コラム:中国不動産の佳兆業集団が露わにする「闇の負債」
John Foley
[北京 16日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 不動産に投資するなら土台をよく確かめてから──。中国の不動産開発会社、佳兆業集団(1638.HK: 株価, 企業情報, レポート)の買収案件は、このアドバイスを無視すれば何が起こるかを見せつけた。
同社は負債の返済遅延で債権者らを動揺させた数日後、今度は負債残高が昨年6月末の発表時に比べ2倍に膨らんだことを公表した。この一件により佳兆業集団、そして後に続きそうな不動産開発会社の債務再編が重要性を帯びてきた。
佳兆業集団は競合する融創中国(1918.HK: 株価, 企業情報, レポート)による救済買収の実現に向けて状況を整理した。それによると昨年12月末時点の債務残高は650億元(104億ドル)で、その約半分が銀行以外の貸し手に対するものだ。一見キャッシュの豊富な同社が期限通りに2600万ドルの社債利払いを実行できず、3億8000万ドルの運転資金を最近調達したことは、これで説明が付くかもしれない。
追加的な負債がどこから発生したかは謎だ。非連結子会社による借り入れも一部含まれるかもしれない。非連結子会社の負債は2013年末時点に420億元あった。しかし佳兆業集団の本体がこれら子会社の負債も算入することにしたのなら、資産もまた算入するはずだ。追加的な負債発生のもう一つの説明としては、これまで算入していなかった支払い義務を負債に分類し直した可能性が考えられる。
厳しい姿を描いて見せるのは戦術かもしれない。融創中国による買収案は佳兆業集団の債務再編にかかっている以上、債権者から譲歩を引き出す方策の一つは、考えられていた以上に負債が深刻だと示して見せることだ。2017年償還の佳兆業集団の社債価格は16日、0.7ドルから0.66ドルに急落した。しかし債権者が再編に抵抗すれば救済買収案は決裂しかねない。
今回の一件は大きな余波をもたらす。中国の不動産セクターは、こと貸借関係となると極めて複雑だ。開発プロジェクトの多くは別々の会社(ビークル)に対する少額投資を通じて構築される。佳兆業集団の傘下にはこうしたビークルが数百も存在する。親会社が保証を与えない限り、この負債はバランスシート上に浮上しない。
投資家は他にも暗部が存在しないか、点検に取り掛からねばならない。融創中国の最新の申告によると、連結負債は昨年6月時点で360億元だが、子会社の負債は少なくとも850億元に達する。8億ドルの社債を発行したばかりの世茂房地産が発表している負債残高は550億元だが、子会社を含めると1150億元を超える。負債は子会社という壁を超えて広がるだけでなく、地下にももぐっている可能性を考えるなら、今後混乱と失望が訪れる余地は大きい。 続く...