福島県:観光客に宿泊費補助 1万円旅行券、半額で

毎日新聞 2015年02月18日 11時55分

 福島県は来年度、県内の宿泊施設を利用する観光客の宿泊費の一部を補助する旅行券を発行する。東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の風評に悩む観光業の後押しが狙い。1万円分の旅行券を5000円程度で販売する計画で、延べ19万人分の利用を見込む。

 インターネットの宿泊予約サイトや、コンビニエンスストアのオンライン端末で購入できるようにする。購入した人は、宿泊代金が1万円以上となる温泉地などで1泊について1人1枚まで利用できるようにする。年間を通じて観光客を呼び込むため、2015年度中に3回程度に分けて販売する予定だ。県外の観光客だけでなく、福島県民も対象にするという。

 財源として県は国の地方創生関連の交付金に着目、関連費用12億5200万円を計上し、開会中の県議会2月定例会に追加提案する。

 福島県の観光客は、震災前の10年は5718万人だったが、11年には4割減の3521万人に落ち込んだ。13年は4831万人まで回復したものの、10年より15%少ない。13年のNHK大河ドラマ「八重の桜」の舞台になった会津地方は同年の観光客が1956万人と、10年(1884万人)を4%上回ったが、県は「ドラマが終わり、今後は減少するのでは」と懸念している。

 旅行券の発行に向け、内堀雅雄知事は「福島の復興・再生に弾みをつけたい」と期待を込める。旅行券の事業が終わった後も観光客をつなぎ留められるかが課題だが、県観光交流課の担当者は「県内の宿泊施設や観光地が固定客をつかむチャンスにしてほしい」としている。【岡田英】

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