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原因不明の震え「本態性振戦」 超音波使う新治療

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2015/2/18 7:00
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日経メディカルオンライン

 何年も手の震えが止まらず、最近は水をついだコップを口元に運ぶこともままならない――。このように、日常生活に支障を来す「本態性振戦」の治療法として、新たに集束超音波を用いた外科治療法が登場した。臨床研究段階だが、開頭術や麻酔が不要で痛みを感じないため、医療関係者の期待を集めている。

「本態性振戦は、静止時は震えないが、文字を書こうとしたときや手を挙げたときに振戦を来す」と語る鳥取大学の中島健二氏

「本態性振戦は、静止時は震えないが、文字を書こうとしたときや手を挙げたときに振戦を来す」と語る鳥取大学の中島健二氏

 本態性振戦は、神経障害や病変の部位などは明らかでないが、動作時に上肢や頭部などが震える進行性の神経疾患だ。例えば、コップを持った際や文字を書こうとした際に手が震えるといった症状を来す。QOL(quality of life、生活の質)は低下するが、転倒が増えたり歩行ができなくなったりはしない。

 日本神経治療学会が治療指針として2011年に作成した「標準的神経治療:本態性振戦」によれば、発症者は60歳代以上の高齢者が最も多いが、20歳代も発症数が多く二峰性の分布を呈する。

 指針の編集責任者を務めた鳥取大学脳神経内科学分野教授の中島健二氏は、「有病率は人口の2.5~10%と報告によってばらつきがあるが、決して少なくはない疾患だ」と語る。高齢の場合は「年齢のせい」と諦めて受診しない患者も多く、見逃されやすい。

■覚醒状態のまま視床を「破壊」

写真1 集束超音波治療に用いるMRI用のベッド。術中は動かないよう専用ベッドのヘルメット型装置にしっかりと頭部が固定された状態でMRI内に入る。新百合ヶ丘総合病院脳神経外科医長の阿部圭市氏は「モニタリングしている脳神経外科医、患者の横に待機している技師、患者本人の3人が緊急停止ボタンを持っており、安全性を担保している」と語る
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写真1 集束超音波治療に用いるMRI用のベッド。術中は動かないよう専用ベッドのヘルメット型装置にしっかりと頭部が固定された状態でMRI内に入る。新百合ヶ丘総合病院脳神経外科医長の阿部圭市氏は「モニタリングしている脳神経外科医、患者の横に待機している技師、患者本人の3人が緊急停止ボタンを持っており、安全性を担保している」と語る

 発症後は症状が徐々に進行するケースが多く、日常生活に支障を来すようになると治療が必要となる。薬物治療で効果が得られなかったり、副作用が強く内服が困難となった場合には、緊張が強い筋肉にボツリヌス毒素を注射して麻痺させるボツリヌス毒素療法や、振戦と同期して興奮を示す神経細胞がある視床腹中間(Vim)核を標的とした外科治療を検討する。

 現在は、視床Vim核に電極を挿入して高頻度電気刺激を行う視床電極刺激術や、ガンマナイフなどによる視床破壊術がある。

 この本態性振戦の外科治療の新たな一手として、「MRIガイド下集束超音波治療」(focused ultrasound surgery:FUS)が開発され、臨床研究が国内外で進行中だ。

 1024個のエレメントが付いたヘルメット型装置(写真1)がFUS用の専用ベッドに備え付けられている。そのヘルメット型装置を患者の頭部に取り付け、MRI内に入ってもらう。各エレメントから標的部位に向けて超音波を照射すると、焦点が55~60℃ほどに達して熱凝固を起こす。これにより振戦を軽減させるというものだ。

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