東京都八王子市のスーパー「ナンペイ大和田店」(当時)で1995年、アルバイトの女子高校生ら3人が射殺された強盗殺人事件で、現場に残った粘着テープから採取された指紋の一部が、約10年前に死亡した日本人男性のものと酷似していることが18日、捜査関係者への取材で分かった。
警視庁八王子署捜査本部は容疑者特定につながる可能性がある重要な手掛かりとみて捜査している。
捜査関係者によると、女子高校生を縛った粘着テープから指紋の一部を採取した。現場の状況などから、女子高校生を縛った人物の指紋である可能性が高いという。
警視庁がデータベースと照合したところ、事件当時に多摩地区に住んでいた男性の指紋と酷似していた。同一人物と断定するには指紋の12点の特徴が一致する必要があるが、粘着テープから採取できた指紋は不完全で、同一と断定することはできないという。
男性は約10年前に死亡しており、病死とみられる。
殺害された3人は手を粘着テープで縛られた状態で見つかった。いずれも頭部に1発ずつ銃弾を受け、即死状態だった。銃弾にできた痕跡(線条痕)から、フィリピン製の回転式拳銃(38口径)が使われたとみられている。
警視庁は2009年、「『知人がやった』と証言する日本人受刑者がいる」との情報をもとに中国に捜査員を派遣。死刑判決が確定した男(当時67)=死刑執行=から事情を聴いたが、有力な情報は得られなかった。
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▼八王子スーパー射殺事件 1995年7月30日午後9時15分すぎ、東京都八王子市大和田町のスーパー「ナンペイ大和田店」(当時)2階事務所で、パート従業員の稲垣則子さん(当時47)、アルバイト従業員でいずれも高校2年の前田寛美さん(同16)と矢吹恵さん(同17)の3人が頭を拳銃で撃たれ殺害された。
事務所の金庫の扉には銃を撃った痕などがあったが、中にあった現金約500万円は手つかずで残っていた。
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