対象ソフトウェア:Excel 2003/Excel 2007/Excel 2010/Excel 2013
Excel 2003/2007/2010のいずれかをインストールした環境で、エクスプローラーなどからExcelファイル(ブック)をダブルクリックすると、アプリケーションの関連付けに基づいてExcelが起動し、その中にシートを含むブックの内容が表示される。これに続けて2つ目のExcelファイルをダブルクリックすると、Excel 2010以前の場合は、新たに別のExcelが起動されるのではなく、すでに起動されているExcelのウィンドウ内部に、子ウィンドウとしてブックの内容が表示されるようになっている(Excelと異なり、Wordなどでは、このような場合でも別々のWordアプリケーションが起動され、文書が表示される)。
この場合、複数のブックを同時に見ながら作業するには、親であるExcelのウィンドウを大きくして、その中で子ウィンドウのサイズを調整したり、ウィンドウの前後関係を調整したりして、同時に見たい部分が見えるようにしなければならない。
Excelブックだけで作業するなら、親ウィンドウを最大化すればよい。だが、Excel以外のウィンドウ(例えばWebブラウザーなど)も同時に見たり、マルチディスプレイ環境で各ディスプレイにそれぞれExcelブックを表示したりしたいとなると、Excel 2003/2007/2010のこうした仕様は不便である。
そこで本稿では、Excelファイルを別々のウィンドウに表示する3つの方法を紹介する。どれも一長一短なので、利用頻度や用途などに応じて選んでいただきたい。なお、Excel 2013の場合は特にテクニックを駆使する必要はない。
複数のExcelファイルを別々のExcelウィンドウに表示するために、「設定変更は不要だが操作はやや面倒」「設定変更が必要だが操作はスマート」「大変更が必要だが抜本的に改善」という3種類の方法を紹介する。
[スタート]メニューなどにあるExcelのショートカットから、Excelアプリケーションを繰り返し起動し、作業したいExcelファイルを各ウィンドウへドラッグ&ドロップしていくと、Excelファイルごとに別々のウィンドウで作業できる。
あまりスマートな方法ではないが、このように操作すれば、複数のExcelファイルを独立したExcelウィンドウとして表示させることが可能だ。Excelアプリケーションを起動するためのショートカットはどこにあってもよいので、よく操作するなら、デスクトップにExcelのショートカットアイコンを作成したり、タスクバーにピン留めしたりしておくとよいだろう。
エクスプローラーでファイルを右クリックしたときに表示されるコンテキストメニューには、[送る]というサブメニューがある。ここにExcelファイルを別ウィンドウで開くためのメニューを追加しておく。すると、右クリック×1回と左クリック×2回、すなわち通常時より2回余分にクリックするだけで、Excelファイルを別ウィンドウで開けるようになる。ただし、それには数ステップの設定変更の作業が必要だ。
■[送る]メニューに[Excel (別ウィンドウで開く)]を加えるための設定手順
まずExcelの実行ファイル「EXCEL.EXE」を見つける。それには下表から、該当するExcelのバージョンのパス(のうちの1つ)をコピーし、エクスプローラーのアドレスバーに貼り付けて[Enter]キーを押す。フォルダーが見つからないというエラーが表示されたら、もう1つのパスを試していただきたい。フォルダーが正しく表示されたらEXCEL.EXEを探し、見つかったらそのエクスプローラーのウィンドウをそのまま残しておく。
Excelのバージョン | Excelの実行ファイルが存在するフォルダー(デフォルトの場合) |
---|---|
Excel 2003 | %ProgramFiles%\Microsoft Office\OFFICE11\ または %ProgramFiles(x86)%\Microsoft Office\OFFICE11\ |
Excel 2007 | %ProgramFiles%\Microsoft Office\Office12\ または %ProgramFiles(x86)%\Microsoft Office\Office12\ |
Excel 2010 | %ProgramFiles%\Microsoft Office\Office14\ または %ProgramFiles(x86)%\Microsoft Office\Office14\ |
デフォルトでExcelの実行ファイルが格納されるフォルダーのパス このパスをエクスプローラーのアドレスバーにコピー&ペーストして[Enter]キーを押し、正しくフォルダーが開かれたら、そこでEXCEL.EXEを探す。 |
次に、もう1つエクスプローラーのウィンドウを新たに開き、アドレスバーに「Shell:SendTo」と入力して[Enter]キーを押す。「SendTo」というフォルダーが表示されるので、先ほど見つけたEXCEL.EXEをこのフォルダーにドラッグ&ドロップする。これでEXCEL.EXEのショートカットがSendToフォルダーに作成される。
以上で設定変更の作業は完了だ。
■[送る]メニューからExcelファイルを別ウィンドウで開くための手順
設定変更が済んだら、次の画面のように右クリックメニューを操作すると、Excelファイルを別ウィンドウで開ける。
ここまで説明した2つの方法では、Excelに次のような制限が生じるので注意が必要だ。
上記のような制限のない解決策としては、Excel 2003/2007/2010をExcel 2013にアップグレードすることが挙げられる。Excel 2013では仕様が改められ、Excelブックごとに別々のウィンドウで表示されるようになったからだ。
これは抜本的な解決策だが、アップグレードによって互換性問題が生じたり使い勝手が変わって困ったりする恐れもあるので、十分勘案する必要がある。
■更新履歴
【2014/08/04】[送る]メニューを利用する方法と、別ウィンドウ利用時の制限について追記しました。またExcel 2007/Excel 2010での動作を確認しました。さらに、Excel 2013にアップグレードする方法を追記しました。
【2007/08/10】初版公開(対象はExcel 2003)。
■この記事と関連性の高い別の記事
Copyright© 1999-2015 Digital Advantage Corp. All Rights Reserved.