日銀:金融政策の維持を決定、8対1-原油安の影響見極め
(ブルームバーグ):日本銀行は18日の金融政策決定会合で、政策方針の現状維持を8対1の賛成多数で決めた。反対票を投じたのは木内登英審議委員だが、日銀は当面、原油価格下落が経済・物価に与える影響を見極める方針だ。
日銀はマネタリーベースが年約80兆円に相当するペースで増えるよう金融市場調節を行う方針を据え置いた。長期国債は年約80兆円、指数連動型上場投資信託(ETF)と不動産投資信託(J-REIT)はそれぞれ年約3兆円、年約900億円に相当するペースで保有残高が増加するよう買い入れる方針も維持した。ブルームバーグ・ニュースがエコノミスト35人を対象にした5-10日の調査でも全員が現状維持を予想した。
日銀は輸出、鉱工業生産ともに「持ち直している」としていずれも判断を上方修正。その上で、足元の景気について「緩やかな回復基調を続けている」として、前月までの「基調的に緩やかな回復」を続けているとの判断を微修正した。先行きは「緩やかな回復基調」を続けるとの見通しを維持した。
消費者物価の前年比については、消費税率引き上げの直接的な影響を除いたベースでみて「エネルギー価格の下落を反映して、当面プラス幅を縮小する」するとの見通しを据え置いた。
みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは16日のリポートで、「黒田総裁の記者会見では、12日にブルームバーグが配信した『日銀の追加緩和は逆効果、10月緩和は消費者マインドに悪影響』と題した記事が為替市場で円買い材料になったことから、追加緩和の可能性や円安が経済に及ぼす影響に関する発言が注目される」と述べた。
12日に1ドル=120円台前半で推移していたドル円相場は、ブルームバーグ・ニュースの報道後、一時118円台後半まで円買いが進んだ。日本時間18日午後0時現在、119円台前半で推移している。
4月の追加緩和は考えにくいSMBCフレンド証券の岩下真理チーフマーケットエコノミストは「官邸サイドも4月の統一地方選に向けて、急激な円安進行は望んでいないとみられ、日銀は無理して追加緩和する必要ないとのスタンスではないか」と指摘。「春闘での賃上げが期待される4月の経済・物価情勢の展望(展望リポート)発表時には、追加緩和は考えにくい」という。
三井住友アセットマネジメントの武藤弘明シニアエコノミストは17日のリポートで「日銀内でもさらなる追加緩和の害悪を指摘する声が高まっているとの観測報道や、短期金利のマイナス等追加緩和の技術的ハードルが上がっていること等も踏まえ、当面は現行ペースの量的・質的金融緩和が継続される」と指摘。従来の4月追加緩和予想を撤回した。
上野氏は「物価安定の実現重視の日銀と言えども、統一地方選を控える中、行き過ぎた円安が地方経済に及ぼす景気面のデメリットを警戒する政府との関係をある程度尊重せざるを得ないだろう」と指摘する。
一方で、「強気の物価シナリオが実現しないのに何も行動を起こさないと、市場で日銀に対する信認がなくなり、結果として円高・株安が進みやすくなるのも事実だ」という。
いずれ量的・質的緩和の検証が必要三菱UFJモルガン・スタンレー証券の六車治美シニアマーケットエコノミストは「日銀は原油安による一次的な物価鈍化に対し、政策対応は必要ないとのスタンスだ」と指摘。「仮に、先行きGDPギャップ改善と期待インフレ率の持ち直しが不発になれば、日銀はやはり追加緩和を検討することになる」とみる。
SMBC日興証券の森田長太郎チーフ金利ストラテジストは「政治からの追加緩和圧力が後退していることの影響は今後あると思う。政治圧力がなければ、日銀としては『現行政策を継続していること自体が累積的な政策効果を生む』という説明に終始できる」という。
その上で「問題は『現行政策の継続』それ自体にいずれは限界が来ることだろう。量的緩和政策とインフレ率との関係についても、いずれある程度の検証を行っていかざるを得ないのではないか」としている。
木内審議委員は独自提案も否決日銀は昨年10月31日の金融政策決定会合で、消費増税後の需要の弱さや原油価格の大幅な下落が「物価の下押し要因として働いている」とした上で、「短期的とはいえ、現在の物価下押し圧力が残存する場合、これまで着実に進んできたデフレマインドの転換が遅延するリスクがある」として追加緩和に踏み切った。
1月21日の決定会合では、昨年10月の経済・物価情勢の展望(展望リポート)の中間評価を行い、原油大幅下落を受けて、15年度のコアCPI前年比見通し(政策委員の中央値)を1.7%から1.0%へと大きく下方修正したが、一段の追加緩和は見送った。
木内登英審議委員は2月18日の決定会合で、2%の物価安定目標の実現を「中長期的に目指す」とした上で、量的・質的金融緩和を「2年間程度の集中対応措置と位置付ける」との提案を行ったが、8対1の反対多数で否決された。
黒田東彦総裁は午後3時半に定例記者会見を行う。議事要旨は3月20日に公表される。決定会合や金融経済月報などの予定は日銀がウェブサイトで公表している。
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更新日時: 2015/02/18 12:01 JST