テレビのヨミカタ
2015年02月18日(水) 高堀 冬彦

事故が続くテレ朝への不信。テレビ業界もそろそろ安全第一を矜持にすべきでは?

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BS朝日HPより

少女の命に関わるテレ朝の不祥事

痛ましい事故が起きた。重傷を負った少女はまだ12歳で、アイドルグループ「3B junior」のメンバーだ。テレビ朝日が制作するBS朝日の番組『3B juniorの星くず商事』の収録中、ヘリウムガスを吸って倒れて、一時は意識不明状態になった。

収容された病院の診断によると、少女は脳内の血管に空気が入ってしまい、血流が妨げられる、「脳空気塞栓症」に陥ったそうだ。事故から1週間が過ぎた時点でも意識は完全には戻らなかったという。このため、少女には身体に障害が残る可能性があると指摘する医師もいる。万一、そうなった場合、テレ朝はどう責任を取るつもりなのだろう。スタッフや幹部の2人や3人が重い処分を受けようが、少女は救われない。

事故から1週間も事実が伏せられていたことも解せない。発生が1月28日で、テレ朝の公表は2月4日。テレ朝側は「当初は早い回復が見込まれ、容体の推移を見守っていた」などと説明したが、額面通りには受け取りにくい。事故を伏せることが少女の利益に繋がったとは思えないからだ。

すぐに公表したとしても少女の治療やプライバシー面に悪影響が出ることはなかっただろう。いくらなんでも病床に取材に訪れるような愚かなマスコミは存在しないはずだ。一方で、この事故については警視庁麻布署が業務上過失致傷容疑で調べている。コンプライアンス的に考えると、やはり速やかに情報公開すべきだった気がする。発表が捜査の妨げになったとは思いづらい。

また、持ち株会社であるテレビ朝日ホールディングスは上場企業である。重大事故の発生を投資家に広く知らせるという意味でもいち早く発表すべきだった気がする。これは他業種に置き換えて考えてみると分かりやすい。例えば、ゼネコンが工事現場で起こした人身事故を、1週間も伏せていたら、世間やテレ朝を含めたマスコミは一斉に不信の目を向けるだろう。

事故を起こした番組のスタッフが浅慮で、その仕事ぶりが杜撰だったのは言うまでもない。ヘリウムガスは「大人用」のパーティーグッズなのだそうだが、「大人用」の但し書きを読み落としていたという。だが、そもそも番組収録は業務なのだから、パーティー向けのガスを使用するのは妥当と思えない。

パーティーでの使用なら、自分で無理を感じた時点で吸引をやめられる。だが、業務で吸うことを指示されていた場合、懸命に吸い続けようとしてしまう人もいるはずだ。まして相手は社会経験の乏しい少女なのである。スタッフの想像力の欠落としか言いようがない。特異に映る事故だけに、BBCなどの海外メディアにまで報じられてしまった。

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