戦後70年。この歳月の重みを意識せざるを得ない国会の論戦が、本格的に始…[続きを読む]
欧州連合(EU)が求める緊縮財政に従うのか、従わないのか。財政再建中の…
欧州連合(EU)が求める緊縮財政に従うのか、従わないのか。財政再建中のギリシャとEUの協議で、対立が険しさを増している。
現在の支援策は、今月末までにギリシャが新たな緊縮策を実行することが条件になっている。しかし、1月の総選挙の結果、ギリシャでは反緊縮を掲げる政権が誕生し、EUとの協議に入ったが、難航したまま期限を迎えようとしている。
それまでに協議がまとまらなければ支援が打ち切られ、ギリシャは資金繰りに行き詰まりかねない。最悪の事態を避けるため、双方ともに柔軟な姿勢で交渉に臨むべきだ。
2009年に巨額な財政赤字の隠蔽(いんぺい)が発覚したギリシャは、EUなどに支援されながら、財政再建を進めてきた。緊縮財政のための年金カットや増税に対し、国民の不満は強く、1月の政権交代につながった。
新政権は緊縮策の緩和を求めている。これに対してEUは、緊縮策を条件とする現在の支援策の延長を主張している。条件の見直しについて話すのは、その後という姿勢だ。
16日に開かれた財務相会合でも意見の対立は解けず、交渉は決裂した。
支援する以上、財政規律が守られなくては困る。EU各国がそう考えるのは理解できる。しかし、反緊縮を掲げて政権が誕生した経緯を踏まえて支援策をまとめることを考えるなら、まず、EUが妥協の糸口を示してはどうか。
新政権も、緊縮策の放棄を求めているわけではない。基礎的財政収支の黒字化目標(対GDP比、16~17年)について、4・5%から1・5%程度に引き下げることを求めている。低所得者の年金の追加削減や付加価値税の再増税を避けることを狙いにする措置だ。
失業率が今も約25%にのぼることを考えれば、過大な要求とは言えまい。
もちろん、新政権の要求にも問題はある。例えば、支援の条件となっている、空港の民営化を一方的に見直す、としたことだ。そうした対応がEU側の不信を招いたのは否めない。
今回の協議で何を優先するのか。新政権も財政再建や構造改革に取り組む姿勢を示しながら要求を絞るべきだろう。
ギリシャにとってもEU各国にとっても、最優先するのは、ギリシャがユーロ圏の一員として再建を果たすことだろう。
双方がそれに取り組む意思を明確にしたうえで、現実的な妥協点を探ってほしい。
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