年代半ばから社会主義市場経済が軌道に乗った中国が国力を伸ばし、帝国主義的振る舞いが目に余るようになりました。しかし米国も、かつてほど「世界の警察」の役割を担えなくなってきたのです。

 日本国憲法にはおかしな点が2つあります。1つ目は、国家元首が明示されていないことです。天皇は日本の象徴であって、代表者ではない。他国の憲法ではありえないことです。2つ目は、「武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」という憲法9条・第1項の条文です。日本国の憲法を起草したアメリカ人はどうしてこの条文を盛り込んだのでしょうか。日本が平和国家になることを心から願っていたからか、それとも自分たちの理想を追いかけようとしただけなのか。どちらも違います。これは米国に刃向かった日本に対する制裁措置・ペナルティなのです。9条のような条項を含む憲法は世界のどこを探してもありません。

 戦後のGHQによる占領政策のなかで、日本の今後について書かれた報告書があります。民主化や財閥解体、教育改革などの政策は書かれていますが、「平和憲法」に関する項目はありません。9条が、あくまで米国からの「制裁」でしかなかった何よりの証拠です。

 憲法の作成自体はじつは難しい作業ではありません。法学を学んだ私からすれば、憲法の全条文など3時間で書ける代物です。アメリカ建国のときは前例がなくて大変だったと思いますが、二百数十年が経ち、古今東西さまざまな憲法が制定されたので、民主主義国家のものなら容易に書けます。独裁国家の憲法は別として。

 そろそろ、平和ボケしていた日本人も目を覚ましたほうがいい。日本人は「いまの時代にそぐわないなら、変える必要もあるのではないか」という疑問を抱くべきです。憲法を時代や環境に合わせて手直しすることは、世界標準の考え方なのです。今年は戦争終結70周年の節目の年です。だからこそ、政府だけに頼らず一人一人の日本人が自国を取り巻く外交の現状や史実を理解し、外に目を向け主張することを始めるべきです。周辺国の執拗な言い掛かりに屈せず、日本の主張がより世界へ広まる年になることを心から願っています。

<掲載誌紹介>

2015年3月号(日韓「歴史戦争」)

 韓国系団体が慰安婦小説を全米の図書館に送付するという。「強制連行」し、「性奴隷」にしたと描写し、そのうえナチスと旧日本軍、ホロコーストと慰安婦問題を同じだと言い募る。日本を貶め、誤った歴史認識を世界に広めたいのだろう。
 3月号の総力特集は、いつまでも交わることのない日韓「歴史戦争」。櫻井よしこ氏と田原総一朗氏は、朝日新聞の「慰安婦報道検証 第三者委員会」の報告書について激論。産経新聞の黒田勝弘氏は、韓国の「対日戦勝70年」の記念行事に疑問を呈する。また、「反日プロパガンダ」に対して、反撃すべきだと説くのは弁護士のケント・ギルバート氏だ。さらに、生き証人として99歳の元朝鮮総督府官吏の西川清氏にご登場いただいた。ご自身の経験から「日本の軍や官が慰安婦を集めたことはなかった」と断言し、昭和10年当時は「朝鮮人と日本人が仲良く桜の下で酒を酌み交わすほど平穏」だったと証言する。日韓の歴史認識が交わる日は来るのだろうか。
 第二特集は、「ピケティと格差社会」と題し、日本経済の現状と処方箋について考えた。さらに、緊急特集として「イスラムテロの脅威」を取りあげ、イスラム過激派についてジャーナリストの丸谷元人氏に解説していただいた。
 巻頭の対談では、外交の専門家である宮家邦彦氏と佐藤優氏が、対ロシア、韓国、中国を中心にユーラシアの地政学の重要性を説いた。
 ぜひご一読いただきたい。

 

Voice

BN

 

著者紹介

ケント・ギルバート(Kent Sidney Gilbert)

米カリフォルニア州弁護士、タレント

1952年、米アイダホ生まれ。1971年に初来日。1980年、国際法律事務所に就職して東京に赴任。TV番組『世界まるごとHOWマッチ』に出演し、一躍人気タレントへ。最新刊は『不死鳥の国・日本』(日新報道)。公式ブログ「ケント・ギルバートの知ってるつもり?」で論陣を張る。

関連記事

http://shuchi.php.co.jp/

WEB特別企画

WEB連載

  • 和田彩花の「乙女の絵画案内」

    和田彩花の「乙女の絵画案内」

    和田彩花(アイドルグループ「スマイレージ(現:アンジュルム)」リーダー)

    人気アイドルグループ「スマイレージ(現:アンジュルム)」のリーダー、和田彩花が、大好きなアートについて思う存分語る、画期的な美術論。PHP新書から好評発売中!

  • 「虚構」は「現実」である

    「虚構」は「現実」である

    斎藤 環 (精神科医)

    フィクションとリアルの混同とは何か。サブカルチャーに精通する精神科医が、映画、漫画、小説などから読み解く現代世相。

  • 今だから話そう、大震災のあの時あの現場

    今だから話そう、大震災のあの時あの現場

    熊谷 哲( PHP総研 主席研究員)

    東日本大震災当時、内閣府から派遣された熊谷哲(現・PHP総研)が経験した事実をそのまま明かす「あの時あの現場」。

松下幸之助の今日の一言

松下幸之助の今日の一言

App Store
PHP研究所 mixiページ

ページトップ

TOP » 社会 » [日韓「歴史戦争」]日本がサンドバック状態を脱するとき