自動ラップ式トイレ:東日本大震災で活躍 水や工具不要
毎日新聞 2015年02月18日 08時20分
災害時、避難所生活ではトイレが問題となる。上下水道が止まると汚物を流せず、詰まったままでは感染症の危険もあり、悪臭も漂う。掃除も大変な手間になる。
日本セイフティー(東京都文京区)の自動ラップ式トイレ「ラップポン・トレッカー」は、こうした問題を解消し、東日本大震災でも活躍した。使い方は簡単で、凝固剤を入れた後に排せつし、リモコンのボタンを押せば、便座の下のフィルムに落ちた排せつ物が自動的に包装(ラップ)され、1分半ほどで熱圧着される。水は使わない。汚物はフィルムから漏れず、簡単に手で捨てることができる。1月には省電力機能や持ち運びの取っ手を改良した機種「ラップポン・トレッカー3」を発売した。
もともとラップポンは介護用製品だった。2007年の能登半島地震の際、現地でトイレに困っていると聞いて提供したところ、好評を得た。さらに同年の中越沖地震でも活躍。この経験を生かして、災害専用の製品「トレッカー」を作った。
東日本大震災では、宮城県石巻市、東松島市など約50カ所の避難所に約150台を設置した。段ボール製の専用個室「ダンビー」を作り、内部にラップポンを置くだけ。工具も必要なく、簡単にできる。
餅月忍・ラップポン事業部営業部長は「避難所内部のトイレは使用できず、屋外の仮設トイレも高齢者が行きにくく、夜間は女性が不安がっていたので、喜ばれました。感染症対策になると医師からも評価されました」と振り返る。
ラップポン・トレッカー3は17万2800円。ダンビー2は3万2400円。問い合わせは同社0120・208・718。【柴沼均】