他人のやり直し、イコール自分のやり直し?
民宿のおやじが誘拐事件に関わった理由とは?
第2話のゲスト、仲村トオルさんが演じるのは、ボサボサ頭でどことなくサエない民宿のおやじ・平野です。海辺の田舎町で平穏な日々を送る平野が、ひょんなことから「選TAXI」に出会い、自分ではなく他人のために大金を払って過去をやり直し。こんな人生のやり直し方もあったんだ!?第1話とは全く違う印象の第2話について、仲村さんにお話を聞きました。
出演が決まった時の感想は?
オファーをいただいた時、監督を始めスタッフが、僕がとある“変人官僚”を演じた時(「チーム・バチスタ」シリーズのドラマ)と同じ顔ぶれでしたから、“ああ、もう、これは僕はやるなぁ、やるなら面白いお話でやりがいのある役だといいなぁ”と思いつつ、脚本を読ませていただいた・・・順番としてはそんな感じでした。で、読むと、やっぱり面白い話でやりがいのある役でしたから、これは良かったなと思いました。
平野役にやりがいを感じた点とは?
実際に演じてさらに実感したんですが、平野のやり直しは、若いカップルにやり直しのチャンスを与えるためのもので、それがほぼイコール自分自身のやり直しにもなっているんですね。自分だけやり直そうとしても、きっと、“やり直せて良かった”とは、平野は思えなかったんじゃないか。もしかしたら、若い2人がやり直した人生について、後々、平野自身が知ることはないかもしれない。でも、むしろそういうところが、平野役のやりがいだし、このお話いいなぁと思った点でした。第2話の最初と最後で、若い警官の松原(松下洸平)が言うセリフにも、ちょっと注目してみて下さい。日常のなんでもないひと言なんですが、その中にあるものを表すために、平野と選TAXIの、こんなひと騒動があったと言いますか。そこのところを意識しながら演じました。
人のやり直しが、自分のやり直しになる。
ちょっときゅんとしますね。
実人生でもよくある気がするんです。僕自身は、自分の人生で取り返しがつかないことはほとんどないと思っていて。例えば、子どもの頃の野球選手になりたいという夢は叶わなかったけど、俳優という仕事に就いて、役で野球選手を演じるという不思議な取り返し方をしたりしましたし。 でも、そういうことは多くの方にあると思いますよ、例えば、失恋も。人生最悪の出来事のように思うけど、その後に新しい出会いがあれば、この人と出会うためにあの失恋があったんだと、そういう取り返しの仕方はいっぱいある。実際の取り返しとは違うけれど、気持ちの上では取り返せたに近い状態になれますよね。心の穴の埋め方という意味では、人のやり直しが自分のやり直しになるということも、それに似ているんじゃないかと。そういう意味でも、このドラマは、素敵なファンタジーですね。“自分にもあるよな”って、多くの方に共感してもらえると思います。