ナンペイ事件:発生20年新局面 捜査幹部「裏付け全力」
毎日新聞 2015年02月18日 13時15分(最終更新 02月18日 13時48分)
女子高校生ら女性3人が射殺された「スーパーナンペイ大和田店」の強盗殺人事件から19年7カ月。現場に残された粘着テープに付いた犯人の指紋の一部が、約10年前に死亡した男と一致したことを突き止めたことで、警視庁八王子署捜査本部の捜査は大きな局面を迎えた。死亡した男が事件に関与したのか。捜査1課幹部は「やれる捜査はすべてやる」と話し、裏付けに全力を挙げる方針を示した。
現場に残された物証は「銃弾」「1種類の足跡」「粘着テープ」。捜査本部によると(1)犯行に使われた拳銃は38口径のフィリピン製スカイヤーズ・ビンガム(2)足跡から犯人は広島県内のメーカーで製造されたスニーカーを履いていた可能性が高い(3)テープは都内のメーカーで製造された−−ことを突き止めた。
このうち粘着テープについては、被害者以外の汗が付いていたが、最新の技術でもDNA型は検出できなかった。さらに、指紋の鑑定には12個の特徴点が必要だが、粘着テープに付いた指紋には8個の特徴点しかなく、犯人特定の決め手には欠けていた。
しかし捜査本部は8個の特徴点に着目。約10年前に死亡した男と一致していることを突き止めた。男は事件当時、多摩地区で生活していた事実もつかんだという。
事件は95年7月30日に起きた。スーパー閉店直後、稲垣則子さん(当時47歳)と女子高校生の矢吹恵さん(当時17歳)、前田寛美さん(同16歳)は店舗2階の事務所で帰り支度をしているところを襲われた。犯人は女子高校生2人を背中合わせにして粘着テープで後ろ手に縛り上げ、口をテープでふさいだ。3人は頭部を撃ち抜かれ金庫にも弾痕があった。捜査本部は、犯人は金庫内の現金を奪おうとしたが、3人が金庫のダイヤル番号を知らなかったため激高し、金庫にも発砲したとみていた。
荒っぽい手口から、薬物事件の前歴者、暴力団関係者、不良外国人らが関与した可能性があるとみて捜査する一方、売上金が1週間で最も多く金庫に保管されている日曜日の夜に襲撃されたことから内部事情に詳しい者が関与した疑いもあるとみて捜査していた。【松本惇、山崎征克、神保圭作】
■八王子スーパー3人射殺事件を巡る経過■
1995年7月 事件発生
2006年7月 地元の防犯協会有志が有力情報に懸賞金300万円の提供を決める