農協改革で苦境の安倍官邸
援軍は北海道民主党のドン
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「今後、中央会(JA全中)は地域の農協や農家のサポート役に徹してもらいたい」
1月29日、衆院予算委員会で安倍晋三首相は農協改革に意欲を見せた。
質問に立ったのは、自民党の稲田朋美政調会長。稲田氏は安倍首相、菅義偉官房長官が推し進める農協改革の旗振り役だ。ただ、稲田氏は衆院当選4回とまだ若く、党の農林部会では抑えがきかない。
そこで稲田氏は、農協改革に積極的な後藤田正純氏が委員長を務める党規制改革推進委員会でも議論を進め、機運を盛り上げる作戦をとった。意を受けた後藤田氏はテレビにも出演し、農協改革をアピールするが「上から目線で、人望はない。若い稲田と後藤田じゃ、誰も言うことは聞かないよ」とベテラン議員は突き放し、慎重派の二階俊博総務会長も「慎重に議論することが大事だ」と意に介さない。
官邸サイドは2月12日の施政方針演説に農協改革の方向性を入れ込むべく結論を急ぐが、簡単ではない。1月の佐賀県知事選で、菅氏が擁立を主導した前武雄市長は、農協の支援する候補に完敗。4月の統一地方選挙を控え、自民党内で慎重論が勢いを増しているのだ。中でも、自民党幹部が「農協改革に影響が出かねない」と危惧するのが、北海道知事選だ。
自民党、公明党の推薦を受けて4選を目指す高橋はるみ氏に対し、フリーキャスターの佐藤のりゆき氏が立候補を表明。佐藤氏は、“北海道のみのもんた”と呼ばれるほど、高い知名度を誇る。
「佐藤氏に民主党が乗れば大激戦必至。北海道で大きな影響力を持つ農協・ホクレンの全面支援なしには勝てない。ホクレンの協力を取り付けるためには、官邸の意向に反して、農協改革をスローダウンさせる必要がある」(自民党関係者)
そうなれば、進むも地獄、退くも地獄の自民党だが、思わぬ助け舟を出しそうなのが、北海道民主党のドンだ。
「横路孝弘元衆院議長です。北海道で集票力を持つ新党大地の鈴木宗男氏などが、佐藤氏支援を働きかけているが、首を縦にふらない。女性関係が派手な佐藤氏が嫌いなようで、昨年の衆院選で敗れた北海道教組出身の元道議を独自候補として担ごうとしています」(民主党関係者)
三つ巴となれば現職の高橋氏が有利と見られる。自民党選対関係者は、横路氏の決断を固唾をのんで見守っている。